婚約??
「おばば様どういう事ですか!急に客が来るから風呂に入れと言われたから入ったら殿方が入ってきたんですが!!」
俺は近くにいた女兵士になす術もなく捕まって玉座の間らしき所に連れてこられていた。
いや逃げ出せるんだけどね。見るもの見てしまったし男だしね。うん。
「キリヤよ待ちくたびれたぞ。兵士たちよ。その者を解放してやれ。」
年寄りでヨボヨボの声ではあったがその声はどこか聞き覚えのあるような声だった。
「お前…フィリアスか??」
「フェッフェッ、お前に長生きしろよと言われて110になっても生きてしまうとるわ。」
「そうか……そうか…お前……何で玉座の間に女湯なんか作ってんだ長生きしすぎだクソババァぁ!!」
「これ、年寄りは大事に扱わんかい!!それに何のことだい?記憶が最近良くなくてねぇ」
フェッフェッと笑うフィリアスは相変わらずだった。
「おばば様数年前に面白くなる気がするとかで、大々的にお城リフォームして旧玉座の間を私専用の風呂場にしましたよね…」
ゴゴゴゴゴゴゴとアリエスらしき女性は怒りを露わにしている。
「スマン許せ」
ペロッと舌を出すが全然可愛くねぇからな。
「わっ私は殿方に初めてそのっ」
「ほほうアリエスも愛いのう、愛いのう…」
アリエスは顔を真っ赤にして俯いている。
俺だって女性のあーいった姿を見るのは初めてで。
「キリヤも良いものを見れたではないか。それにタイミング良くアリエスの攻撃が当たってステータスの急成長による体の激痛がないじゃろう。」
俺はステータスを開けてみると、化け物じみたステータスをしていた。
あの魔物の大群殲滅した事になってんのか??
そしてフィリアスのニヤニヤととした顔が腹が立ってくる。
「やっぱり見たんですか!!」
ボフンと顔が茹で上がるアリエスを見て自分も顔が熱くなるのを感じた。
正直この可愛さでフィリアスには無かったプロポーションといい反則だ。
「どうしましょう私…」
とうとう恥ずかしさの行き場を失いアリエスは顔を覆いへたり込んでしまう。
「キリヤよ…お主はこの国を代表する聖女の加護を持つ魔法使いを傷物にした。」
「お前が(おばば様が)やったんだろうが(じゃないですか)」
タイミング良く発言が重なりお互い目線を逸らす。顔が熱い。
「だからお前たち!結婚しろ。」
「はぁぁぁぁぁ??」
唐突すぎて訳がわからなかった。
「フィリアスそれは流石にアリエスの意思だって…」
「私は…キリヤと結婚する為に指導を受けていた…けど!いいいいつでもっ覚悟はできてるぞ!!と言ったもののまだその…」
今思えば100年前から仕組まれていた計画なのではとさえ思い始めてきた。
「だが、急に100年前王国を救った勇者がアリエスと結婚だなんて言われても国民は納得しないじゃろう。」
「いや、話を勝手に」
「しかぁーしワシの予想ではこれから魔物の大群がこの国に押し寄せて来るだろう。」
また訳の分からないことを言い始めた。
「本来あるべき歴史では、100年前私は生還し、魔族もおらず平和な今がありワシも歳で死んでおるはずじゃった。
しかし時の勇者様の活躍により兄上様までも生存しワシの負担が減ったことで長生きしてもうた。」
「つまり…??」
「大幅に歴史が変わったことにより時空の歪みが出来ておる。恐らくキリヤが一番最初に見たルミナス王国と同じようにな。」
そうか……あの荒れ果てた土地と魔物は100年前の起源点を消して大幅に時空が歪んだ現代だったのか。
「というか、この時空の歪みの原因ってフィリアスじゃ…」
「………コホン。許せキリヤ」
齢110のババァがペロッと舌を出した
「お前が悪いんじゃねぇかよ!今すぐくたばれ!」
「なっなんて事を言うんじゃ戯け!そもそも長生きしろよなんてカッコつけて去ってた馬鹿はどっちじゃ!!」
「長生きしすぎだろどう考えても!!この国の平均年齢はどーなってんだよ!!」
110になってもフィリアスとの口喧嘩の質は変わらなかった。ぎゃあぎゃぁとお互い言いたい事をぶち撒ける。
一通りスッキリしたところで現状は変わらない。
魔物の大群が押し寄せてくるのだ。
「んで、結婚は置いといてどうするんだ?」
「はて?アリエスの裸を見えそれでも揺らがんとは頑固な男よ」
俺とアリエスお互い同時にボフンと湯気が出た。
その話はもう良いんだよ…
「まぁキリヤとアリエス二人が活躍して魔物達を全員倒せば良いのだ。なぁに本来の歴史からババア一人生きながらえてるだけ。大した魔物は出ないであろう。」
そういうのを俺らの国ではフラグって言うんだよなぁ…
「フィリアス様!!魔物の大群が押し寄せてきます!!」
「やはり来たか…」
「キリヤ殿、行こう」
アリエスが立ち上がった。あれ?そういやこいつ騎士じゃ無かったか?随分な軽装だけど…
「結局何処にいてもおれは振り回されんのか…」
トホホと思いつつも折角救った国だ
魔物の大群で崩壊されても困る。
やれやれと息をついた俺は魔物を迎え撃つべく群れの方向へと急いだ。