弟子からの告白
この世界には七種の龍が存在する。
その存在は圧倒的で魔王すらも手出しができない。そんな世界から逸脱した存在が龍である。
「ピヨっピヨっ雲雷龍ボルニカ様、手紙が来ております。」
「おっ・・さんきゅー秘話鳥」
秘話鳥・・・この龍の住む大陸は誰も近づきたがらない、その為にできた意思疎通用ひよこである。
「珍しいな俺に手紙なんて、他の龍か?それともまた魔王からの勧誘かな、あれうざいんだよな〜」
そろそろうちの秘話鳥にも着拒機能を躾けるかなんて思っていると、思い掛け無い人からの手紙だった。
「・・・アリス? っっおお!! 8年ぶりくらいか?」
俺が8年ほど前に人間界にいっていた時期の頃、捨て子だった子供に生き抜く術を教えた、俺が初めて取った弟子である。久しいな〜
「えっと何々」
拝啓
ボルニカ師匠、8年ぶりのご挨拶となり、大変失礼いたします。
わたくしアリス、以前師匠とお約束いたしました通り、立派な魔法使いになることができたと思いましたので、ぜひお話したくご連絡いたしました。
もしお時間がございましたら、下記住所までお越しいただけますと幸いです。
アリス
「・・・約束?」
俺何かアリスと約束したっけな・・・・ まあいいか、久しぶりの弟子との出会いだ、もういっちゃお!
「楽しみだな〜」
そういえば立派な魔法使いになったって書いてあったな、何か土産品でも買っていくか。
「え〜と人間界の貨幣は・・・・あったあった」
よし向かうか、変化の術はええ〜とこれだ!!
ボンッ
黒髪に黄緑色の眼、身長は175ぐらいか?人間界のイケメンの定義はよく知らんがまあ、不潔感はないよな。
「よしっ人間界にレッツゴー」
その前に門番に留守にするって言っとくか。えーと、背中部分の変化を解除、そして縮小化。
「よし成功」
羽根だけを出すことができた。しかも人間サイズの大きさで。
「おーい!イグリーー」
空を飛んで3分ほどだろうか、仰々しい大きさの門の前に辿り着く。
「人間サイズで見るといつも以上に馬鹿でかいな」
「ボルニカ様どうしたのですか?」
「いや、ちょっと野暮用でしばらくの間、人間界の大陸に行くからその間の留守頼んだぞ」
「了解いたしました、楽しんで来て下さい」
「頼んだぞ〜」
◇◇◇
「住所がわからん、まず読み方がわかんないし俺、そこらの街で聞くか」
超上空から街を探す、あの栄えてそうな市場がいいかな。俺は人目につかないような路地裏に急降下し着地する。
「ふ〜んふ〜ん」
俺が路地裏を鼻歌混じりに闊歩していると、3人組の輩が声をかけてきた。
「おい、にぃちゃん、いい身なりしてんじゃねぇか」
おお、これが俗に云う『追い剥ぎ』と言うやつか、龍の姿の時じゃあこんなことなかったもんな〜それだけ俺の擬態術は完璧ということか・・・
「何笑ってんだよっっ」
懐からナイフを取り出した、おお、何の考えも無しに突っ込んできたぞ。あっナイフが砕けた。俺の肉体強度が強すぎたのか・・・
「あの〜道を聞きたいんだが」
ナイフが砕けた事によりだいぶ怯えてるな、勝手に襲ってきて化け物のような視線で見てくるのはだいぶ失礼だと思うが、まあ今の俺は機嫌がいいし許してやろう。
「2度は言わんぞこの紙の住所はわかるか? わからないんならそれでいい。受け答えだけしろ」
「はい!!多分ここから東に進むと野原に家があるのでそこだと思います」
「ありがと」
期待はしてなかったが、まさか知ってるとは・・・・それにしてもこんな輩にも家を知られてるくらいに有名になったんだな〜〜 ちょっと涙が、歳かな。
「俺たち助かったの?」
「あ・・・ああ」
「あ・・そういえば」
「「「ひッ!!」」」
「この辺で有名な土産屋ある?」
「この家か」
輩からこの木造の家を教えてもらったが、ポツンと一軒家に取材されそうなほど殺風景だな、周りが本当に緑しかないぞ、まあ草むらは処理が行き届いてはあるが・・・
まあ、それは置いといてお土産屋を輩に教えて貰ったが想像以上に良さげ饅頭の店を教えてもらった。あの輩見た目の割にグルメなんだな・・・
ピンポーン
「はーい」
扉から出て来た弟子は8年前とは別人でとても綺麗になっていた。昔ながらの銀の髪や少し痩せすぎなところは健在だが、8年とは人をここまで変化させるものなのか。
「よっ8年ぶりだなアリス」
「・・・・・師匠!!!、おっおっおひさしゅう御座います」
「落ち着けよ、言葉遣いが変になってるぞ」
「し、師匠なぜ、こんなすぐに・・・手紙を出したのたった1日前ですよ!!」
「お前が暇だったら来いって書いたんだろ」
「とととりあえず、おっお上がりくだしゃい」
なんか昔より緊張してるな、まあ8年も経ってるとそんなもんか
俺はアリスの家にあげられる。そういえ話ってなんだろう。来るのが楽しみですっかり頭から抜け落ちてたな・・・
「こちら、そ、粗茶ですが」
「ありがと、あっはいこれ、お祝いの品、立派な魔法使いになったんだろ?」
「あ、ありがとうございます。家宝にします」
「腐るぞ」
なんかまだ言葉遣いが硬いし呂律がちゃんと回っていないな。そのうち慣れるといいが。
「そういえば話ってなんだ」
「その件ですね・・・・えっと、その前にまず、七栄冠とはご存知ですか?」
「ああ、知ってるよ・・・確か七人しか存在しない名誉な魔法使いにのみ与えられる魔法使いの最高到達点だっけ」
「さっ流石です。ご存知でしたか」
俺が8年前に人間界に来たのもその七栄冠との話し合いが目的だったしな。その途中で偶然アリスと会ったわけだが・・・・
「運命とはよく分からんもんだな」
「なっ何か言いましたか?」
「いや何も、続けてくれ」
「はい・・・・えっと。わたくし、その、先日魔法の最高機関、魔法館にその七栄冠の称号を頂きまして」
「おお!!すごいじゃないか!」
「えへへっっ」
俺は立ち上がりアリスに拍手を送る、いやぁすごい、8年で俺の弟子がそんな域まで達していたとは、時間の流れとは早いものだな。
「それで?その立派な魔法使いになったってのは分かったが、話っていうのは」
「は・・・・っはい。その、私が立派な魔法使いになったので、その、昔に交わした約束に従って私を・・・・
師匠の伴侶にしてください!!!」
「へ?」
そんな龍の風上にも置けない様な素っ頓狂な声を俺はあげるのだった。




