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王妃様の観察日誌

ここはアンバー王国王都ディアモンド。

最近、王妃レティエンヌがこそこそしている。

いつも何かしらしでかしてるレティであるが、今回はなにやら嗅ぎまわっている様子。

本人はすっかり探偵気取りであるが・・・。




昨日からパールの様子がおかしい。なんだか上の空っていうか、そわそわしてるっていうか。何かあったのかしら?


王妃様付侍女の、いつもてきぱきと働いているパールが、そのキレもなく様子がおかしい。

時折ぼんやりしたり、溜息をついたり。なんとも普段の彼女らしくなかったのだ。


レティはパールの様子をしばらく観察することにした。

片手には観察日誌と称してメモを持ち、自分の周りに結界を張って周囲から姿を見えなくして、うきうきと尾行する。ただし、国王シャルルが帰ってくるまでだが・・・。


△月〇日

今日もパールが切なげに溜息をついている。普段のパールなら溜息などつく暇もなく仕事に没頭しているのに。おかしい。気になる。

指の怪我のことを聞いたら、ほんのり頬を赤らめて話していた。むむ、あやしい。


朝食後、執務に向かう国王シャルルを見送ったレティは、背後のパールがふと漏らす溜息に気が付いた。

「あらあ、パール?体調でも悪いの?」

振り向き、小首を傾げて尋ねるレティ。

「あ、いえ?何でもございませんわ。申し訳ございません。」

と、いつもの笑顔を見せるパールだが。

・・・わたくしの眼は誤魔化せませんわよ・・・きらりと光るレティの眼。

「さ、お茶をどうぞ?レティ様。」

普段通りにお茶の用意をし、レティに勧めるパール。

普段通りソファに座り、普段通りお茶を飲んではいるが、さり気なくパールを観察するレティ。

・・・あ、溜息ついた。・・・あ、ぼんやりしてる。・・・あれ?いつの間に指を怪我したのかしら。絆創膏なんかして。

「パール?指、怪我したの?」

気になって聞いてみるレティ。

「あ、え、ええ。昨日花瓶を運んでいたところ前が見えず、廊下の曲がり角のところで反対から来ていた事務官の方とぶつかってしまって・・・。落として割れた花瓶の破片を拾おうとして切ってしまったのです。」

「まあ、大変!傷はどお?深くない?化膿してない?治癒魔法で治してしまいましょう!!」

「いえいえ!ありがとうございます、レティ様!そんなに深い傷じゃございませんの。血もすぐに止まりましたしね?」

笑顔で答えるパール。ほんのり頬が赤いのは気のせいか?




△月□日

今日は城の窓から外をぼんやりと眺めていた。いつもならあり得ない。仕事中にボーっとするなんてパールらしくない。

パールが去った後、窓の外を確認したが特に何も見えなかった。


自分の周りに結界を張って、周囲から自分の姿を消したレティ。

これで気兼ねなくパールの尾行ができるわ!と上機嫌で、サロンを出たパールの後を追う。

パールは廊下の途中、花瓶を割ったという辺りで立ち止まった。


花瓶のことを気にしてるのかしら?


レティは思ったが、どうやら違うようだ。

廊下にある窓の外を眺めて、溜息をついたのだ。

しばらく外を見つめるパール。

いくら結界を張っているとはいえ、身体はある。見えないだけで。

あまり近づきすぎると結界がぶつかってしまい、尾行がばれてしまうので、もどかしい距離で窓の外を覗き込もうとするレティだったが、いかんせん、見えない。

しばらくするとパールが立ち去った。

立ち去った後から窓の外を見ても、もはや何もない。

見えるのは事務官たちの職場である事務官執務室だけで、そこにある窓から忙しくしている事務官たちの姿が見えるだけだった。

「むーーー。」

事務官たちを凝視していたが、階下から

「レティ?!またどこか行ったのか?!サファイル!サファイル~!レティがまた行方不明になった~!!」

というシャルルの声。もう執務を終えてサロンに戻ってきているようだった。

「きゃー!帰らなきゃ!」

また近衛兵総出でレティ探しなどされたらたまらない!

小声で叫んだあと、レティは、一目散にサロンへ向かって駆け出した。



△月×日

事務官たちのところへ用事をお願いしたら、ここ最近の塞ぎようはどこへやら、ものすごく嬉々として出掛けて行った。ヒントは事務官室にあるのか?ついて行こうとしたが、シャルーが帰ってきてしまった。内心舌打ち。


「パール、ちょうどいいわ。これを事務官室にいるエメル兄様に届けてほしいの。」

封書をパールに渡しながらレティは言った。

「こちらでございますか?」

「ええ。私からだと言えば分ってもらえるわ。」

にっこりキュートな笑顔で笑うレティ。

中身はレティの長兄エメリルドに頼まれていた芝居のプラチナチケット。王妃様の特権で確保してくれと頼まれたのだ。すごい人気で、さすがのエメリルドですら手に入れることが困難だったらしい。

「かしこまりました!!」

ここ最近、溜息やぼんやりすることが多かったパールだが、一瞬にして満面の笑みになる。


むむ・・・?今テンション跳ね上がったわよ?パール。


鋭く観察するレティ。


事務官室に何かあるわね。あそこは殿方ばかり。・・・パール、誰か好きな人ができた?

まさかエメル兄様じゃないでしょうね?あれはやめときなさいよ・・・。


エメリルドには婚約者がいる。身分的には同じ公爵家の令嬢で、しかもかなり溺愛している。そんなエメリルドに恋心など、不毛すぎる。いや、そもそもパールも婚約者のことは知っているはずだから、エメリルドと言うことはあり得ないだろう。


一体誰かしら?パールの会いたい人物って。


気になるとうずうずするレティ。

パールが出て行ったのを見計らって、また結界を張ろうとしたら、

「ただいまぁ、レティ!!今日もオレ頑張ったよ~!!」

と、満面の笑みでシャルルが、パールと入れ違いに、そのドアから入ってきた。

じゅうで~~~ん!とレティを抱きすくめるシャルル。


ちっ、尾行できなかった・・・。


シャルルの腕の中で秘かにがっかりするレティだった。




△月△日

執務を終えたシャルーとサロンでまったりしていたら、急ぎの用と言って事務官の一人が書類を持ってきた。その人を見た途端にパールが固まった。そうか!この人か!

・・・って、誰?


「今日は日差しが暖かいね。」

昼食を終え、サロンのソファに仲良く並んで座るレティとシャルル。

今日の執務も終え、まったく寛ぎモードなシャルルは、レティの髪を撫でながら満足そうに言った。

「もう少ししたら庭に散歩でも行こうか。」

きらきらスマイルでレティを散歩に誘うシャルル。

「そうですわね!そうしましょう!」

花が開いたような可憐な笑顔で答えるレティ。

そんなかわいいレティを見てデレデレしているシャルルだったが、


コンコンコン!

「事務官室次長のペリドットでございます。陛下に急ぎの書類があり、お持ちいたしました。」


ノックの音と同時の、事務官らしき男の声に、眉間に皺を寄せる。

「・・・わかった。パール取り次いでくれ。」

扉近くに控えていたパールに指示をするシャルル。

・・・が、パールの返事がない。

「・・・?パール?」

返事がないことに不審に思ったレティがパールを見ると、普段ならきびきびとした態度で動くパールが固まっていた。

レティの声にハッとしたパールは、

「も、申し訳ございません。今、お取次ぎいたします!!」

慌てて扉を開けて、事務官を通した。


入ってきた事務官は、綺麗な艶のある金髪を無造作にセットし、濃い蒼の瞳はきりりとクール。ちょっと神経質そうかな?と思わせる感じだが、なかなかの美形だった。

隣に座るシャルルに、書類のことを説明する声もなかなかに渋くていい。

受け答えから察するに、仕事ぶりも有能そうだ。


パール、この人が好きなのね!!


勝手に断定するレティであった。


To be continued!!


今回だけでは不完全燃焼になってしまいました!!

ごめんなさい!

ちゃんと次話で解決します!

すぐさま次話アップしますので、しばしお待ちを!!

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