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けいおす・みそろじー  作者: 藍玉
如月竜馬の章 第二部2127年 英雄たちの選択
33/50

14節:そしてそれから

 竜馬は本部に戻ってからすぐに大隊長に除隊の意思を告げた。


「はぁ?お前が勝手にやめられない立場なのは理解ってるだろう。契約と法律上の拘束もあるんだぞ。」


 神埼大隊長は頭を抱えて言う。


「それは覚えていますが、そこを曲げて発言しているつもりです。」


 竜馬は涼しい顔で言う。


「沼田市と梨本家から苦情が来ているでしょう。」


「確かに来てはいるが・・・そんなもの国防の前には小さな話だ。」


 竜馬の確認に神崎はイライラしながら答える。


「おそらく梨本家は地元を中心に世論を操作して攻めてくるでしょう。そうするとこの教育システム自体が破綻してしまう可能性があります。そうなる前に私を切り捨ててください。」


 竜馬が淡々と良い、神崎は少し顔を上げて考える。


「なにか腹案があるようだな。」


 神崎は竜馬の顔を見て尋ねる。


「制度そのものに世論が反発する前に・・・実際にそうだということもありますが隊規違反の名目で懲戒して頂きます。多少大げさに違反をでっちあげてもらっても問題ありません。そもそも唐松の目的が私の社会的地位の抹殺または低下のはずなのでそうしておけば梨本家からの攻撃はすぐに無くなるはずです。それで隊自体への被害は最小限に済むはずです。ほとぼりが覚めるまでの間に私はぼちぼち地域の防衛支援をしながら各地の転送ネットワークを確立しておきます。落ち着いた頃に人外種対応の民間警備会社を立ち上げます。民間契約もしますが、メインは国、強いて言えば自衛隊との共闘関係に持っていきたい。」


 竜馬はつらつらと対策と今後の見込みを話す。


「はー、不名誉はお前が一身に持っていって、最終的に実利だけ残そうってことか。潜伏している間に地域の好感度だけは少しずつ稼いでおいて宣伝もしていくと。問題は人材と金はどうするんだ。」


 神埼は一通り納得した後竜馬に問う。


「金に関しては当面どうとでもなると思ってください。スポンサーの当てがついてるので。人材については様子見ですが、たぶん私だけでしばらくはどうにかなります。」


 神崎は竜馬の顔をみて怪しみながらもそう信じたくはなった。


「例の女神の力ってヤツか。」


「概ねそういうことになります。大言壮語に聞こえるとは思いますが、現時点でもよーいドンで始めるなら私一人で大隊を全滅に追い込めると思ってください。」


 竜馬はケロッとした顔でいうか密かに圧を込める。


「なるほど、話がどういう向きになろうと我々に拒否権はないということだな。つまりこの話で通したほうが我々がお得ですよってことだな?如月二尉。」


 神崎は椅子に寄りかかって大きく息を吐く。竜馬は静かに礼をする。


「わかった。上にはそういうことで話を通しておく。今のうちに引き継ぎとその他書類関係の準備だけは頼む。」


「了解しました。今までありがとうございました。」


 竜馬は深々と礼をする。


 三日後、竜馬は民間人への傷害行為等によって懲戒、強制除隊に処分される。上層部の報道陣を通しての謝罪が行われ世間を騒がすも、梨本家や世間からの追加の行動もなく2週間も立たない内に沈静化した。竜馬は各地を点々としながら予定通り準備を進め1年後に富山の山奥に本社を構えて対人外種専門の警備会社『BlackCat』を立ち上げる。大小問わず連絡一本で全国どこでも対応した。個人契約も多少は行ったが、契約がなくとも連絡があれば対応することから除隊の事件も気にせずに多くの人々から指示を集めた。契約がない場合現地交渉の為多少はトラブルがあるものの最終的にはそういうものだと受け入れられた。警察や自衛隊などいらないとまで言われ始めたが人間相手のトラブルについては全く手を出さないので、彼らの仕事がなくなることはなく次第に両者の棲み分け的なものが認知されることになる。彼に会おうと本社を訪れても彼はそこにはおらずシンボルとされている黒猫がいるだけ。黒猫が必要とした認識した人の前にだけ彼は現れるという。


「ニャー。」


 彼は今日も明日も全国を飛び回って敵意ある人外種を力なき人々のために排除する。彼の目的のために。

竜馬は穏便に除隊しようと手を回していますが、いざとなったら力任せに逃げるつもりでした。隊の中にいても力の向上が望めなくなったので、独自に研究と訓練をする必要があると考えての除隊です。

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