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たそがれ怪奇譚第2部 黄昏篇   作者: 狐鹿コーラ
最終章 後編 黄昏に魅せられし者達
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怪異の世界 壱

狼月の別人格である『朧月』が宣戦布告した8月15日……



頂上では首を長くして待っていたであろう朧月がそこに居た。



私達の姿を見ると不気味な笑みを浮かべ



「1000年……魑魅魍魎が蔓延る平安の世……あの時代は実に美しかった……だが、時代が進むにつれて我々の存在は忘れ去られ……いつしか人がこの世を支配し全てを汚した…………」



すると朧月の頬をつたって涙がこぼれ落ちる……



「だが……これで全てが報われる!!怪異による新しい世によってこの人が汚した腐りきった時代に終止符を……」



さっきから黙って聴いていれば……


人間を害虫扱いしやがって……



「てめぇは神か?仏か?……『怪異の世界』をやろうとしている奴が何をほざく……」



「この世の救済だ…………その為に白蛇祈願神はくじゃきがんしん…お前達の言う『かなえさま』を創造し……明治時代に弱りきっていた…たそがれの地に再び潤いを戻した結果…それがこの地に眠る“特異点”を呼び覚ましたのは喜ばしい誤算だったがな。」



「そのてめぇが作った偽神のせいで零二と理佳が…………そもそも何故『理佳』を神隠しに巻き込み、淳也にかなえさまのウワサを吹き込んだりなんかしたんだ……」



返ってきた答えは聞くに耐え難い内容であった……



「全盛期同様の力を取り戻す為の生け贄に使ったまでだ…淳也というワッパに噂を流したのは歴代の神埼の中でも狼月を超え得る才能を持つ貴様の存在が障害となるからだ。」



「だが、四谷零二…………贄とした娘の兄……奴の機転によってお前を始末し損ねたのは誤算だったが……結果としては同じこと。」



そんなことのために…私達の運命を狂わせたのか……



「お前は私と月影でこの世から葬る…………月影?」



その場からなんの前触れもなく月影が忽然と消息を絶ってしまった



先程まで隣にいたはずなのに……



まさか………………



「四谷理佳と同様の神隠しさ……この場にたどり着いた瞬間に発動するよう仕込ませてもった……」



私の理性がぶっ飛ぶ音が最高速で私の内側からこだまし……



引き抜いた小刀が朧月の脳天に突き立てていた



しかし奴は頭に小刀が深くまで刺さっているにも関わらず余裕の表情で失笑し



「フッ……自身の感情に流されるのであれば寿命を縮めることになるぞ?」



「うっせぇ!!!!」



もう1本の小刀を黙術で出現させるとそれを逆手で握り…



背後の異様な気配に向けて刃をぶっ刺した。



だが手応えがない……



後ろをチラッと確認すると私が刺したのは影が実体化したと思われる偽物……



なら最初に突き刺した奴も影……




「…………」




……上か……




ズバッ!




最初に突き刺した影を上に切り裂き…その勢いで真上に小刀を投擲




ピタッ……




投擲した小刀は約5m上空で静止し、虚空から狼月が姿を表すと私が相手をした二体の分身は消滅…



あの宙に浮いている奴が本体で間違いない……



「なるほど真剣と等々の小刀をここまで軽々と……そして奪われた霊力を補う仙人に匹敵する五感を持つか……それ故……敵にするには惜しい逸材だ……」




奴は投げた小刀の柄を持つと地上に降り、私に向かって小刀の矛先を向けるが……



殺意がない……



私に矛先を向けたまま近づくと……矛先を向けた小刀をクルっと回し………柄を私に向けたのだ……



「なんの冗談だ…………」






奴は私に取引を持ちかけた……





「我と共に怪異の世界を歩まぬか?貴様の才能摘むにはあまりにも惜しい……その才能……我が創る理想郷の為に役立てはくれぬか?」



「………賛同すれば月影を解放し……思い人を含め貴様の友人達の命も保証しよう」



「それだけじゃない……失った霊力も元に戻そう……そうすれば神埼一族……いやこの世の頂に立つほどの霊能者になれるやもしれぬぞ。」




「さぁ、この刃を手に取れ……それが賛同の証だ……」




…………



「………………か……」




「ん?なんと言ったか聞こえないな……」

 



「う…………………………か…………」




私は奴が差し出す柄を握り



「!?」




私の答えは既に決まっている




「うっせぇ!!ばーか!!!!」



奴の手を切り落とす勢いで小刀を振るった



「ならば……死あるのみ……」



奴の目の色が変わり背後から黒いモヤが立ち込め後ろに下がる




『暗転術式・月蝕』



次の瞬間……空に浮かぶ朧月だけを残し全てが闇に沈んだように周りが暗転してしまった



多分……結界術の一種だろうがこの術は聞いたことがない……



通常結界術は周りから完全に遮断され自分と相手の気配しか感じられなくなるが……



この結界術に関しては周りがあまりにも濃い霊力で黒く覆われ特定の気配が感じられなくなっている……



『暗刻・丑の刻参り』



「!!」



真っ暗で視覚が機能してないが一瞬だけ周りよりも高い霊力を感じ左に避ける



ジャッ!



右腕を少し奴の攻撃でかすめてしまうが……感覚からして釘のようなものを飛ばしているのか?



『……かすめたようだな……』



「だが、今ので大体の位置は把握した。」



この結果の弱点……それは突発的極端な妖力までは遮断できないこと…



現に先ほどの奴から発せられた極端に高い妖力を感じとったことで攻撃を回避することが出来た……



ならば……




ズズズ…




さっきと同じ妖力の気配が私から見て3時の方向の上空から感じバクテンで後方に回避したのちその場から飛び上がり



私が持つ小刀に霊力を乗せスローインした



昔は面白いぐらいポンポン使えていたが今の私の霊力ではこの術は一回限りしか使えない……



だが……この一回が奴に一泡吹かせるのに十分過ぎる打撃になる……



転位神光印てんいじんこういん!!」



淡い光を帯びた小刀は一直線に一瞬の妖力の高まりに向けて飛んでいき



カンッ!!



奴が自己防衛用に張っていた結果にそれが命中したと同時に術を発動し、そこへ瞬間移動……



宙を舞う小刀を掴み奴を逃がさまいと渾身の一撃を叩き込む。



神震裂落じんしんれつらく!!」



残る霊力を全て右足に収縮させ自身の身体を3回転させた遠心力をのせ、踵落としを食らわせた



この技は過去に“かなえさま”と対峙した際に使った技であの時は結界にヒビたけしかいれることが出来なかったが……



今は違う……



バリバリバリバリ!!!!



ガシャン!!!!



奴の防衛用の結界が硝子のように粉々に砕かれたと共に全てを遮断する暗闇が晴れ……奴の焦り顔が目に写ると同時に片手でに握る小刀を両手で握り奴の胸元へ



「くたばれぇぇー!!!!朧月ィィ!!!!」



これで決まると確信した……



しかし……この後……奴が神埼一族の祖であることを身をもって体験することとなってしまう……



私は重要なことを見落としていた……



それはほんの些細なこと…



暗闇の世界の中奴が放った攻撃で右腕をカスったが“出血していない”ことに




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