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不撓不屈の勇者の従者  作者: くろきしま
第1.5章 村を追い出されたのに、近くの森で迷子になりました。
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第EX話 サカモト

遅れました。

書きたてホカホカです。

 私は此処とは違う世界から来ました。


 なんて言葉を吐こうものなら、大抵の人間は苦笑するなり正気を疑うなりするでしょう。


 お父さんとお母さんが若い頃にどハマりしていた涼宮なんとかの世界……つまりライトノベルの世界。

 図らずしも、わ……僕自身がその言葉を吐く側になってしまったわけだけれど……はぁ、鬱だ。


 さて、僕は異世界からきました。

 別に交通事故にあったわけでも、隕石が直撃したわけでもありません。


 僕の世界は……地球は滅んだのです。

 原因は徹頭徹尾人類が悪かったんです。

 別に戦争したわけではありません。

 ただ……調子に乗りすぎた。

 まぁ細かい話はいずれ語る時もあるでしょう。


 ともあれ、気付けば僕はこの世界にいたのです。

 僕がいるという事は、僕以外の地球人がいるかもしれない。

 もっと言えば僕の家族がいるかもしれない……そんな思いで旅をしています。


「異世界……のぉ、俄かには信じられんな」


 髭を蓄えたお爺さん、ボルカさんは言いました。


 ここはボルカさんの巣。

 カミュナ村の裏山……裏山と呼ぶには些か標高は高い気がするけど。

 その頂上にボルカさんの住処がある。


 僕は今、ボルカさんとテーブルを挟んでお茶を飲んでいた。


「僕は月が十二個も空に浮かんでいる事が信じられません」


 サカモトは空を仰ぐ。

 そこには十二個の丸い月が輪を作り空に浮かんでいた。


(つまりこれって公転してないってこと?)


 星に十二個の月が天使の輪っかのように浮いていると言えばイメージ出来るだろうか。

 専門知識が疎いサカモトでも、これが非常識な事なのは分かった。

 どうやらこの世界は地球と根本的に異なるようだ。


「ワシの正体を見破ったのも関係あるのかの?」

「元々ではありません……僕がこの世界に来た時にはこの能力を身につけていました」


 そう言って再度ボルカを視る。


【仮想鑑定】///////////////////////////


 名前:ボルカ

 種族:たぶん竜種

 年齢:測定不能。外見年齢九十歳(合法ロリの逆? 需要無いね)

 体力:測定不能。(絶対に戦ってはダメ)

 魔力:測定不能。(魔力が桁違い過ぎ)


 備考:下ネタ大好き爺さん。

 体の重心が若干後ろぎみ、尻尾を隠しているものと思われる。

 人に化けられる尻尾付きの種族は、古今東西竜と相場は決まっている。


 /////////////////////////////////////


 と言った感じに見える。

 なんともラノベっぽい能力。

 視覚、触覚、味覚、嗅覚でこの仮想鑑定の精度は高くなる。


 鑑定スキル。

 よくあるラノベでは視るだけで相手の全てをつまびらかにする能力だが、そこまで万能なものではない。

 先程語ったとおり、精度がある。


 毒キノコがあったとしよう。

 視覚情報で毒キノコと一致する特徴があれば結果として出る。

 だが実際に毒性を持っているかはわからないということだ。


 だから仮想鑑定・・・・

 サカモトが得た経験や情報を元に生成される一覧だ。


(何が厄介って憶測や推測が混ぜこぜになっていることなんだよね)


 各項目のかっこ書き……頭が痛くなる。

 備考欄なんて『思われる』やら『決まっている』とか飛び交う始末だ。


「能力というより、洞察力といった方がいい代物です」

「洞察力とな?」


「存外当てにならない事の方が多いんですよ。ボルカさんは体の重心が若干後ろよりになってますよね? なので普段は尻尾に頼った生活をされているんじゃないですか? 人に化けられる尻尾付きの種族なんて竜種ぐらいしか思いつきません」


「……なるほどのぉ。確かに見事な『洞察力』じゃ。しかし、ワシの正体を暴いてどうしたいのじゃ? 返答いかんでは……」

「ボルカさんは『竜脈』じゃないですか?」

「―――」

「その反応は正解ですね。なら教えてほしいんです。異界渡りの方法を」


 異界渡り。文字通り、ここではない世界へ行く方法。

 魔神のいる世界とも言われいるが、魔術なのかはたまた呪法なのかも分かっていない。


「なるほど……異界渡りのぉ……それは元の世界に戻るためかの?」

「そうです」

「じゃが、お主の世界は……」

「私……僕の世界は滅びました。それでも元の世界に戻る手段が欲しいんです。そして欲しいものはもう一つ、過去に渡る手段」


 過去に渡ると聞いてボルカさんは目を見開いた。


「なんじゃと!? なら……おぬしは……」

「僕は滅びる前の世界に戻りたい。そのためにはまず異界渡りを……。幸い、異界渡りの事は王都の図書館で知りました。この世界の魔力循環を調整している竜脈がその手段を知っている。あなたの事ですボルカさん」


 竜脈とはこの世界の魔力循環を調整している存在だと文献で知った。

 魔力が循環する過程で魔力溜まりが生まれるそうで、それを調整しているのが竜脈なんだそうだ。


 なぜ竜脈が異界渡りを知っているのかは、文献には書かれていなかった。

 憶測だけど、竜脈である竜種には寿命という観念がないらしい。

 つまり年の功? おばあちゃんの知恵袋的な意味で書かれていたのかもしれない。


 ボルカさんは空を仰ぎ見て、しばらく思案していると。


「……認めよう。確かにワシは異界渡りの手段を知っておる」

「っ。なら――」

「じゃが条件がある」

「……条件?」


 うん、流石にタダでは教えてくれないみたいだ。

 どうしよう……エッチな要求されたら……ないか。ないよね?


「そうじゃ。ワシの頼みを利いてくれるのならば、異界渡りをおぬしに伝授しよう。利いてくれるか?」

「……分かりました。それで条件とは?」

「ワシの頼みは三つじゃ。一つは過去に戻る手段を見つけた時、ワシにも教えてほしい。これは異界渡りを伝授した後でよいぞ」


 過去に戻る手段……ボルカさんも知りたがっている?

 ボルカさんも過去に戻りたいのかな。


「二つ目は此処を越えた先……帝国の動向を探ってほしいんじゃ。年一回、カミュナ村に来た時でよい」

「……帝国?」

「うむ、徐々にじゃが……ここに帝国側から何やら怪しい輩が来ておるのでな」


 これは少々厄介だ。

 帝国……皇族至上主義の独裁国家。

 皇族の威光の元、民は皆平等であると謳いつつ、策略謀略知略が渦巻く実力主義の国。


 正直、行きたくない。

 危うきに近寄らずとは誰の言葉だったか……。


「……分かりました。それで異界渡りを教えていただけるのであれば」

「契約成立じゃな。あと敬語は要らん……さっそく異界渡り、その方法を教えよう」


 ボルカさんは立ち上がり、


「あれ、三つ目は?」

「あぁ、そうじゃったな」


 ボルカさんは振り向いて、照れくさそうに言った。


「村にイクスという小僧がおる。そいつの話し相手になってくれ」と。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 イクスという青年はどうやら村八分のような扱いを受けているらしい。

 閉鎖的な村では良くある事なのだろう。

 日本でもそんな話は偶に聞く。

 あまり気分の良い話ではない……のだが。


 実際イクスに会ってみて、困った。

 全く意に介していないのだ。

 気付いてないと言ってもいい。


 村の人から舌打ちされても、喉の調子が悪いんだろうと解釈するし。

 無視されてば考え事に集中しているんだと、避けられれば『あれ? 俺って臭う?』と自分の体臭を気にする始末だ。


 どれだけポジティブなんだよ!?

 これが伝説の鈍感系主人公って奴なのかな!?

 ……まぁモテモテハーレムの道はなさそうだけどね。


 僕には僕の物語がある。

 色んな国、地域を旅してまわり、地球人を探す当てもない旅だ。

 そこに元の世界に戻り、滅びから救うという壮大な目標も足された。


 自伝本でも残すべきかも知れない。


 でもこの物語の主人公は彼等だ。

 勇者となった女の子と従者になった男の子の物語だ。


「でもだからって僕を置いて行かなくても良いじゃないか!!」



 坂本樹さかもといつきの物語は、勇者と従者の物語と交差した。

ここまでお付き合いくださりありがとうございます。


次話より2章が始まります。

イクス達が人間的に成長していければ良いなと思います。

またある程度書き溜めたら投稿していく予定です。


それまでは一章までのキャラクター一覧やら、修正したい話があるのでその作業をするつもりです。

更新しましたら活動報告にて残していこうと思います。


累計PVが10,000突破しました!

ありがとうございます!!

初評価も頂きました!!

むっちゃ嬉しい!!


今後も頑張ります!!


今後ともよろしくお願いします。


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