表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/25

公爵令嬢の夜会

『公爵令嬢のデビュー』の続き。パーティー編ですね(^^)

ここはアンバー王国王都ディアモンド。

今日はこの国の筆頭貴族であるトパーズ公爵家の末姫――レティエンヌ・ウル・トパーズ――の誕生日&夜会デビューおめでとうのパーティーが、王城内の大広間で行われていた。

元々トパーズ家で開催するはずだったパーティーなのだが、国王のたっての希望で王城で行われてしまったのである。




~♪~~~♪♪


大広間から軽快なワルツのリズムが聞こえてくる。

大勢の招待客のざわめきもしかり。


ちょ~~~!!! 大げさすぎるっ!!


大広間の扉の前に立ち、にわかに引き攣るレティ。

横に並び、エスコートする王太子シャルルはそれに気付き、

「大丈夫ですよ。私と一緒にいてください? 決して離れちゃだめですよ?」

レティの腰に添えられている手にわずかに力を込め、琥珀の瞳を細めて、優しげに微笑みかける。

ここまで間近に見るのは初めてだけど、かなりの美形。甘い言葉が超似あう。


今日のシャルルの衣装は青が基調になっている。

背が高く、スタイルもいいシャルルは『THE王子様』。エスコートもスマートだ。

一方レティのドレスも青。今日の夜会用に新調されたもので、重苦しいのを好まないレティのためにシフォンをふんだんに使用した、清楚でかわいらしいデザイン。

しかし、なぜかこのドレスの青、シャルルの衣装とまったく同じなのは気のせいか?


「はぁ。」

シャルルを見上げながら生返事を返すレティ。

この目立つ王子とずっと一緒にいるとなると、美味しい食事やケーキは諦めなければならないだろう。


ううっ……。お姉さまのおっしゃっていた美味しいケーキ達。すっごい楽しみにしてきたのにっ!!


内心歯がゆい思いをしているレティなのだった。




大広間の扉が開けられると、一斉に視線が飛んできた。


「トパーズ公爵家ご令嬢、レティエンヌ様が参られました」


レティの到着が告げられる。


どひゃーーーー!!! めっちゃ注目されてるっ!!


そりゃそうだ。本日のパーティーの中心なのだから。

初めての夜会でこの注目。

みっちりレディ教育されてきた姫君とはいえ緊張する。

初めは驚きに目を見開いたものの、しかし顔に張り付けた笑顔は絶品。

だが、さすがに手には震えがくる。

その震えた手を、シャルルがしっかりと包み込むと、

「さ、いきましょうか」

爽やかに微笑みながら、主賓席へとエスコートする。

さすがは王太子様だわ、と、その堂々としたエスコートぶりに乾杯したくなる。


席までエスコートされる途中、


「まあ、なんておかわいらしい!!」

「お誕生日のプレゼントも用意しておりますわ!」

「ぜひ後程ご一緒にお話でもしましょうね!」


可愛い、きれいだの、賛辞を述べてくるのはなぜか貴婦人達。

奥様方、お姉さま方、口々にレティをうっとりと見ながら褒めそやす。

その一つ一つに微笑みと会釈を返しながら、一方、レティが気になったのは紳士方の発言。


「シャルル殿下、ようやくでございますね! おめでとうございます!」


なぜかシャルルに向かっての祝辞。


はて? 何がおめでたいんだろう?? 誕生日は私だよね??


気になりつつ、横にいるシャルルを見上げると、

「うむ。ありがとう」

にこやかに礼を述べている。


????


クエスチョンマークばかりが浮かぶレティ。




エスコートされた主賓席は、真ん中が王様、向かって左が王妃様、右に王太子シャルル。そしてシャルルの横がレティの席であった。

「ん???」

トパーズ公爵家は、右斜めにずれた位置に配されている。


私、あっちの人だと思うんですけど~?


そう思いながらシャルルに目で訴えてみても、

「レティは今日の主役だからこっちね。欲しいものあったらオレが取ってきてあげるから」

と、にこやかに言われるだけ。

いやいやいやいや。そうじゃない。


ここって、王太子のお妃様の位置じゃないの~~~!?


さすがのレティも、違和感に首を傾げる。

家族に向かって目配せしても、父をはじめ兄たち、母、姉、みんな視線を逸らす。




ダンスをするにしても、シャルル以外とは踊らなかった。

いや、正確に言うと「踊れなかった」。

誰もお誘いに来てくれないのだ。

そのシャルルとのダンスも、皆の注目の中ホールに二人きりで踊らされる。


どんな罰ゲームよこれ。


さっさと終われ~~~っ! と心の中で叫びつつダンスを踊る。


席に着いたら着いたで、紳士淑女がこぞって挨拶に来る。

誕生日のプレゼントなるものが次々に手渡される。

一つ一つ丁寧に謝辞と微笑みを返していたら、美味しそうな料理もお菓子もまったく手付かず。

心の中で滂沱の涙を流すレティ。

心の汗は瞳をも潤す。

そんな潤んだハニーブラウンの瞳で見つめ返された紳士淑女は、その可憐さに虜になるのだった。




「いつ、ご婚約を発表されるのですか?」

今まで薄々感じてきたものだったのに、とうとうこの一言で明確になってしまった。


ニコニコと人のよさそうな笑顔を浮かべたタンザナイト伯爵の一言で、現実を知ったレティ。

テーブルに突っ伏さなかったことを褒めてほしい。


アアコレ、大坂冬の陣デシタカ。


王太子のエスコート、お妃様の席、注目のダンス。


ぜ~~~んぶみんなの(というよりシャルルの)計画だったのね~!! やーらーれーたー!!




開き直ったレティは、その後せっせと美食を堪能することに専念したのだった。


頭の中では『華麗なる大円舞曲』が回っていました♪ショパン、好き☆

外堀埋めたシャルルでした。

いざ、本丸!!(笑)


今日もありがとうございました(^^)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ