表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺の心霊写真を撮ってくれ!  作者: まっど↑きみはる
2/20

俺の心霊写真を撮ってくれ! 2

 風呂場から出て、体を拭くと田車は部屋着に着替える。


 そして、居間に戻ると、いた。


 半透明のおっさん、加藤があぐらをかいて座っている。


 田車の部屋に初めて上げるのは女の子でという淡い期待は打ち砕かれた。


「おっ、待ってたぜ田車さん」


 手をスリスリして加藤は待ち遠しそうにしている。加藤の前に座ると田車は諦めたように話を始めた。


「それで、成仏できないってのは?」


「おぉ、そうだ、その話な」


 少し難しい顔をして加藤は言う。


「何ていうか、幽霊生活が長くて、色々見て気付いたんだが、幽霊は心が満たされると消えるみたいなんだ」


「それって未練があるから幽霊になるみたいな感じですか?」


 田車がそう言うと加藤は指をさしてテンション高めで言う。


「そうそれ、ビンゴビンゴ!! そんでだな、念仏やら祈りってやつは生前それを信じてた奴にしか効かんのよ」


 田車は首を傾げて尋ねてみる。


「どういうことですか?」


「あーつまりだな、生前に念仏がありがたいと思ってた奴は念仏で満たされるんだが、俺は無神論者って奴でね、神も仏も幽霊もいねーって思って生きてたんだよ、うろ覚えだけどもな」


 そこまで言って加藤は溜息をついた。


「いやーまいったよ。『宗教やるやつは弱いやつだ』なんて思ってイキってたんだけど、こういう時困るなんて知らなくてな」


 加藤は面目無さそうにうつ向く。


 それを見て田車は、とりあえず神社へのお参りはこまめにやろうと思った。


「下の名前も思い出せないから家族の事も思い出せない、手がかりもなしで、しかも、どうやら俺は地縛霊ってやつらしくてな、遠くまでいけんのよー、ほんとーまいったまいった」


 はっはっはと笑いながら加藤は言う。幽霊のくせに明るいおっさんだなと田車は思った。


「それで、念仏もお清めも通じない加藤さん相手に俺へどうしろと……」


「あーそれそれ、それなんだけど。なに、難しい話じゃないんだ、ちょっとしたお願いがあってな」


 ここで命をよこせだの、一緒にあの世へ連れて行ってやるだの言ったら陰陽師でも呼ぼうかと田車は考えていたが、男の要求は意外なものだった。


「俺の心霊写真を撮ってくれ!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ