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たそがれ怪奇譚第2部 黄昏篇   作者: 狐鹿コーラ
最終章 前編 幾多の死の先へ
35/53

レンside3

冥界………




死者の魂が三途の川を渡った先にあるといわれる黄泉の世界……



そこでは生前……善悪関わらず魂が集まり来るべき日が訪れるまで滞在する場所とされる



来るべき日と言うのが言わずとしれた閻魔による天国か地獄かの選別



基本的に現世で生誕した日から寿命を全うした歳の数と同じ年数だけ冥界へ留まり、死んだ年がくれば魂は自動的に閻魔の選別を受け天国か地獄かの判決を受けることになる。



冥界を統べる冥王は現世での死の管理と定められていない魂に肉体を与え契約を結び死神とする力がある



そんな冥王は名前からしてかなりの見た目をしているかと思いきや……



どこぞの漫画に出てくるラスボス級の奴を想像しがちだが……



実際は7歳ぐらいの子供の容姿でおかっぱ頭に七五三の着物を着て正直、男か女か分からない見た目をしているが



男の子らしい………まじで初見じゃ-女の子にしか見えない…



だが……この冥王こそルールを破った死神を裁く使命を担っているのだか…見た目では判断してはならない驚異的な力を持っている……



そして……俺が直々に連行されここに連れてこられたことは言うまでもあるまい。




畳20畳以上あるだたっ広い和室に襖と障子で閉ざされた空間に俺と冥王が向かい合っていた……



水晶のように綺麗で濁りなき眼差しを俺に向け冥王が一言



「今日、どうして君がここへ呼ばれたかわかるかい?」



「冥界におけるルールを破ったから……でしょ……しかるべき裁きを受ける覚悟は出来ています。」



俺は真っ直ぐな態度で冥王の目をみて答えた…………



既に自らの運命に区切りをつけているからな恐怖とかそう言うのは全く無かったと言える



「……君たち死神に与えた役割は覚えているかい?」



「寿命を終えた魂、死の障害となる魂を刈り取り冥界へ送ることを使命としている……忘れるわけないですよ。」



冥王は微笑みながら頷くと



「あなたがこれまでに刈り取った怪異の正体がなんなのかわかりますか?」



正体?………怪異という存在は偶発的に生まれ人を食らう化け物程度にしか見ていなかったが……



あのヒトクイだけは元人間であることぐらい……



いまさら怪異自体がなんなのか知ったことではない……




「あれは人の魂の成れの果てなのです。」



「人の魂………怪異が人間?……」



「えぇ、死んだ人の魂が地に眠る霊的エネルギーの影響で魑魅魍魎と化し怪異となるのです………それを未然に防ぐのがあなた方死神に与えられた役割と言っても過言ではありません。」




ヒトクイの事例もあって今更感があるが……



平安の時代と世界大戦後の時代で莫大に増えたのかは納得するところもある…



「今ここであなたを罰することは簡単ですが……今だけは保留とします。」



それは予想だにしていない回答だった……



「保留……ですか……」



「えぇ、現世で換算して一年ほどあなたに猶予を与えます……何か不満でも?」



「冥界のルールを破ったら即虚無送りだとばかり思っていましたから…」



「そうですね……何かしら理由をつけるなら貴方はまだ死神として必要だからと言えばよろしいかな。私からは以上だ下がりなさい……」



俺は思わぬ冥王の気紛れかなんか知らないが……命拾いし



猶予を与えてくれた冥王に今までにないぐらい感謝の意をこめ頭をさげた



「そういえば、現世のたそがれ町で花火大会が行われるらしいね浴衣なんか似合うんじゃないか?」



「………!!」



彼女が永遠にみることの無かった花火を見ることが出来る……



そして現世へ










ヒュュュ~~………




ババァン!!




夜空へ打ち上げられ一瞬の閃光と共に夜空を彩る花火



二人で下から眺めていた



ピンクの蝶の着物に可愛らしいドクロマークの簪で髪を纏め、病室にいた頃とは見違えるぐらい美しい彼女の姿があった




ウミは言う




「ありがとう…レンさん。こんな夢にまでみた花火をこうして見れるなんて…」



俺は照れくさそうに



「そ、そんなお礼を言われるようなことはしたつもりは………」



「私………レンさんとあの時出会ってなかったら今こうして花火をみることも叶わず死んじゃってると思うんだ。」



「ウミ………」



「まさか、エイズまで根治したなんて言われた時は涙が止まらなかったよ……ようやく解放されるんだってね。」




「………………」




ウミにはこのまま自分の身に何が起きたのか知らないままでいて欲しい………



ウミの体には俺の死神の血が全体の8割を占めている………



残りの2割は彼女の体を流れる唯一病に犯されていない血を更に洗い流した純血が流れている…



ドクターの手術は人知を遥かに凌駕したものだったと言えよう…



俺は幽体離脱して終始見守っていたから解るが………



ドクターの目が赤く染まり体から影のようなものが俺とウミを包み目に求まらぬ早さで



エイズに犯された臓器から病原だけを抜き出し俺の冥界の加護を受けた血を流し込むというもの………



手術が完全に終わったのは、なんと………たったの30分………



結果的にウミは姿は人間であるが死神の血が流れている為に冥界の加護を受け…何かしらの力を持ってしまったようだ。



手術前ドクターは……



「彼女が人間でいられなくなることはほぼ確定事項………最悪………死神の血に耐えきれず肉体が消滅するか、怪異となってしまう場合がある。」と




俺はどんな形であれ彼女にはこれからの人生を歩ませたく…



覚悟を決め、ドクターにこう告げた




「そうなったら死神として彼女の魂を刈り取る………なんたって死神は優しい存在らしいからな。」



そう返すとドクターは



「………………強ち………間違いではなさそうだな。」と一言告げ………




今に至る………





無数に打ち上げられた花火に目を奪われる俺とウミ………



後一年………



例え俺が居なくなっても………




「レンさん………」



「んっ………………」




ウミの声に顔を向いた瞬間………




たそがれ町の花火大会で最大の巨大花火がうち上がり………




俺達はそれを見ることなく二人だけの世界に入り込んでしまっていた。














後に………何故………冥王が俺の処分を保留としたのか…



夜鴉の一件後合流した零二に連れてこられた旧都に立てられた黄昏タワーにて理由が明らかとなる………





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