表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

聊斎志異について語る。その1。極私的 聊斎志異、論考

作者: 舜風人

聊斎志異、  


中国は清代の文人で科挙万年落第生?のホショウレイというお方の怪異短編小説集です。


これが日本に伝わったというか、、、広まったのは


あの、柴田天馬氏の名訳を待つしかなかったでしょう。



大正時代中国に在った氏はたまたま入院することになりその無聊を慰めるために


書架にあった聊斎志異に目を止めます。


一読、たちまちとりこになった氏は翻訳を開始、


その翻訳は氏独特のものでした。


おおよそは日本語として意訳するのですが


要所要所は漢文漢字をそのまま生かしてそれの意味をひらがなでルビを振るという


快挙?に出たのです。


こんな訳しかたってないですよね?



これですと漢字の目で見る快感と意味もルビで分けるという一挙両得?です。


実にすばらしい、


さてこうして日本では氏のおかげで一挙に広まっていったわけですが


愛読した人で有名人では


太宰治。芥川龍之介、司馬遼太郎、渋沢竜彦など、たくさんいます。


なかでも太宰は自分で翻案して「竹青」という作品まで書いていますね。

http://www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/1047_20130.html


それからあの映画「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』も聊斎志異が原作ですよ。


「愛奴」という日本映画もありましたよね?栗田勇、作でしたか?


うーん、これはいまいちですかね?つまらない。


さらには最近作、「画皮」、なんていう中国映画作品もありますよ。

もちろん原作は聊斎志異です。



中国古典小説各種あれど、


ファンタジックな色合いで、からめて、人情の機微を精細に描いて情緒纏綿といえば


この聊斎志異以外にありませんから、


(三言二拍が人情小説として傑出してますが現実的な小説ですね)


その点現代にも通じる要素があるのでしょう。


他の多くの古典的な中国文学作品は儒教やら、人倫だの、正義だの、


小うるさいものばかりで堅苦しくってつまらなくて、、、


聊斎志異のような妖気、狐狸、亡霊などに託した、あけっぴろげな恋愛賛歌?ファンタジー?


恋の永遠性?などを称揚した作品はありませんものね。


(紅楼夢がありますが現実的な小説です、)


たとえば、水滸伝は任侠・武峡小説ですから色恋沙汰も皆無に近いですし、


といって金瓶梅はポルノですから?そればっかりで嫌味ですし、


その点、聊斎志異は妖怪・幽鬼に題材は借りてはいるものの、全編、恋愛至上主義で


扱う内容たるや、人間。狐。亡霊、花の精、異人、動物の化身などとの色恋沙汰?ばかりですからね。


これは現代人にも、うけますよ、




近年、平凡社中国古典文学大系から著名な漢文学者の翻訳で




聊斎志異の翻訳は出ていますが


これはどうにも訳が日本語として、こなれすぎていて?


柴田天馬訳の、原文を読んでいるような快感?が味わえませんね。


やはり柴田天馬訳が今でも最高でしょう。


今現在手軽に手に入る本としては岩波文庫に抄訳の2冊本がありますが


これも日本語化?しすぎていて詰まりません。


一度でも柴田天馬訳を読んでしまうともう、他の翻訳は味気なくてダメですね。


さてこの柴田天馬訳の聊斎志異ですが


ヤフオクかアマゾンで


購入可能ですよ


古いのでは修道社出版の6冊もの豪華版がありますが


これはカラー挿絵が最悪です。下品で俗悪でたまりません。


文章は柴田天馬で問題ないのですが挿絵が俗悪・下劣すぎます。




私のお勧めはなんといっても、角川文庫版です。


昭和三九年ごろの古い8冊本ではなくて


改訂版の4冊本のほうですね。


これがでたのは確か昭和47年ごろでしょうか。


文章は柴田天馬でこれは他の刊本と同じですが、、


多少、、文体が現代的に改悪?されていますね?


まあそれは、おいといて、、


なんといってもその挿絵です。


これが素晴らしい、


水彩?っぽいような淡彩で


線描画なんですがもちろん彩色されていますよ。


うねるようなその線描はまさに聊斎志異の幻想世界そのものです。


これは聊斎志異について描かれた最高の挿絵です。


というか一個の作品世界を形成してるものです。(と私は思います)



作者は 井上洋介という絵本作家ですが


あまりメジャーではありませんね?


でもそんなことはどうだっていいじゃないですか。


とにかくこの挿絵はそれだけ鑑賞しても素晴らしい、


額に入れて飾りたいくらいですよ。


妖美で幻想的な聊斎志異の世界観を体現しえていますね。


ところで角川文庫リクエスト再刊本では


何とこの挿絵がカット(削除)されているのです。


これでは興味半減ですよね。


版権?の関係でダメだったんでしょうか?




聊斎志異から挿絵に飛んでしまいましたが、






さて聊斎志異本文についてはまた稿を改めていずれ書きたいと思います。


本日はこれまでとします。





お知らせ


私の作品で、、続き物、連作、シリーズものを、すべてお読みになりたい場合には、「小説家になろう」サイトのトップページにある「小説検索」の欄に、読みたい連作シリーズ作品群の「共通タイトル名」を入力して検索すれば、全作品が表示されますので、たやすくお読みになれます。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ