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けいおす・みそろじー  作者: 藍玉
如月竜馬の章 第一部2125年
13/50

一節:魔法に侵食される世界

 2075年に魔法が世界に現れて世界の事情は激変した。人によっては黒円のでた2072年からという研究者もいるがそれ自体は歴史家の両分で使用者にはさほど意味のないことだ。大半の国家は大きな研究機関を設置し魔法の研究開発を進めさせた。とりわけ発展に大きく貢献したのは日本やアメリカのファンタジーオタク達だった。比較的日陰者だった彼ら(女性もいるだろうがあえて彼らとする)は日々魔法の法則や原理を解明していき広く知識を解放した。少なからず隠匿するものもいたがインターネットによる情報拡散力の前ではそのような隠匿など些細なことだった。彼はゲームや小説、物語をベースに開発したため攻撃的な魔法やそれに対応する防御の魔法が早く生み出されてしまい世界はある意味暴力の支配する世界へ逆戻りしていった。少なからず生活に関する魔法も開発され人々の中に浸透していった為、1年前の恐怖と50年後の来たるべき厄災のためにもと魔法は人類の中に受け止められていった。1年でそうした基礎的な魔法が出来上がり、それを知った学者達が自らの専門分野に持ち込みさらなる細かい研究が進められた。半年もしないうちに常温核融合が成功し世界のエネルギー問題は解決したと叫ばれ、病原体を直接体の外に転移させる方法が確立され人類は病から解放されたとまでされた。科学的アプローチでは成功しなかったものが魔法を挟むことで解決されたことは世界的に喜ばれたが、真の物理や医学の解明が後退するのではないかと嘆くものもいた。そうした背景もあって世の中には反魔法勢力が少しずつ増えていった。これらの魔法はすべて人類個人の魔力のみで行われ。通常は無詠唱もしくは数単語で発動される。30年後あたりからこれらの魔法使い群を『第一世代』と呼ぶ。

 2081年頃から魔法陣の技術が確立し始める。それと並行して魔法の発動の際に言葉を増やしたほうが魔法の力が高まることが発見される。こちらは詠唱と称され、どのような言葉を増やすと強化されていいくのかが研究対象となった。どちらも発生元違えど自分以外から魔力を集める技術である。魔法陣は世界から、詠唱は高次元界から魔力を集積する技術になる。発生元が人類の知識になるのはより後の話であるが、これらの技術により魔法は大規模、高出力化していった。人々の小競り合いは更に大きな力により被害を増していく、その一方で魔法陣による常時防御も開発され、危険なところはより危険に、安全な場所はそれなりに安全になっていった。魔法陣により人を介さず魔法が維持できるようになったことから、世界のエネルギーは電気動力から魔法動力へ徐々に置き換わっていった。このように魔法陣と詠唱を使用し始めた魔法使い郡を『第二世代』と呼ぶ。

 2088年にいわゆる核融合による錬金術が確立される。珪素から金が生成されたのだ。これにより世界の物質事情は大きく変化し、一時期は欲望により人類が滅亡するとまでいわれた。空気から金が生成されるにまで至ったからである。が、貴金属の暴落と各国家の法制化により比較的早い段階で沈静化した。混乱が収まってからは錬金術はすべてのゴミが資源となる究極のリサイクルとなった。この7年後には物質を生み出し永続固定化する魔法が生み出され、今度はものが溢れすぎて地球が滅ぶのではないかと言われることになるが、同時に魔力に戻す魔法も開発されていたのでさほど問題にはならなかった。

 2093年円形が主であった魔法陣を帯状にして繋げて使用する変形魔法陣が出現。また帯の接続を魔法によって繋げることで発動できる方法の発見。帯の間に魔法による一時的な魔法陣を挟み込むことにより、魔法陣の部分的な効果変更追加方法が確立。これらの結果魔法陣を巻物状にすることによって小型化に成功する。その後、金箔技術と微細加工技術によって10m級の魔法陣は約2cmの立方体にまで縮小された。こうした魔法陣の小型化携帯化により特定の強力な魔法を高速使用する道具が開発される。発表された試作品が立方体であったため「マジックサークルキューブ」、MCCや単にキューブと呼ばれる魔法道具の誕生である。キューブの登場により魔法使い個人の攻撃力が激増。固定化されていた強力な魔法を持ち歩き、任意に発動できるようになってしまったからである。さらに2094年にはキューブを複数組み合わせて任意発動できる補助道具スタッフが開発され、利便性が向上、前年に開発されたマナバッテリーと組み合わされマジックデバイスと呼称される兵器が誕生する。『第三世代』の誕生である。詠唱により1分かかる魔法でもデバイスでなら3~5秒程度で発動可能なのである。兵士は詠唱により周囲から魔力を集め、デバイスに注入しキューブにより魔法を発動する。大型魔法陣が核の代わりとなり抑止されていた人類の野望が鎌首を持ち上げ始めた。

 2097年中国がインドに服従を求めて宣戦布告。各国から避難を浴び、アメリカがインドの支援を表明。日本、インドネシアもそれに続き支援を表明。それに反発してロシア、統一韓国、東アフリカ諸国が中国の支援を表明。武器を含む物資の支援が始まり、さほど立たないうちに軍事介入が始まる。第三次世界大戦の勃発である。各所で大規模な戦闘が行われ多くの生物の命が失われた。それに比例するように魔法の質とキューブ、デバイスなどの魔道具の技術も発達した。一進一退の不毛な戦いが8年続き国家は疲弊していった。人民の不満は貯まるも各国も面子の問題、ひいては責任の所在となる戦争の落とし所を見つけられないまま小競り合いが続いた。

 2105年12月。人外種と呼称される今まで地球上に存在しなかった生命体が各地に出現する。多くの人外種は人類に牙を向いて襲いかかり全世界を混乱に陥れた。30年前と違い人類の魔法技術によりそれらは容易ではないにしろ撃退はできた。しかし、それらが出現したことにより30年前の悲劇と20年後の厄災通告を思い出し、中国がインドに年間国家予算程度の賠償金を払う形で全世界を納得させ大戦はなし崩し的に集結した。そこから各国は自国に出現した人外種の対応に追われることになる。

 この頃から世界に幼少から魔法の才に優れるものが散見し始める。魔法発現から代を重ねるごとにその傾向はあると言われていたが、それと比較しても段違いの才能を持つものが現れていた。また、神の声を聞いた者、祝福を受けた者というものも現れ始め人々の間に神の実在が浸透していった。

 2112年ドイツのミュンヘン南方に立てこもっていた人外種ドワーフとの和解が成立。人類の敵ではなく人類と共に行きていける種族である宣言され立てこもっていた城塞都市周辺を彼らの自治区として認めた。この判断と裁定を皮切りにモンゴル、フランスのハーフリング、ケンタウロス、エジプト、アフリカの獣人、アメリカのドワーフ、中国のエルフなど友好的だった人外種と協定が結ばれ協力関係がとられていった。30年前の侵攻エルフと似ていた為遅れて2年後、日本のエルフとも協定が結ばれ、主だった友好種族との協力関係は完了した。人類と同等の権利を認められ、各所属国家の法律の範囲内で自由が認められた。協定を結ばれた種族で奴隷のような扱いを受けていたものも解放され保護された。しかし偏見の目はすぐには解消されず今後長い間少なからず差別を生み、人類至上主義者が各地で目立ち始める。

 人外種への対応も一息つき50年目に向けて各国の対応が本格的に始まる。日本は自衛隊をベースに魔法使いが配備され、各地に現れた優秀な子供が集められ専門的に教育、訓練が行われた。先の戦争の多数の戦争孤児達も来たるべき事態に備えるために国の施設で保護され訓練されていた。自衛隊員を安易に増やせない背景から、民間警備会社に魔法使いの確保と訓練を依頼し傭兵的な使用を前提に進め、並行して国家が対応しきれない各地の人外種対応に当たってもらうことに法制化された。これらを管理するため魔法の使用は免許化され最低限の能力と倫理観をもって発行され、魔法に関わるすべての作業、売買に必要となってくる。それと合わせて懸賞金制度は形を変え敵対人外種への民間対応の擬似的な依頼として魔法使いの間に広まっていく


魔法が科学技術と混じりながら発展しましたよという話。

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