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異世界転移料理人は、錬金術師カピバラとスローライフを送りたい。  作者: 山いい奈
8章 好きなものを作って、食べて、そして。
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第2話 枝豆は万能なのですカピね!

さて、枝豆はどうなるのでしょうか。

どうぞよろしくお願いします!(* ̄▽ ̄)ノ

少しでもお楽しみいただけたら嬉しいです!

 さて、家に帰って早速枝豆の下処理である。(はさみ)を使って丁寧に(さや)を切り離して行く。それをボウルと(ざる)を重ねたものに入れて行って。


 まずは塩を揉み込む、鞘同士を擦り合わせる様にしっかりと。


 それを良く(すす)いで汚れと産毛(うぶげ)を取り除き、笊を振り水分を切って、今度は味付け用の塩を揉み込んで行く。


 それを蒸して行く。大きな鍋に少量の湯を沸かし、ボウルと笊ごと枝豆を入れ、(ふた)をする。時間にして4分程。


 蓋を開けて、ボウルは残して笊ごと枝豆を取り出し、そのまま冷まして行く。その間にもじんわりと火が通る。


 粗熱(あらねつ)が取れたら出来上がりである。


「へぇ、綺麗な緑色だ」


 カロムが感心した様に声を上げる。


「塩をしっかりしてるからね。味付けも兼ねてるよ。早速味見をしてみようか」


 カロムと1鞘ずつ取り、指を使って中の豆を押し出すと、ぷるんと綺麗な緑色の枝豆が顔を出した。


「グリンピースよりも淡い色なんだな。形はまぁ、そりゃあ大豆と変わらんか。こっちの方が大きいが」


「大豆は乾燥させて水分を抜いてるから、その分小さくなるんだろうね。じゃあいただきます!」


「いただきます」


 待ちに待った枝豆だ。浅葱は鞘に含められた塩分とともに枝豆を1粒2粒3粒と、鞘に入っていた分全てを続けて口に放り込む。


 ()み締めると、程良く塩気を(まと)った枝豆の爽やかさと甘味が口の中いっぱいに広がる。蒸しているのでほくほくに仕上がっていて、何とも(ふく)よかな味わいである。


 浅葱は嬉しくなって眼を細めた。


「ああ〜美味しい! やっぱりこれだよ!」


「成る程な、これは確かに旨い。エールに合うって言ってたが、このままでも充分だな。良いおやつになりそうだ」


 カロムも満足げに頷く。


「これはこのままで食うだけなのか?」


「ううん、いろいろな食べ方があるよ。まずはこうして蒸すか茹でるかしなきゃだけど。そうだなぁ、今夜は2品作ってみようかな。蒸しただけのものも勿論出すよ。エールとの相性を見てみて欲しいからね」


「楽しみだ」


「じゃあ早速手伝って欲しいな。料理に使う分を鞘から出したいんだ」


「良し、分かった。とっととやっちまおうぜ」


 浅葱が蒸しに使った鍋から既に冷めたボウルを取り出し、布で水分を拭ったら、ふたりでそこに枝豆の()き身を入れて行った。




 さて、夕飯の調理開始である。カロムのお陰で枝豆はそう時間も掛けずに鞘から外す事が出来た。ボウルの中で艶々(つやつや)と、料理に使われるのを待っている。


 まずは玉葱(たまねぎ)をスライスする。マッシュルームは適当なサイズにスライスし、豚肉も一口大にスライス。にんにくは微塵(みじん)切りにし、トマトは粗微塵(あらみじん)に。


 オリーブオイルを引いた鍋ににんにくを入れて弱火でじっくり炒め、香りが立って来たら玉葱を入れる。しんなりと透明になるまで炒まったら豚肉を入れて、しっかりと炒めて行く。


 火が通ったらマッシュルームを加えて更に炒めて行く。マッシュルームが汗をかいて来たら赤ワインを入れてしっかりと煮詰める。酸味が飛び甘い香りがして来たら、ブイヨンをひたひたより少なめに入れる。沸いて来たらトマトを加えて煮込んで行く。


 さてその間にもう1品。烏賊(いか)(さい)の目に切って行く。ゲソも硬い吸盤をこそげ取り、同じ位の大きさに切っておく。


 フライパンにオリーブオイルとバターを引き、烏賊を炒めていく。大方火が通ったら鞘から外した枝豆を烏賊と同量程度入れ、炒めて行く。


 烏賊に火が通り枝豆が温まったら塩胡椒(こしょう)で味付けをしたら。


 まずは1品目、烏賊と枝豆のバターソテーの完成である。


 さて、煮込みも仕上げに入る。充分に煮込まれているので、そこにも枝豆を入れる。ざっと全体を混ぜたら味を整える。砂糖を少量、塩と胡椒。


 豚肉とマッシュルームと枝豆のトマト煮込みの出来上がりだ。


「へぇ、緑が淡いからかな、トマトの濃い赤に良く映えるな」


「うん。我ながら美味しそうに出来た」


「アサギのトマト煮込みは裏切らないからな。絶対に旨いだろ」


 出来上がった2品と枝豆の塩蒸し、そしてエールをトレイに乗せて、食卓へと運んで行く。カロムがテーブルに並べてくれている間に、浅葱が研究室にロロアを呼びに行った。


「ロロア、ご飯が出来たよ」


 ドアをノックして言うと、「すぐに行くのですカピ」と中から返事があった。


「慌てなくて大丈夫だからね」


 そう声を掛け、浅葱は食卓へと戻る。カロムはテーブルの脇で立って待っていてくれた。


「ロロア少し手が離せないみたい。て、あれ?」


 浅葱がそう言った時、ロロアが食卓に入って来た。


「お待たせしましたカピ」


「大丈夫だったの? 何か途中だったんじゃ」


「大丈夫なのですカピ。ご飯の方が大事なのですカピ」


 ロロアは言うと、ひらりと椅子に上がった。浅葱とカロムも席に着く。


「じゃあいただくか!」


 カロムの言葉で浅葱たちは両手を組む。神に祈りを捧げ、次にはいただきますと手を合わせる。


 まずは皆でエールをぐいと一口。


「ぷはぁ! 美味しい!」


「ああ、旨いなぁ!」


「美味しいですカピ!」


「じゃあ枝豆、蒸した枝豆食べてみて。で、またエールを飲んでみてよ」


「おう。ロロア、剥こうか?」


 ロロアには村から帰って来た時に枝豆の事を伝えていた。


「多分自分で出来ると思うのですカピ。やってみるのですカピ」


 ロロアは研究で両の前足を器用に使うので、枝豆を鞘から外す事ぐらいは朝飯前だろう。


 枝豆の剥き身を口にする。浅葱などは2鞘続けて食べてしまう。そしてまたエールをひとくち。


 浅葱はその組み合わせの素晴らしさに、「んんっ」と眼を閉じた。


「やっぱり良いなぁ! ビールと枝豆、合うなぁ!」


 するとロロアとカロムも「んっ」と眼を見開いた。


「本当だ。これは合うなぁ! こんなシンプルな豆なのに、こんなにも旨い」


「そうですカピね! とても合いますカピ。ビールも枝豆も美味しいですカピ!」


「ふたりとも気に入ってくれた? 嬉しいなぁ!」


 浅葱は笑顔で言って、また枝豆を手にした。


「飯の前に食うのにも丁度良いな。前菜ってところか」


「僕の世界でも、そんな感じで枝豆を食べる事が多いかなぁ」


「これは止まらないですカピね」


 ロロアも言いながら、またその手が枝豆に伸び、器用にその手で枝豆を剥いた。


「枝豆はエールもそうだけど、お酒との相性がとても良いんだ。アルコールの分解を助けてくれるんだよ」


「そうなのか。そりゃあ何か安心だ」


 そうしているうちに、当たり前だが塩蒸しの枝豆はからっと空いた。


「何か終わっちまうのが勿体無い気がするな」


「そうですカピね」


 カロムが「はは」と笑い、ロロアは少し残念そうに眦を下げる。


「サリノさんまた来てねって言ってくれたし、また譲ってもらえると思うから、また蒸すよ。それよりも、今日は他の枝豆料理もあるんだからね」


 浅葱が言うと、ロロアとカロムは「そうだった」「そうでしたカピ」と、早速スプーンを取った。


 そして眼を見合わせたふたりは、示し合わせた様に烏賊と枝豆のバターソテーを前にした。烏賊と枝豆を合わせて(すく)い、口へと運ぶ。するとふたりの口から「ほう」「おお」と声が漏れた。


「へぇ、塩で蒸したのも旨かったが、バターの味付けも良いな」


「ぷりぷりの烏賊との歯応えの違いも面白いですカピ」


「だな。烏賊の味が淡白だからか合うな」


 気に言って貰えた様だ。浅葱はにっこりと笑みを浮かべる。


「じゃあ今度はトマト煮込みだな。と、ああ、こっちも良いな。トマトの軽い酸味と枝豆の甘味が合うんだな。うん、凄い旨い」


「豚肉と食べても美味しいのですカピ。枝豆は万能なのですカピね!」


 ロロアの言葉に浅葱はまた嬉しくなって、「えへへ」と照れた様に笑う。


 畑まで直接行かなければならないのは手間かもしれないが、そんなのは些細(ささい)な事だ。サリノのご厚意に甘えて、また譲って貰う事にしよう。

ありがとうございました!(* ̄▽ ̄)ノ

次回もお付き合いいただけましたら嬉しいです。

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