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俺の心霊写真を撮ってくれ!  作者: まっど↑きみはる
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俺の心霊写真を撮ってくれ! 3

「はぁ?」


 田車は頭の中にクエスチョンマークが浮かんだ。


「それ、成仏する事と何の関係があるんですか?」


 当たり前の疑問だ、しかし加藤はよくぞ聞いてくれましたとばかりに身を乗り出して話し始める。


「俺の昔の知り合い、まぁ幽霊なんだが山田さんって人が居てな、山田さんは心霊写真に映るのが趣味だったんだ」


 えらく迷惑な趣味だなと田車は思ったが、構わず加藤は話し続けた。


「その山田さんなんだが、写った心霊写真がテレビで紹介されてな、そうしたらなんと、成仏が出来たんだ」


「あぁ、テレビの霊能力者にお祓いをされたとかそういうのですか?」


 田車が適当に予想をして言ったが、加藤は首を横に振る。


「いいや、山田さんも俺と一緒でそういった類は信じてなかったんだ。俺が思うに山田さんは『承認欲求』ってやつが満たされたんだと思う」


「承認欲求ですか?」


 加藤の口からいきなり難しい単語が出てきて田車は首をかしげた。


「そうそう、幽霊ってのは基本的に孤独だからな、日本全国に自分の存在が広まったからそれで満たされたんだと思うんだ」


 幽霊って案外そういう適当な感じなのかと田車は考える。


「つまり、心霊写真を撮ってテレビ局に送ってほしいと?」


 田車の言葉を聞くなり、加藤は指をぱちんと鳴らして言う。


「ビンゴビンゴ!! 物分りがいいなー田車さんは!」


 1人で盛り上がる加藤だったが、田車は申し訳無さそうに言った。


「でも今ってテレビ見ない人多いですよ、現に俺の部屋にも無いですし……」


 ハッとした顔をして加藤は部屋中をじっとりと眺め、ふと安堵したように指をさす。


「なんだ、テレビあるじゃん。いやー、冗談キツイっすよ田車さん」


「あれテレビじゃなくてパソコンなんで」


 加藤が指をさしたのはパソコンだった。半透明の加藤の顔が青ざめる。


「パソコン? いや、でもテレビ持っている人だっているだろ?」


「確かに、持っている人の方が多いですけど」


 それ見たことかと加藤はニッと笑うが、田車は残念な現実を突きつけた。


「最近は心霊特集番組ってあまりやらないらしいですよ、クレームが多いとかで」


 また加藤は口をぱっくりと開けて信じられないといった顔をする。


「その山田さんが成仏したってのはいつの話なんです?」


 うーんと加藤は考えて思い出そうとした。


「えーっと、30年以上は前だったかなー」


「あー、だいぶ昔ですね」


 加藤はガックリとうなだれる。


 そんな彼を見ると田車は何だか物凄く不憫に思えた。

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