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【番外編】レティの竹取物語?

夏に活動報告で7夜連続書いたものを編集・加工したものです(*^-^*)

アンバー王国住民以外の人たちも出てきますので、ご注意くださいw

まったくのお遊び企画なので、スルーでもOKです!

昔々アンバー王国というところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。

二人は『トパーズさんとその奥さん』とみんなには呼ばれていました。


ある日、トパーズさんは山へ竹を取りに出かけました。だってそれが仕事なんだもん。

すると、山の奥深くで一本の金色に輝く竹を見つけました。


「うわー。金色に輝いてるよ? こんな竹初めて見た。これは持って帰って奥さんに見せてあげなくちゃ」


そう言うと、おもむろに「せいやっ!!」と竹を斧で切り落としました。

パカーンと気持ちよく割れたその中に、なんとちっちゃな女の子が入っているではありませんか。


「あっぶなー。赤ちゃん切れてなくてよかったよー。人殺しになるとこだったよー。スプラッタは勘弁してほしいもんなぁ」


驚き慌てて女の子を取り出すと、その子はまだ小さいながらも「にこー」と、超絶カワイイ笑顔を繰り出してきました。

すっかりその可愛さにやられてしまったトパーズさんは、金色の竹のことをまるっと忘れて放置したまま、女の子だけを家に連れて帰りました。




奥さんもすぐさまその超絶スマイルにやられてしまい、トパーズさんちの娘として育てちゃおう! ということになり、「レティエンヌ」と名付けて、それはそれは大事に育てました。


不思議なことにレティエンヌ――愛称レティ――は、すっくすくと超人的なスピードで成長し、連れて帰ってきたころは1歳くらいの赤ちゃんだったのが、3ヶ月ほどですっかり大人になってしまいました。この国では16歳が成人なので、推定年齢はそれくらいでしょうか。


超のつく美少女に育ったレティに、求婚者は次々と現れました。あまりにたくさんの求婚者が殺到したのでレティはうんざりしてしまい、選ぶのが面倒になったレティは『選抜じゃんけん大会で5人に絞り、そこからは一人に一つづつお題を出すから、それをクリアした人と結婚する』と言いました。

壮絶なじゃんけん大会が繰り広げられたのち、最終的に5人の貴公子が残りました。


 * * * * *


「そんなのただの魔法使いのローブじゃない」


レティは差し出された衣を一瞥すると、「残念でした~」と差し戻しました。

レティから衣を受け取ったのは、高名な『東の森の魔法使い』ことアレッサンドロです。


「ばかにしたなー」

「真っ黒だし、流行のデザインでもないし?」

「でも燃えないぞ?」

「燃えないけど萌えもしないもの。いらない」

「何だ、その態度は。せっかく人が用意してやったのに。帰るぞ、ガーネット」「はーい、アル様」

「なんだ、彼女いるんじゃない」

「嫁だ」

「じゃ、なおさら。なんで選抜じゃんけん大会に出たのよ?」


先程献上した『火ネズミの皮衣』ならぬ『魔法使いのローブ』を突き返され、不機嫌な様子の男に、レティは不思議そうに尋ねました。

――そう、じゃんけん大会に出るということは、少なくともレティの婿になりたい男のはず。なのになんで彼女、いや、嫁持ち?


「じゃんけん大会か何か知らんが、オレはそんなのに出てない。村の若い男が『燃えない衣をレティ様が所望されているから持って行ってくれ』と言うから持ってきただけだ」

「えー? 情報が正確に伝わってないどころか、宝探しは他人に丸投げぇ?」

「知るか」


帰るぞ、と、横にいた少女の肩を抱き寄せたアレッサンドロは、さっさと踵を返していました。


「まったく、なってないわね。他人に丸投げぇ? 一昨日きやがれってんですわ」


侍女のパールが用意してくれたお茶を飲みながらぶーたれるレティでありました。


 * * * * *


「そもそも、『仏の御石の鉢』ってなんなんだよ?」


王都の外れの道を行きながら、隣にいるプラッドに聞くディータ。


「さあ? 何か、幻のお宝なんでしょ?」

「それは誰でも知ってる」

「デスヨネー」

「で、どこにあるんだよ」

「さあ?」

「お前、さっきから『さあ?』ばっかだよな。ったく。『月刊☆伝説』によれば、王都の外れの寺院にあるとか書いてたけど」

「わ~、三流カストリ雑誌じゃない~」

「そんなのにしか載ってなかったんだっつーの」


そうこうしゃべっているうちに、立派な門構えの邸宅の前までたどり着いていました。


「とりあえず誰かに聞いてみよ。ここならこのあたりの地主っぽいから知ってそうだろ」

「うわ、ものすごいテキトー」


そんなプラッドをまっると無視したディータは、門を叩き、


「すいませーん、『仏の御石の鉢』っていうお宝のことについて聞きたいんですけど~」


と、声をかけていました。

中から現れたのは、この家の家人でしょうか、パリッとした若い男の人でした。


「鉢? 『仏の御石の鉢』という宝は存じませんが、我が館のお宝である主様の姫君は、鉢を被っておいでですが」

「「はあ??」」

「元はとても美しい姫君であらせられたのですが、仏様のお告げとかなんとかで鉢を被せられて以来取れなくなったのです」


さめざめと涙を流す家人です。しかし、


「おお!! まさしく『仏の御石の鉢』ではないですか!!」

こぶしを握り締めるディータ。

「ええっ?! 話変わってね??」

横で驚きあきれるプラッド。

「気にするな」

ディータはいい笑顔でスルーを強要しました。




屋敷の応接室に案内されたディータが鉢かつぎ姫に対面して。


すぽん。


鉢はディータの手であっさりと取れ、美しい姫君が姿を現しました。つか、顔が見えたんですけどね。

あまりの美しさに一目ぼれをしたディータ。


「何とお美しい!! 名前は何と言いますか? ぜひ僕と結婚してください!!」

「し、シシィと申します……。ワカリマシタ」


手を取り、抱き寄せんばかりのディータの勢いに気圧され『YES』と答えてしまったシシィ。


「いいのかなぁ??」


すっかり本筋をそれてしまった展開に首を傾げるプラッドでした。




そのころ。


「帰ってこないわねぇ」


お茶を飲みながらまったりとするレティです。


「そんなものだったのでしょう」


侍女のパールがしれっと答えます。


「ま、そうね。はい、脱落~」


 * * * * *


「ここが蓬莱山か?」


森の中に転移してきたサファイルとお供のジルコニスとジェダイト。サファイルは『蓬莱の玉の枝』を探せと言われたのでした。

「多分そうじゃないんですか? ご自分の転移魔法でしょ?」

半眼で上司に突っ込むジルコニス。

「知らねーとこに、どうやって移動座標置くんだっつーの」

しれっと言い切るサファイル。

「えええっ?!」

驚くジェダイト。

「じゃあここは?」

動揺もせずにサファイルに再びつっこむジルコニス。

「でも強く念じたから大丈夫だ! 蓬莱山に決まってる!」

なぜか自信満々なサファイル。

「あ、それ、すっげー怪しいですねー」

じと目で上司を見るジルコニス。

「あ! あそこに小屋がありますよー」

ほっとした様にジェダイトが道の先を指差します。

「よし、行ってみよう!」

三人は第一村人を発見すべく、小屋を目指しました。




「いらっしゃいませー。ええと、ご自分のお名前はわかりますか?」

小屋を開けた途端、目の前ににこやかなかわいらしい女の人が現れました。

「サファイル・ウル・トパーズです」

「ジルコニスです」

「ジェダイトです」

三人は条件反射的に名前を答えました。すると何やら書類を確かめた女の人が、

「ああ、ではリストに載ってないのでトリッパー様ですね?」

またにこやかに声をかけてきました。

「って、そうじゃなくて! あのーここは蓬莱山でしょうか?」

危うく女の人のペースに乗せられかけた一行。ジェダイトがハッと我に返り、質問しました。

「へっ? 蓬莱山?」

女の人はキョトンとなりながら復唱しました。

「ここは蓬莱山じゃなくてタウロス山だよ」

すると、女の人の後ろから美形の男の人が顔を出しました。そしてそのまま女の人の首に抱き付いています。

「「「えええっ?!」」」

そんな目の前の状況など目に入ってない様子で、三人は驚愕しています。

「……移動……まさかの失敗……」

呆然とつぶやくジルコニス。

「ううう……」

がっくり項垂れてしまったジェダイト。

「……萎えた……帰る……」

膝から崩れ落ちたサファイルが力なく言いました。

「「あっ、サファイル様!!」」

ジルコニスとジェダイトが、置いていかれまいとサファイルに駆け寄った途端に移動魔法か展開されました。


三人が消えた場所をボーゼンと見ながら、

「なんだったんだ?」

「さあ? ショウくんが解らないんだったら、私に解るわけないでしょ」

さては白昼夢か? と思うショウとリサでありました。


そのころ。


「また帰ってこないわねぇ」

まぐまぐ、とお菓子を頬張るレティ。

「ええ。またそんなものだったのでしょう。ちなみに、蓬莱山ってどこなんですか?」

パールがレティに聞きました。

「さぁ? 知らないわぁ。それを探し当てるのが愛なんじゃないの?」

「デスヨネー」


 * * * * *


「ツバメの子安貝とは何なのでしょう?」

王城図書館で調べるエメリルド。傍らでも助手のペリドットが調べています。

「えーと、ツバメの何かですかね?」

「ああ、ありました。まあ、ツバメの巣の中にあるものなんですね」

「アバウトですね」

「いいんです。わかれば」

「はぁ。でも今の時期にツバメはいるのでしょうか?」

「8月ですからねー。まあ、でも一応探しましょう」




とある町のとある住宅街に移動してきた二人。さあ、どこをさがしましょうか? ときょろきょろしていると、目の前を黒い鳥が横切りました。

「あ!! エメル様! あれはツバメではございませんか?!」

「う~ん、似てますね。追いましょう」

「やや、家の中に入っていきましたよ?」

「ツバメという鳥は、屋根の下などに営巣するのではなかったのですかね?」

「新種でしょうか?」

「わかりません。行ってみましょう」


ツバメと思しき鳥が消えた窓に移動し、窓枠にへばりつく二人。窓の中を覗いています。

「あれ、いませんね。エメル様」

「ですねぇ。少年と少女がいるだけですね」

こそこそと話をする二人でしたが、いきなり少年が立ち上がり、窓に近付いてきました。

「って、オイ、オニーサンたち」

「「はい?」」

明らかに不機嫌そうな少年ににこやかに返事をするエメリルドとペリドット。

「勝手に人の部屋覗いてんじゃねーよ。しかもここ、二階だし? 不審なんだよ」

「ああ、すみません。さっきツバメがこの部屋に入ってきたと思うんですよ。われわれはそれを追ってきたのでしてね」

あくまでもにこやかに説明するエメリルドでしたが、少年の眉がクイッと上がります。

「はぁ? ツバメぇ?」

呆れた声を上げた少年の向こうから、

「朔、それって蝙蝠の間違いじゃない?」

不審げな瞳をこちらに向けていた少女が口を挟みました。

「「ああ、蝙蝠でしたか」」

「って、蝙蝠とツバメを間違えんなよ!!!」

朔と呼ばれた少年が一喝しました。


「やっぱりこの時期じゃあ遅いんですよエメル様」

「そうみたいですねぇ。じゃあ帰りますか」

「そうですね」

「執務もたくさんたまっているでしょうから」

「げげげ」


そのころ。


「またまたまた帰ってこないわね~」

サロンのソファでゴロゴロするレティ。

「ツバメを見つけるのに手間取ってるのでは?」

「ま、時期じゃないしね~」

「知っていて探して来いと……」


 * * * * *


「『龍の首の玉』ねぇ。そもそも龍ってどこにいんのさ? もういっそ魔女の婆さんとこのドラゴンでいいかなぁ」

などとぶつぶつ言いながらも、『龍』というキーワードを頼りに捜索の魔法を繰り出し、転移に転移を重ねていたシャルルです。

とある村にたどり着いたので、とりあえず目の前に現れた一軒のかわいらしい家の扉をノックしました。

「すいませーん。この村に『龍』もしくは『ドラゴン』ていますかー?」

扉を開けると、そこは医務室のようなところです。部屋の奥に、黒髪の小柄なかわいらしい女の人がこちらを見ていました。

「『ドラゴン』ですか~? あー、えーと……」

目を彷徨わせて言いよどんでいるかのような彼女に『??』となるも様子を見守っていたら、

「ドラゴンに何の用だ」

低い声がすぐ横から聞こえてきました。見ると鋭い眼をした美形男子がシャルルを睨んでいたのです。

腕に覚えのあるシャルルですから、そんな男の人のブリザードのようなオーラは気にもなりませんが。

「えーと。『龍の首の玉』ってゆーお宝を探してるんです」

「「『龍の首の玉』??」」

黒髪の女の人と眼光鋭い男の人の声が重なりました。

「ラルク、知ってる?」

「いや? 聞いたこともないな」

「シェンロン、そんなの首に引っ掛けてたっけ?」

「かけてないだろ。それよりも、ミカ、シェンロンの存在がばれてるぞ」

「あ」

思わず口を手でふさいでいるミカです。

「シェンロンというのですね? そのドラゴンは」

にこやかに話を引き取るシャルル。

「……ああ。でも、シェンロンはそんなもの持っていないぞ」

仕方がないな、という風にため息をつき渋々答えるラルクと呼ばれた男。

シャルルはなぜ自分が『龍の首の玉』というお宝を探しているのかを、ミカとラルクに説明しました。

実際、シェンロンというドラゴンを呼び出してもらって確認もしましたが、

『そんなものは持ってない』

と、一蹴されてしまいました。




「お宝の玉、って言えば『月の石』かなぁ?」

ミカが考えながら言いました。

「まあ、確かに。しかしだな……」

ラルクが言いかけたところで、

「それは何ですか?」

シャルルが質問しました。

「異世界召喚アイテムです」

ミカがきっぱりと言いましたが、シャルルにはさっぱりわかりません。

「はあ」

生返事をしたところで、

「まあ、要するに不思議な力を持った石なんですよ」

ものそい噛み砕いて、ミカが言いました。

「それがきっと『玉』なんですよ!」

シャルルは『すわ! お宝発見!!』とばかりに意気込んでミカにずいっと近付きましたが、ラルクがさっとミカを抱き寄せてしまいました。

「『月の石』とシェンロンは何も関係がないぞ」

冷たい一言を発するラルク。

「へ? そうなんですか?」

「ええ。そうです。『月の石』は昔っからこの村にあったものだけど、シェンロンは最近私が見つけて懐いたドラゴンですからね~」

何気にすごいことを言うミカ。

「そうなのですか」

がっくり項垂れるシャルル。

「それに『月の石』、こないだ割れちゃったんですよね~」

あは~、と曖昧に微笑むミカ。

「え?」

「召喚帰還などを行う際に石に少しづつひびが入るのだ。そしてそれが先日限界を超えたのだ」

「あちゃ~」

「だから、ごめんなさい。あなたの求めるお宝はここにはなさそうです」


一方。


「シャルル様が『龍の首の玉』をとってきたら、それで月に帰れるわね♪」

なんとレティは自分の帰還アイテムをシャルルに探してもらっていたのです。レティはそもそも月の人間でした。

「ええ、レティ様」

それににっこり微笑んで応えるパール。


そこにシャルルが帰還しました。

「あ、帰ってきた」

「久しぶりの帰還者ですわね~」

初めての帰還者に驚くレティとパール。

「ただ今戻りました、レティ殿!!」

うれしげにレティに近づくシャルルです。そして今までの捜索の結果を伝えました。


「という訳で、『龍の首の玉』と思しき『月の石』は割れてしまって、今はないそうです」

「えええ!!! じゃあ、私は月に帰れないのぉ?!」

「そのようですね。って、初めからそのつもりだったんですか?!」

「あ、ばれちゃった」

てへぺろ☆なレティ。

「でもご安心ください。もはや帰れなくなったんですから、こちらでオレと一緒に暮らしましょう! 一生幸せにしますから!」

小悪魔なレティもなんのその、熱心に口説くシャルルです。

「えええ~。ん~、帰れないしねぇ。見つからなかったとはいえ一所懸命探してきてくれたし? わかったわ、あなたと結婚するわ」

「よっしゃー!!」


という訳で、レティとシャルルは結婚し、末永く仲良くラブラブ夫婦でいましたとさ。


バカ話にお付き合いくださいまして、ありがとうございました

m( _ _ )m

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