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たそがれ怪奇譚第2部 黄昏篇   作者: 狐鹿コーラ
最終章 中編 月物語
44/53

善side2

あの不思議な体験を境に私は人ではなくってしまった……



この世の者ではない存在がはっきりと見え、心の声が聴こえ、言葉に言霊が宿り……異形とも言える力を持ってしまった



その力を一言で表と『無』



人に取り憑いた怪異に触れると断末魔を挙げながら消滅し……



隣村の医師から不治の病と宣告された者の体に触れた瞬間……その病は無となり病人は救われ……



産後の息をしてない赤子の息をふきかえしたりと……



これらの活躍から私は神隠しから戻ってきた『神の子』………『霊能者』と崇められていた……



だが時折……自身の内からもう1人の自分が私に囁いてくる………




『人の世を滅っせよ』


『悪意の種は摘み取るべし』


『人は自分さえよければ後はどうでも良い………』


『己の利の為ならなんでも利用する強欲で残忍な種なり』


『力を奮え………力を奮え』




彼は人を呪い憎んでいた………少しでも油断すると意識が遠退き……彼に人格を乗っ取られてしまいそうになる……



もし……彼が表に出てしまったら………人の世は無くなるという恐怖を背負い戦った……



契りを交わした『芙蓉』の為……村の皆を守るために………





それから数年が経過した頃




この地から2つ程山を越えた平安時代の中心と知られていた大都市『平安京』で『疱瘡』と医師の間で呼ばれている不治の病が流行り……




病にかかってしまったら最後大量の水膨れが全身を覆い一週間で死ぬと噂されていた……




同時に村付近で人と物怪2つの頭を持つ怪異が目撃されるようになり……




私の中のもう1人の人格はその怪異を知っているかのような口振りで



『燃やせ………半殺しにするな』



『とにかく燃やせ………灰すら残すな』



と今までの人を呪い憎む言動でなく………その怪異に対し『燃やせ』と……



私は彼の淡々な言葉に意味があると信じ……




2つ頭の怪異を退治するとき仙霊力の1つ『陽』の力がこもった日の炎で肉体を完全に残さず焼失させた……




何故もう1人の私があんなことを言ったのかは『平安京』から流れ着いたとされる絵巻から知ることとなる………







絵巻には1人の刀を構えた武士と2つの頭を持つ怪異が向かい合うように描かれ



その武士が怪異を刀で迎え撃ち………怪異を『半殺し』の状態まで追い込んだ……



そして次の場面で半殺しにされた怪異の肉体が膨張し………やがて大量の血と肉片と共に破裂………



飛び散った血や肉片が武士に降り注ぐ………



やがて……その武士は体から大量の水膨が溢れだし………死んでしまった。





この事から刀や拳といった攻撃方では怪異事態に有効ではあるが自ら自爆し病を伝染してしまう………




だから彼はあの怪異に対し『燃やせ』と………




対処法がわかってからの行動は早く




村の皆には村からの出入りを禁止とし




その分の作物の収穫量を増やし備蓄できるぐらいまでに村の面積を広げ、『陽』の力で作物の育成を促進し毎年の豊作を確立



拡張分の村面積を含めた巨大な結界を張り



結界外には火を扱う式神を村の東西南北に展開し警備にあたらせた




その頃『平安京』の総人口の半数以上が『疱瘡』によって死に………



平安京郊外はその死体で溢れ………半年が経過した現在………平安京内に死体が放置されている事態にまで陥っていると鳥の怪異がそんな話しをしていた。






夜明け前………



村人の1人が大慌てで私の元を訪ねてきた………



なんでも遠くの山々が燃えているとのこと



私は身支度を素早く済ませ家を飛び出し………その光景に驚愕せざる負えなかった………



それは………平安京が有ろう方角から山2つ分の距離があるにも関わらずメラメラと燃え上がる炎が視認出来る程に………



だれから見ても大規模の山火事のようであるが………



私たがらわかる………



あの炎は人界の火ではなく……『陽』の力を含んだ炎であると……



幸いなことにその炎は村に来ることはなく日の出の刻と共に炎は完全に見えなくなった………




その数日後………




村人から『かわたれ山』に住み着いた妖狐を退治してほしいと依頼が来るのであった。





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