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02

 そして、私は目を開けた。

 目の前には、17歳女の子。

 自分のことのように、私は彼女を知っていた。

 天涯孤独のミュゲ。魔力量の多さから魔法学校の大学院に通う。そして成績優秀者であり、邪神復活を止めるための神のパズルをクリアする者に選ばれる。

 が。

 そのパートナーを、自分を平民と見下す王族から選任されそうになり、苦肉の策にて双子の妹『私』を作り出した。

 亡くなった父母の墓を掘り返し、その骨を使い、自分の中の二つある臓器の片方は私に提供し。

 ホムンクロスとかの類似品だろうか。

 彼女の莫大な魔力の四分の一が私に流れて、私は生まれた。

 魂が前世を覚えているのは、自然に生まれたからではないからか。産道を通るストレスを緩和するホルモンのせいで胎内の記憶をなくすとかどこかで聞いた。

「理解しました。任せて。一緒にパズルをクリアしましょう」

 私は言った。

 ミュゲの手を握って。

「ありがとう」

 泣きながら彼女は私の手を握り返した。



 ミュゲも私も黒髪である。たぶん。

 というのは、私の髪は産毛だった。

 育毛促進の魔法をかけられて、四日ぐらいでおかっぱ風まで髪が生え伸びたけれども。初日は鏡を見て、不安になった。

 17歳の、ミュゲと同じ顔だけれども、日に当たっていないせいもあって、なまっちろく若々しい。作りたてだしね。

 目は青黒い。よく言えば紺、かな。

 ミュゲは前髪で顔を隠している。目が悪くなりそう。

 私の肌の白さは際立っているけれども、ミュゲもインドア派なのでまあ、白い。雀斑もなく、黒子もない。血管が透けそう。


 さて、神封じのパズル。

 死ぬ直前まで私がやっていたアレである。

 ジャンルは落ちゲー。

 5色のタイルが落ちてくる。連結すると消える。50面まではタイルが1コないし2コ連結のみで、同色で落ちてくる。4つ同色が繋がると、消える。

 ちょっと面倒だったのが、失敗が3度しか許されなかった点。クリア失敗しても3回コンテニュー?できる。そしてそれは、どれだけ面をクリアしても回復しない。88面クリアで邪神はとりあえず復活が1年後に伸びる。

 なんか演出ムービーがあったな。

 スタート時に、絶対選ばなきゃならない、赤の王子、青の王子、オレンジの姫、白い騎士、紫の魔導師が、手伝いと称してドット絵二頭身ぐらいの姿で画面の上の方で、タイルが積み上がるとあわあわと警告してくるんだけれども、

「やったな(やりましたわ)、とりあえず封印が再度かかった(かかりましたわ)」

 と、画面センターでくるくる喜びの舞いをしていた。台詞が男女二つ分しかなかったはず。古いゲームだから、わけてあるだけすごいかも。

 その後は1面クリアごとに1年封印が伸びる。

 100面クリアすると、落ちてくるタイルに異色3連結が加わる(同色のみも落ちてくるが)。棒状とL型がある。

 150面を超えると、2連結にも異色が出てくる。

 ミュゲの記憶では、そのゲームとまったく同じらしい。

 魔力管理が必要なのも、同じ。

 落ちてくるタイルを左右に動かす、ぐらいはいいんだけれど、回転させるには魔力を使う。落ちる速度を上げると、何故か魔力が微回復する仕様なのも、こちらもそう。

 ただし、こちらは現実なので寝る、食事してゆっくりする等でも魔力は回復し、パズル自体も失敗しなければ、区切りのいいところで止めておける(つまり面クリアした時に)。

 正直、助っパートナーいらなくないかと思うけれど、選んだカラーパートナーの色対応タイルの出現率が、28%になり、他が18パーセントになるという地味に助っ人する。

 私は赤の王子一択だった。正直、どうでもよくて。だって、存在がカーバン○ルみたいなのだし、目的はパズルゲームだし。先頭にいたから、選んだだけ。そして、その後も面倒だから変えなかっただけ。


 スマホ版ではすっとばした、あらすじとこの世界の内容もリンクしている。



 ああ、じゃしんが ふっかつしてしまう

 まほうがっこうせいせきトップのきみが

 パズルをといて 

 せかいにへいわを もたらしてくれ


 うん、全部ひらがな。あ、カタカナもあった。雑なあらすじ~? 説明書の方に詳しいのがあっかも。覚えてない。


 まあ、そして王様らしい人から


 おうけから

 きょうりょくなパートナーを

 よういした

 えらぶがよい

 

 となる。



 で、それを完全拒否したのがミュゲである。

 封印の間に二人きり。

 オレンジの姫以外、男だし。身分高い雄と閉じこめられるとか、性被害受けるの見えてるしね。

 ないわー。

 オレンジの姫も、なんというか、無駄にここ、先進的で、同性結婚ありなので、姫自体が心底嫌がってる。

 邪神を封印した英雄とそのパートナーを、結婚させたい王家の思惑があるから。

「離ればなれだったけど、双子の妹がいるんです。パートナーは彼女にしますっ」

 と、私が培養槽から出て、問題なく安定したのを確認してから、告げたらしい。

 王家がいろいろ慌ててる。

 ミュゲから受けとった魔力は1/4程度。平均は、平民は20、貴族が30である中、ミュゲは100。私は25貰いうけ、減っても75でダントツに高い。

 ミュゲの邪神封印者の資格は揺るがない。

 ついで、私も25もあれば、パートナー資格がある。


 ざっくり説明する。

 赤。18歳。王太子。婚約者有り。魔力41。

 青。16歳。第二王子。魔力36。

 オレンジ。16歳。公爵令嬢(祖母が王の叔母)。魔力29。 

白。22歳。騎士(3代前の王の落胤の息子という面倒な設定)。魔力24。

紫。18歳。侯爵家三男(母が王の姉)。宮廷魔導師。魔力52。


 全部王家の血筋。

 こわっ。

 いずれも、平民風情が、って見下してくるから。

 紫は誰にでも(自分より馬鹿には)冷たい。・・・まあ一緒にいたくないのは変わらない。人生も共にしたくない。

 私はものすごく同情した。

 彼女の人生流れ込んできて、私は死んじゃって二度目は偽の人生だけれども、ミュゲの人生は救ってあげたい。

 それに。

 ミュゲの、世界を救いたい、邪神の復活を止めたいという気持ちを、彼女の知識をコピーしているから、それに嘘偽りないことを知っている。

「禁忌を犯しました。これで本懐(邪神の封印)を遂げられない不慮の事故等ありましたら、私のすべてを貴方に差し上げますので、どうか、封印を」

 王家の選んだパートナーに嫌悪もあるけれど、邪神の封印という世界の危機を防ぐ作業を邪魔されるのが一番嫌だったんだろう。

 そういう理由で、私が居る。



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