魔法使いになりました(1)
いつもより遅い時間の下校路を走る。
周りは夜が近づいていることを告げるように町の街灯がつき始めていた。
私はそれを見て焦るように足を速めた。
すれ違う人たちからの視線に恥ずかしさを感じる。
でも、今足を止めた方がもっと嫌なことになることをしっている私は走るのをやめなかった。
遅れたらまたどんな嫌味をいわれるか分からない・・・。
早く行かないと・・・!
いつも嫌味を言ってくる同僚を思い浮かべると、背筋に悪寒が走る。
肝っ玉の小さな自分に問題があるのかもしれないが、そのことを想像するだけでいつもいつも憂鬱になってしまう。
それはもう泣き寝入りを決めたくなるほどに・・・。
そもそも、この夕暮れ時に下校路を歩いているのには自分に問題があったと思う。
自分でもコンプレックスと認める気の弱い性格ゆえに、クラスメイトのお願いを断ることが出来なかった。
その結果、学校で拘束状態になり長い時間が経過してしまった。
しかもこの時間に下校できたのも幸運なものだった、運がなければもっと遅い時間になっていたはずだ。
偶然、唯一の友人に協力を求めることが出来たので予定よりも早い時間で課題を終えることができた。友人にはいつも助けられてばかりで頭が上がらない。
明日お礼を言わないと・・・
そう心に呟きながら、夕暮れのまちを駆けていった。