プロローグ
ひとつひとつ、消していって
ひとつひとつ、作っていって、
でも、やっぱり完璧にはいかなくて、
あるとき全てを捨てて壊してしまって、
「あぁ、神なんて居ないのだ」と
ようやくわかった。
この世界には、神と精霊、植物、動物が存在する。
神は世界を作り、その他の生命を作った。精霊は管理者として世界の要素を持つ。それぞれの要素を司る大精霊たちを中心とし、世界のバランスを保つために存在する。神が作り、動植物たちが生きるために。大精霊はそれぞれ異なる要素を司るゆえに、他の要素を司る大精霊とは力が拮抗する。
動物の中には、精霊を感じ魔力を宿すモノがいた。とある時期から動物の中で人間が目に見えて世界中に繁栄しはじめた。人間は他の動物にはない理性と知恵と魔力を駆使し、また精霊と契約することにより文化を発展させた。
またとある時代、ある一柱の大精霊が人間と愛し合い、一人の半人半精霊を生んだ。そして前後して世界と生命が作られて以来久しい新たな大精霊が生まれた。その大精霊が司るは"罪"。それゆえに他の精霊とは会い居れず、ことあるごとに諍いが生じた。そして、諍いは大戦争にまで発展した。管理者たる精霊たちによる戦争。それは当然他の生命ー動植物にも影響を与え、精霊たちの存在意義であるバランスは破綻しかけた。戦争は一人の半人半精霊により収束を迎えた。それは勝敗がつく集結ではなく、うやむやなもの。収束はすれども諍いが終わったわけではない。
うやむやな収束をさせた半人半精霊は忌み嫌われた存在となった。
聖書『精霊戦争』ダイジェストより
聖書に半人半精霊の名は"シャム"。忌み嫌われる名として、呪いとしてでさえ人はその名を使うことはない。