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14話すみれの花咲く頃
きらやかな春風をまとい、木漏れ日の演奏に合わせて春枝は歌いました。
『すみれの花咲く頃』は、元々はドイツ語で作られた中欧の流行り歌でした。
その愛らしい歌は、すぐにフランスの流行歌として人気を博すのです。
フランスでは、『白いリラの咲くとき』と言う題名でしたが、日本でこの曲を紹介することになる白井鉄造さんが、日本の少女達にも思い浮かべる事の出来る花に変えて、日本の歌詞を考えることになりました。
リラは、フランスでは春を告げる花です。
そして、キスなどの文字を含む元の詩では、当時の日本では公開が出来なかったために、日本的な少女らしい恋の歌として、現在でも宝塚歌劇団を中心に愛される曲です。
春枝の声は、甘酸っぱい春の風を含んで部屋を巡りました。
その歌声に、家守は小さかった春枝の事を思い出して幸せな気持ちになりました。




