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たそがれ怪奇譚第2部 黄昏篇   作者: 狐鹿コーラ
最終章 中編 月物語
46/53

訪れる終末




………………




「ここは………………」



そこは……血よりも真っ赤な朧月の月光に呑み込まれた世界が広がっていた……


 






夢にしてはあまりに鮮明的で現実味は無いのはわかってはいるが……夢なら早く覚めて欲しかった……







どうやらここはいつも黄昏時を眺めていた『かわたれ山』には違いないが……



目に写るもの全てが赤く染まり……



大地を埋め着くす程の魑魅魍魎がひしめき合い吐き気を模様光景が目に映る……



あるものは狂喜し、あるものは共食いを始め、またあるものは呪いの讃歌を奏でていた………



まさに………飛鳥の時より伝えられし世の終末の世界……『怪異の世界』





『怪異の世界』



地により眠りし古の力が再び目覚める時



人は怪異の糧となり蹂躙され種が滅びるまで食いつくされ……



『如月の刻』訪れ……月は真っ赤に染まり……その月光にて百鬼の終わりのない永遠の宴が始まりを告げる




現実離れした光景に目が慣れてしまった時……私の目に受け入れがたいものが飛び込んでくる……




それは狂気に歪み不気味に微笑む……私がそこにいた……




「な、何故………何故私が………」



もう1人の私が赤く染まった月の光に照らされながら私ではない誰かに目を向け口を開いた………



『貴様等にはもうどうすることも出来ない』



『共にこの世の終末を“怪異の世界”を見届けようではないか。』



その目線の先には1人の満身創痍の状態でうつぶせの状態で倒れ伏し鋭い眼光をもう1人の私に向けていた



その少女は私の妻………芙蓉にそっくりだった………



『我が神埼一族現世の巫女「狐月」よ我と共に人を根絶やしにし怪異が統べる理想郷を創らぬか?』




「………………………!!!!」




芙蓉にそっくりな『狐月』と呼ばれる少女は嫌悪な表情と態度で何かをもう1人の私に言い放った後……動かなくなってしまう……



「そんな!!」



私は思わず少女の元へ駆け寄り介抱しようとするも………



私の手は少女をすり抜け触れることさえ出来ない。



『神埼の血筋はこれで終わったか………なぁ月影。』



「!!」



もう1人の私がそう言い放った先に虚ろな表情で血に染まった月影が岩に磔にされていた………



四肢を刀の刃で固定されそこから血が滴り周りを自分の血で赤く染めていた……



「月影までも………………」



こんなにも………世の中が簡単に終わって良いわけがない………



だが………この夢はあまりにも残酷すぎる……



夢ならば、自分の思い通りになる世界の筈が……干渉すら出来ず……真逆の事象が起きてしまっている



干渉が出来ない夢………



いつか分からない未来で起こる出来事……



今自分が見ているのは『予知夢』だとでも言うのか?



………でなければ干渉できない理由が思い浮かばない……



〔キィン〕



「ぐっ!?」



急に私の頭から鋭い痛みが襲い………



視界がぼやけ始め……その痛みから私は膝を着き頭を押さえる



この感覚……強い霊力を感じた時の感覚に似ているが



ここまで強大な力を持った霊力を感じたのは生まれて初めてだ……



霞む視界にその霊力の持ち主のほうに目を向けると………



あまりにも酷い頭痛の影響で視界が歪みはっきりとは見えなかったが……



唯一頭から離れず残っていた印象がその者の目が『真っ赤に染まっていた』ことだった




そして夢から覚めた先に待っていたのは心配そうに私の側で濡れて冷えた布を私の頭部にのせる月影がそこにいた



「狼月様!良かった……意識が戻って……今医師を呼んできますね。」



まもなくして月影が呼んだ医師からは「風邪を拗らし生死を彷徨っていた」と告げられ3日間意識が朦朧としていたとのこと………




私はそんなことよりもあの壮絶な『予知夢』が気掛かりでしょうがなかった……




まだ見ぬ未来……神埼一族が滅びもう1人の私の手により『怪異の世界』が実現され世の終末を迎える時が来る……




『予知夢』の最後に見た赤い目の人物が誰なのか分からないが……あの者が残された最後の希望であるなら………




私がまだこの世にいる内に多くを遺し……来るべき『怪異の世界』に対抗出来るだけの知識を後世に……




『奇譚』の形として………






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