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たそがれ怪奇譚第2部 黄昏篇   作者: 狐鹿コーラ
最終章 中編 月物語
41/53

月影side3

晴月が病に倒れてから5日程が経過し……その間、私は『疱瘡』の治療法をさがしたが見つかる訳もなく……



『腐食の怪異』に犯され暴走する怪異が増えるばかりで既に平安京は崩壊の一歩をたどっていた……



更に追い討ちをかけるように私に不幸が降りかかる……私が経営する陰陽道の門下生の1人『焔秀喜えんのしゅうき』が『疱瘡』に感染したということ……



彼は私の陰陽道の一番弟子で他の弟弟子からも慕われていた兄弟子……



陰陽道の中でも特に優秀で妖術に長けた才能の持ち主だった



それ故に私と共に『腐食の怪異』の退魔をしてきたが………



彼が戦闘時に『腐食の怪異』を膨張させ『疱瘡』を拡散させたことは一度たりともない……



退魔の手順は彼の妖術で『腐食の怪異』を隔離し私が瀕死まで追い込み……トドメの火の五行で骨まで残さぬよう焼き尽くすというもの……



だから彼がしくじり『疱瘡』に感染するなどあり得なかった……



私は30年続いた陰陽道を私と彼を残し閉鎖することを決め……他の門下生達には「事が終息したらまた再開する」と言い渡し門下生達は涙ながら出ていく決意決めざる終えなかった。




陰陽道を閉鎖してまもなく………彼の部屋から1通の書き置きを残し……消え……締め切った筈の裏門が開いていたのだ……




私は自身の胸に浮かぶ最悪な事態を圧し殺しながら僅かに残った彼の妖力をたどり……




平安京を飛び出し彼の名を叫んだ……




「秀喜ーーー!!共に戻ろう!私は絶対にお前を見捨てたりしないから一緒に帰ろう!!秀喜ーー!!」



彼との出会いは陰陽道を立ち上げてから半年経った頃のこと




東市の着物屋から着物を盗んだとして検非違使につれて行かれそうになった所を私が店主を説得して、その着物を購入しその場を納めてから



なぜ盗みをはたらいたのか事情を聞いたところ………どうやら彼の家族は鏡写しの怪異により彼を残して無惨にも惨殺され



たった1人で身寄りもなく盗みで等価交換した米や野菜等を食べ餓えを凌いでいたとのこと。



理由は痛い程分かるが盗み事態場合によっては刑が重くなる可能性がある………まだ15ぐらいの年の少年にはあまりにも理不尽な話だ



私は彼に「今後生涯一切盗みを行わないと約束できるなら私のもとへ来い。」



そう提案すると彼は2つ返事で受け入れ陰陽道最初の門下生となった………








現在………



家を出た秀喜の妖力をたどって平安京の郊外の竹林まできたが……



道は風化をまつ死体であふれ……人1人ようやく通れる程の道しかなく鼻が壊れそうなぐらいの人の風化し腐った臭いがこびりつく………



妖力の痕跡を追いながら周囲の死体に目をむけ………『最悪の事態』……の考えが過るが……



それを振り払いながら妖力の痕跡だけを信じた……




日がうっすらとのぼり初め……日の出の光りに照らされながら




彼は呆然と立ち尽くしていた……




私は秀喜を見つけて直ぐに彼の名前を叫び連れ戻そうとしたが………




待っていたのは余りにも残酷な現実だった………




私のほうを向いた秀喜の頭が2つあり1つが猿の頭をしてもう1つの頭が下を向いていた………




その瞬間私の頭の中は真っ白になり腰に下げた刀が鞘から抜けずにいた………



彼が………人間ではなく怪異で『腐食の怪異』へと変貌してしまったことと………



なぜ彼は私に黙って抜け出したのか理解せざるおえなかった………



『腐食の怪異』となり平安京で人を殺す前に自らを犠牲にして被害を出さないようにしようと……そう考えていたのかもしれない………



だが………今こうして『腐食の怪異』となってしまった彼は私の姿をみるなり牙をむき出しにして獣のように威嚇しながらゆっくりと歩みよる……



既に抜刀の射程には完全に入っているが………思うように刀が抜けぬままどんどん距離を詰められていく………




「出来ない………出来るわけがない………」




もう私の心は戦意喪失の言葉が浮かび……親友のみならず一番弟子まで奪われるぐらないなら………




いっそ私も『腐食の怪異』となり心ゆくまで暴れまわり楽になってしまおうなんて思ってしまった時………それは突如として起こった。






プツッ………プツプツ………





ボッ!!!!





突然『腐食の怪異』の肉体が発火し火だるまになり地面を転げまわり悲痛な叫びを上げる猿の頭………



私は目の前で起きた出来事にただ呆然と見ていることしか出来なかった



やがて赤い炎が肉体を完全に覆い動かなくなると………動く筈のない人側の頭である秀喜が顔を上げ……安らぎに満ちた顔を私にむけ………




『生きて………………ください………………師匠………』




その一言が彼が発した最後の言葉であり………



日が完全に登りきった時には彼の肉体は骨すら残さず自身が死の間際に発した「火の五行」によって焼失し………




私はその場で膝を落とし……言葉にならない「疱瘡」への怒りと一番弟子を失った悲しみがこみ上げ




竹林全体に私の悲痛な叫び声がこだまし………




心が折れてしまった瞬間でもあった………



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