久々の帰省
今回、目が飛び出るような高額の運賃がかかると分かっていながら、奮発してタクシーを使ってしまったのは、それだけ子供や孫達との再会が待ち遠しかったからです。昔は小さな子供の成長を目にすると、自分の老いをまざまざと見せつけられているようで、器量の小さい私は少しだけ憂鬱になってしまっていたのですが、最近は老境に達しきったせいなのか、やっと手放しで喜べるようになりました。
「男子三日会わざれば刮目して見よ」などとよく言いますが、事情により約一年振りの再会というだけあって、孫達はまるで見違えるほどすくすくと立派に育っているように感じます。できれば何かお土産でも手渡したいところなのですが、特に用意することもできなかったため、息子達が帰って来た私のために買ってきてくれていた果物やお菓子をそれぞれに分けてもらうことにしました。
思えば子供達も随分親らしく(というより親そのものなのですが)なったものです。以前は何かにつけて口うるさく注意していましたが、今はそんな必要を微塵も感じさせないぐらい、私なんかよりもよっぽど立派に子育てをしているようです。その頼もしい姿を見るだけで思わず目頭が熱くなってしまいました。本当に年を取ると涙腺が緩くなっていけませんね。
気が逸り本来の予定よりも一日早く帰って来てしまったので、この貴重な四日間を存分に満喫したいと思っています。
「父さん、もう帰ってきてるのかなあ?」
「5分前じゃなくて、1日前行動しちゃう人だったよね。せっかちだから『キュウリの馬なんかじゃ時間が掛かり過ぎる!』って文句言って、向こうからタクシーでやってきてるかも」
「ははっ、確かにな。せめてこっちでは、のんびり過ごしてくれるといいけど。あっ、お前達! お菓子と果物食べる前に、じいちゃんに『おかえりなさい』と『いただきます』しなきゃ駄目だろ?」
「「「は~い! おじいちゃん、おかえりなさい! いただきま~す!」」」