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それぞれのけじめ

ーーーーーー

紬目線


「俺はお前の側にいても幸せにもなれねぇし自由にもなれない。」





あれからハジメの言葉がグルグルグルグル頭の中を巡っていた。





小さい頃から一緒にいて側にいてくれるのが当たり前だと思っていた。

だけど、私の思いとは裏腹にハジメは嫌な思いをしていたのだろうか…

それに周りには可愛くて綺麗な女性陣に囲まれてハーレム状態。

私が彼のそばにいる必要性は無くなった。

では何を求めて生きていけばいいのか。それを既に見失っていた。





「おい!紬!修行の時間だぞ!今日も来ないのか?」



今日も教官が私を呼びに来たが、正直私よりも弱くて大事な時にいない教官の言う事を聞く義理もなかった。




「ふん。まぁ良い。自己の鍛錬だけは怠るなよ」



教官は一言話すと行ってしまった。


「自己の鍛錬をしたところでどうなるんだ。」



一生懸命鍛錬したところでハジメの受けた苦痛は味わえないし、ハジメより強くなれる訳でも無ければ手助けになる訳でもない。

何をやっても無駄だと感じてしまう。


「いーんちょー。いつまでこの状況続けるつもり??」



ノックもせずに入って来たのはクラスメイトの長谷川朱理だった。

長谷川はハジメと似たようなタイプのギャルで言いたいことはハッキリ言ってくる。

有り難い時もあれば衝突する時もある今一番顔を合わせたく無い人物だ。



「何の用だ??長谷川には関係の無い事だろう。」



「いや、関係なく無いでしょ?いーんちょーいなくてクラスの士気は下がるし空気重たいし最悪なんだけど?」



「修行をしたところでどうなるっていうんだ。モンスターさえろくに倒せない足手まといが集まっているのに。」



「何それ?嫌味?いーんちょーだって手も足も出ないしハジメくんには嫌われて振られてるじゃん!」




「私はハジメの事をそう言った目では見ていない!ただ、ハジメには私が必要だと!」



「もうその考えやめな?この世界に来てからいつもだけど、いーんちょーがハジメくんを必要としているようにしか見えないよ?」




「そんな事はない!私とハジメは昔から」




「一緒にいただけで何も理解してなかったから振られたんでしょ。」



「良い加減にしろ!!」



我慢の限界を超えて私は長谷川に掴みかかった。



「良い加減にするのはいーんちょーの方だよ!!いつまでキリヤって人の言葉に捉われてるの!!?ハジメ君から最後に言われた言葉ってもう忘れた?」



長谷川の怒鳴るような声に紬は一瞬怯んで思い返した。


「それは……生きて帰れよ。だった。」



「じゃあなんで生きて帰る為にどうするか考えないの?ハジメ君がただ、周りの女の子とイチャイチャするだけの旅でもしてると思ってんの?何年一緒にいるんだよ!?マジで信じらんない!」



「お前にハジメの何が分かる!!あいつは何人も女を侍らせるような男ではない!」



「ハジメ君の事一番分かってないのはいーんちょーだよ。知らないでしょ?学校にハジメ君のファンクラブあるの。一番会員多いんだよ?彼、すんごくモテるんだよ?」




「んなっ!!そんな理解不能な団体聞いた事ないぞ??」



「いーんちょーが、ずーっとハジメ君に引っ付いてたし、知られたら潰しそうだったからね。」



「……私は自分の都合の良いようにハジメを利用して自分の存在価値を作っていただけだったんだな。蓋を開けて見れば幼なじみの事何も理解してなかったのか。」



「私は正直ハジメ君の事何とも思わないんだけどね。ハジメ君ファンクラブのクラスメイトが生きて帰れよと言われたんだからいーんちょーだけでも生きて帰れるように頑張ろうって言って必死で訓練してるのに本人がメソメソして下向いているのは正直ムカつくんだよね。クラスメイトの方がよっぽどハジメ君を理解しているよ。」



「でも私はどうすれば…」



「そんなの好きにすれば良いじゃん。帰りたければ帰れば良いしハジメ君の所に行きたければ行けるぐらい強くなるしかないじゃん。」



「でも私がいなくなるとクラスが…」



「ウチのクラスのメンツ舐めないで!?いんちょー一人いないぐらいで何ともないから?」



「……そうか。そうだな。強くなるしか無いんだよな。長谷川、ありがとう。今から行くよ。」




「私はハジメ君ファンクラブの人に頼まれただけだし。夢があるから死んでも帰んなきゃいけないの。いーんちょーにメソメソされてたら都合悪いんだわ。」



恐らく本心と建前半々といった所だろう。

いずれにせよ、私たちは出来る事をやるしか無いのだ。



私は長谷川と共に訓練場へと向かって行った。




ーーーー


「ハッ!!アリエス!!」



キリヤはガバッと目が覚めた。

最悪なタイミングで気を失ってしまった。

ルナもなんていうタイミングで口撃してきやがるんだ。


「キリヤ、起きたか。」



「おわっ!!アリエふぐっぅ」



目が覚めると隣にアリエスがいた為思わずビックリしたら鳩尾に拳が飛んできた。



「おわっ!とはなんだ。人が心配していたというのに。急に私の名前を読んで飛び起きたと思えば全く。」



「いや、てっきりあのまま怒ってどっか行ってしまうと思ってさ。」



「流石の私もあのタイミングでのルナの行動には怒る気力もなくてな。」



間違いないな…



「それより、キリヤもルナにあんな反応するとはな。顔を真っ赤にして茹で上がっていたぞ。ウブで可愛い所もあるんだな。」



頬を膨らましプククと笑うアリエスに対してイラッとしたのは言うまでもない。

こっちの気も知らないで。

そっちがからかって来るなら俺の受けているものを体験させてやる!

俺はガシッとアリエスの肩を掴んだ。



「アリエス!!」



「はっはぃっ!!」



ビシッと背筋を伸ばし硬直しているのが分かる。



「アリエス、俺はお前が好きだ。」



「ただいうぇっ!!」



……このタイミングでルナは普通帰ってくるか??





「ばばばば馬鹿者きゅきゅ急に何を言い始めるんだ!!」





「……やっぱり何とも思ってないとドキッとしたりはしてくれないものか。ルナ、隠れてないで出て来て良いぞ。」




「るっルナ違うんだそのさっきのはキリヤが冗談で言ったみたいで本心では無いみたいでな私を驚かせようとだな!」



「はいはい、全部聞いてたから大丈夫だよ。それよりもキリヤ本気で言ってる?」



「本気でって何の話だ??」




「ルナ……そっとしてあげよ。両片想いは難しいの。」



俺はルナとリアが何を言っているのかが分からなかった。



「ハッ!!私凄いこと気がついちゃった!!キリヤ!!キリヤが私の事好きになってくれれば両想いになれるよ!!」



「……ルナ。馬鹿?」



「クハッ!!リア辛辣っ」



「キリヤ。馬鹿は無視した方が良い。私の事好きになれば両想いになる。」



「え?ちょっとリアぁ!それは酷いってぇ!!」



俺はこの二人のやりとりを微笑ましく感じていた。

一方でここまで真っ直ぐ向き合ってくれている二人にはケジメの付け方や向き合い方をしっかりと考えたいかなければならないなと感じていた。


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