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たそがれ怪奇譚第2部 黄昏篇   作者: 狐鹿コーラ
最終章 後編 黄昏に魅せられし者達
53/53

怪異の世界 肆

真っ暗な空間…


音も光も何もない…


これが…『死』というものか…


私が死んだことで、神埼一族は滅んでしまったが…最後の希望である月影は守れた…


これで先に逝ってしまった零二に会える…



けど…




これで本当に終わって良いのだろうか…


『狐月……狐月……』


誰かの声が聞こえる…



あっちからだ…



行く宛もなく声の聞こえる方向へ歩き始めると、その声は段々と鮮明に聞こえてくる…



『狐月……あなたが神埼一族に残された最後の希望…』



『ここで、あきらめてはいけません…』



『狐月…あなたの身体には私の月の一族の血が少し流れている』



『先祖代々受け継がれてきた血を…絶やすことは…神埼一族の守人として…絶対に…』



これは…月影?


どこにいるかわからない月影の声を頼りに彷徨っていると…


北極星に似た、か細くも強い光が目に映る…



『あなたは、かなえさまの1件で妖力を失ったけど…』



『もしかしたら……1%にも満たないかもしれないけど……可能性が残されているなら……』 



『私の血が起爆剤になって……再び……力を…』



その光の先に…妖狐姿の月影が神刀虚月(しんとうこげつ)を携えて立っていた


月影に近くと、神刀虚月の鞘を横に持って私へそれを渡すように前に出す……


その妖刀は妖狐である月影以外には扱えない代物……


それを私に……



「今のあなたなら……きっと……」



「月影……だよな?……その刀は月影以外には扱えない筈じゃ」



「確かにそうです……ですが、私の血を分けた神埼一族であれば……きっと……」



「………………」



私はそっと月影の神刀虚月の柄に手を掛けると……



脳裏を駆け巡る数々の記憶……



ーー狼月と共に数多の怪異からたそがれ村を守り、狼月亡き後も当主になった狼月の娘を支えていた


ーーどれだけ歴史が過ぎ去ろうとも月影は歴代の当主のとなりに立ち、神埼一族を守る剣となり支え…


ーーその度に…当主達の最後を見届けた……


ーー同時に当主達と共に戦い、散って逝った友の数々に月影は涙した……


ーー平安~現在に至るまで神刀虚月は衰えることなく、月影の剣として数多の怪異を斬り続けた……


ーーある時代では、たそがれに迫る百鬼夜行をたった1人で滅ぼし……


ーーまたある時代では、国を滅ぼしかねない巨大な怪異を断ち切り……


ーー道を踏み外し、外道に成り下がった陰陽師までもその刀で斬った……






ーーそして現在……






ーー歴代の中で手放すことのなかった刀を……






私に託した…………






ゆっくりと目蓋を開けると手には月影の神刀虚月が握られ……


月影は私に覆い被さるように、私の致命傷となっていた傷へ自らの血を注ぎ……


安らかな表情で……目を閉じていた……


私は月影を優しく退かし……月影の刀を手に血塗れの身体で起き上がり……



そして……目の前の視界が“真っ赤”に染まっていた……



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