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たそがれ怪奇譚第2部 黄昏篇   作者: 狐鹿コーラ
最終章 後編 黄昏に魅せられし者達
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怪異の世界 弐

揺れる足場に耳に流れる穏やかな波の音……



ここが海に浮かぶ船の上だとわかったのは割りと直ぐのこと…



しかもただの船じゃない…戦闘機を容易に飛ばせるぐらい長い飛行甲板にいくつもの第二次世界大戦で使われていたプロペラ戦闘機…零戦がいくつも綺麗に格納、整備されていた…



そう…ここは空母と呼ばれる艦の上だった。




私は確かに狐月の背中を守りながら頂上に向かっていた筈だった…



一瞬の瞬きをした時…



気付いたらこの場所に立っていた。



「狐月!…………駄目ね気配がない…」



私や狐月に気付かれず私だけを対象にこの隔離結界に閉じ込める芸当ができる人物……



「狼月…いや朧月……これ程までの力を持っていたなんてね……」



“怪異の世界”を実現させるような男だ……早くここから脱出して狐月と合流しなくては…



今の狐月では朧月には……



『朧月の言ったことは嘘じゃなくて安心したよ~』



その声の方を向くと零戦の上に『かなえさま』が胡座をかいて座っていた。



『君、月影だっけ?あの祭りの時に異様な殺気を放っていたけど、私が君になんか恨まれるようなことしたっけ?』



「私の大切な人達を傷付け…運命を狂わせた貴方をたそがれの守人として許せません……」



『だーかーらーー!何回も言ってるじゃん…零二と狐月は望んで私に願ったんだよ?逆に感謝して欲しいぐらいだよ。』



「明治…世の変革の時代に貴方のような偽神を朧月は生み出し野放しにしてしまった責任を今…ここで……」



私は抜刀の構えをとると『かなえさま』はニコニコと笑い小刀を手に取ると、それを先制するかのように投擲した



その投擲した小刀を捉え抜刀し上に弾いた瞬間……



零戦に胡座をかいて座っていた『かなえさま』は忽然と姿を消した



すると凄まじい妖気の気配を真上から感じ、バックステップで回避すると…直後に急降下し刀を突き立てる『かなえさま』を視認してまもなく



再び小刀を投擲した……



これを左に頭を傾け小刀を回避すると次は背後に『かなえさま』が瞬間移動をし横に切り払うが……それを振り向き様に刀を振るい防いだ。



「これは狐月の……」



『流石に知ってたか~』



知っているもなにもこの術式……『転位神光印てんいじんこういん』は私が狐月に教えたもの……



物に術式を付与し、それを任意の場所へ投擲し瞬間的に移動する術



かつて私は狐月のフィジカルと有り余る霊力をフルに生かした戦術を伝授……将来的に狼月を上回る霊能者になるはずだった……




ザクッ……



“かなえさま”と私の刃がぶつかり火花を散らしながら“かなえさま”は再び後ろへ後退する際に投げナイフを私の足元へ投擲した



直ぐさま追撃を仕掛けようとしたが、身体がその場に固定されたかのように動けない……



影縫不動陣かげぬいふどうじん……」



相手の影に向けて霊力を乗せた投擲物を突き刺すことで発動する術式……食らった相手は数秒間動きを封じられてしまうしろものだ……



『どんどんいくよ~~♪』



無邪気にはしゃぐ“かなえさま”の背後に白い大蛇が浮かび上がると……その場から浮遊し上空100mの位置までに達する……



右手を広げて真下へ突き出すと共に背後の白い大蛇が大口を開け…そこから無数の手が伸び千手観音のように広がり



そして……



『神罰・天地万象しんばつ てんちばんしょう



一筋の閃光が空母へ直撃し凄まじい衝撃波と爆風が入り交じりながら、そこを地点に約半径500メートルが海もろとも消し飛んだ…



『ハハハ、流石にやり過ぎたかな♪』



まだ『かなえさま』の背後に白い大蛇が蜷局を巻いたまま出現した状態で剥き出しになった海底へ足をつける



私はこの一瞬を見逃さなかった…



転位神光印てんいじんこういん



音もなく『かなえさま』の意識外から現れ……0.0001の抜刀を『かなえさまの“本体”』へ浴びせた



天生流てんせいりゅう抜刀(ばっとう)天音絶あまねだち



『え、視界が…落ちて…』



かなえさまの首が地面に落ち…首を失った白い大蛇も崩れ落ちた…



零二と狐月の以前のかなえさまの容姿や特徴を聞き…それを元に狼月が残した資料を読み漁り…かなえさまの本体である白い大蛇へたどり着いた。



「終わりだよ…かなえさま。これで朧月の計画も水の泡となるでしょう…」



かなえさまは無言のまま静かに光の泡となって消滅していくと共にこの隔離結界も崩壊していった。




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