Blink
小さく息を吸って止め、ゆっくりとまぶたを閉じる
辺りに散ったガラス片がヒカリを分解して、時間を早めていく
目を閉じようとしている僕には今が朝か夜か分からないけれど、
世界が暗くなっていくのだけは何となく理解できた
今まで何度も繰り返してきたこと。
これから何度も繰り返していくこと。
僕が生きている間はずっと続いていくこと。
まるでシャッターを切ったようにつながっていくヒカリの欠片達は、また少しずつ拡散していく。
何も見えなくなっていく
先ほどまで見えていた色は輝きを失い、
僕は目をつぶる速度を上げる
そして、僕の世界はヒカリとともに閉じた
だけど、目を閉じたはずなのにまぶたの裏で色が焼き付いて離れない
放り出された真空の中で、僕は動くこともなくただ流されてゆく
日が上っていることを朝と教わった。
日が沈んでいることを夜と教わった。
なら、今はどうだ?
時間はおっくうそうに動こうともしない。
僕は永遠を生きているのか
それとも、いつまでも届かない場所へと死に続けているのか
だけどこれだけは分かる
たどり着く場所はいつも同じだということが。
僕は眠ることをやめ、発光を続け、反射を繰り返す、僕のいる世界に戻る。
ああまたここか、と嘆く
回り続ける世界は、何度も同じことばかり問いかけてくる。
なのに、答えはまだ出てこない。
だから、次こそは見つけられるように、
僕はゆっくりと目を開けた。