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第五章 <反乱 其壱>

 「…まさか、孔明の跡継ぎになるつもりではありませんよね?」

言葉の意図が掴みにくかったのか、とんでもない憶測をしてきた晴嵐。

やや眉をひそめながらも、ちゃんと否定しておく。

「どうしてそうなるのよ。違うに決まっているでしょう。良いから黙って聞いて。」

無言で頷いた晴嵐に、私は作戦内容を全て話した。

そして、当たり前といえば当たり前なのだが、絶句された。

そして、

「それは…かなりの博打になりますよね?」

絞り出すようにして、そう返してきた。

「そうね」

一旦は、その言葉に、同意を示した。

その後、なら何故それをするのだと言い募る彼を手で制し、淡々と理由を説明する。

「孔明の養女になるなら、まず商家か何処かの家の養女にでもならないと話が進まないし、そもそも私が耐えられない。吐き気がする。かといって、権力を力づくで奪ったって、雪桔はともかく、どうせ綜竜の部隊が出てくれば、数か月後には負けるでしょう。綜竜ごと倒すなんてできる筈がないし。それなら、いくら博打になろうが、これが一番成功する可能性が高いのよ」

晴嵐は、顎に手をかけ、少しの間考えるそぶりを見せた。

そして、真っ直ぐに私の目を見て、頷いた。

それに私も頷き返して。

密談の本番が、始まった。


都、紫晶の一角に構えられた小さな薬屋にて、そのような会話が、交わされた、僅か一週間後。

かつて雪桔の都であった土地、青楼(せいろう)では、大規模な反乱が勃発していた。

絶え間なく響き続ける甲高い叫び声に、火薬の爆発音。あちこちで上がる火柱や、行く手を阻む黒ずんだ煙。

当然ながら、皆、大混乱に陥っていた。


だが。

不思議なことに、反乱軍の姿は何処にも見えない。

人々の大半は、恐怖に駆られ、逃げ惑う一般市民であり、反乱軍討伐のために青楼へと派遣された武官たちも、途方に暮れる有り様だ。

そのくせをして、仲間の武官たちは、一人。また一人と、バタバタと倒れていく。

彼らは、目の前に広がる光景の全てに困惑し、血を吐くような鍛錬を重ねている身を持った者ですら、畏怖を抱いている。

自分たちに向かってくる者と対峙するために出向いたにも関わらず、そのような者はおろか、騒ぎを引き起こした者の姿すら、見つからないのだから、その感情は当然のことではあるが。


だが、彼らは気付かない。

一般市民は誰一人として、傷一つとして付いていないということを。

また、反乱を起こした者たちであり、自分たちの敵は、自らのすぐそばに居るということを。

そして、自らの隙を冷静に狙っていることを。

この反乱は、旧雪桔の元貴族、又は貴族の異能者の多くが結託して起こしたものだということを。


そして。


彼らの戦いの本番は、まだ始まってすらいないということを。


彼ら以外の者は、誰一人として、知らない。




皆様、お待たせいたしました。

更新が四ヶ月以上滞ってましたが、これからもこういったことが多々あると推測されます。

ですが、どれだけかかっても完結させてみせるので、その点に関してはご安心ください<(_ _)>


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