一節:機械と魔法
本章は出来次第投稿という感じで細切れにやってみたいと想います。
詠唱を行うと何故魔法が発動するか。研究者はその法則を発見できないでいた。自己の魔力を消費せずとも、時には自己の魔力を上回る魔法も発動できる。発声するだけならスピーカーでもよいのではないかと試しても当然発動しない。人工声帯をつけた人間は魔法を使える。人の演奏からも魔法は発動できるが、機械仕掛けで演奏しても発動はしない。状況的な事象からすべてをそれで説明できるわけではないにしろ、詠唱をする際に少なからず魔力が必要であると結論付けられる。魔法により人類の能力が底上げされ、多くの病気、老化から解放され、自立機械の可能性は大きく狭められた。足りなくなると思われた労働力が人類だけで足りるようになってしまったからである。誰でも簡単に使える魔法技術が発展すると、複雑で開発が難しい機械技術は衰退こそしないものの進歩は遅くなった。それでも一部の研究者達は突如与えられた魔法だけに頼ることを恐れ、その力が無くなった時のために機械技術を進歩、保全しようと努めた。そうした活動の中で起動から発現までまったく人に頼らない魔法の発動方法が発明される。スピーカーからの音声により人と同じ魔法を再現することに成功したのである。当時はボタンを押すという人の動作は必要であったものの、人から直接供給される魔力(魔力供給元がマナバッテリーの為魔力自体は間接的に人が準備している)によらず魔法が発現できたのである。この発見はその分野では注目を集めたが、そもそも出力が低く人がやったほうが早い、同じマナバッテリーなら魔法陣を維持するほうで問題ないと他方から注目を集めることはなかった。
兵庫県加東市に工房を持つ技術者、加瀬忠宏(33)は小型工業機械を製造する小さな会社を経営する傍らでアンドロイドの製造を夢見て試行錯誤していた。魔法が発達した現代に機械だけで作られた人形に役目は無かったがそれを作りたいという想いだけでそれを成し遂げようとしていた。そうして過ごしている時に高校の同窓会の連絡が届く。彼女にとってはそれが運命の分岐点となった。
しばらくは開発者サイドの話になる予定です。




