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第0話 PROLOGUE1 □
それが最初、娘だとは気付かなった。
所々が欠損し、既に人としての形を留めていなかったからだ。
それが娘だと気づけたのは、去年の祭りで与えた手作りのお守りだったものがあったからだ。
僅かに肉片がこびり付いた骨を抱きしめ、男は泣いた。
息子を目の前で喰われた老婆がいた。
嫁が喰われた旦那がいた。
親友を喰われた男がいた。
生まれたばかりの赤子ごと喰われた親子がいた。
夜はまだ明けていない。
奴らの宴は終わっていない。
逃げ出す女がいた。
勇ましくも、盾となって立ちはだかる恋人の背を彼女は押した。
男に無数の影が群がるのを背にし、彼女は逃げた。
逃げながら考えた。
こうなったのは誰のせいだと。
大切な恋人を、親を、子を、親友を失ったのは誰のせいだと。
彼女は必死になって考えながら、逃げ続ける。
奴らの宴は終わらない。
夜は続く。 まだまだ続く。
2017/07/12全面改稿
09/08タイトルに表現記号追加