レンside2
死神は………
死の象徴と言われる存在
魂を抜き取り冥界へと誘う存在
俺はルールに従い…死の障害となる者…あるいは死が近づく者の魂を幾つも刈り取ってきた……
もしかしたら……彼女の死を早めてしまったのは死神である俺なのかもしれない…
俺が死神で死を象徴し魂を刈り取る故に彼女の定められた死の運命が縮まり……
彼女の魂を刈り取れと訴えているようでならない…
そうだ………ただ1人の命を刈り取るに何を躊躇っているんだ…
これまで何度も刈り取って来たじゃないか…
今更………何を迷っているんだ………
死が近いだ者の魂を刈り取り冥界へ送る………それだけの筈なのに………
それだけの………それだけの
「死神は死んだ人の魂を冥界まで導いてくれる誰よりも優しい存在だってね。」
ウミ………
「だってそうでしょ?死神は死を象徴する神で死が訪れる人物の側に居てくれて…相手は悲しまずあの世に旅立てるんだよ。」
出来ない………
俺には彼女の魂を刈り取るなんて出来ない………
彼女の笑顔が言葉がそして優しさを……
奪うことなんて………出来やしない………
なぜなら俺は………死神である俺は………
彼女に恋してしまったのだから。
「………………」
「想定通り………」
目を覚ますと俺は待合室?と思われる場所に椅子に座らされ
隣には俺に何かを打ちこんだ医師がとある資料を見ながら座っていた。
「俺に何しやがった?……てかなんで俺が死神だって…」
「君の姿……生前と酷似した見た目をしているからね……怪異にでも襲われて冥界と契約を結び死神として再誕したのだろう。」
最初は同業者?かと思ったがこいつの名前は死神の目で見れるが…寿命までは文字化けして見えなかった
この医師の名前は『牙竜寺 孝文』
さっきは頭に血が登ってよく見ていなかったが……
緑の迷彩柄のカーゴパンツに無地の黒い服に白衣を羽織り………
茶色気味の金髪に死んだ魚みたいな眼差しに加え………若干肌が白っぽく見える……見た感じ二十歳後半ぐらいだろうか?
「なんでそこまで………お前何者だ?」
俺が彼に何者か問うと……彼は素直にこう答えた
「ただの知ってることだけしか知らないドクターだ……」
続けてドクターと自称する彼は手元の資料の一部を俺に手渡した。
それは何かの証明書だったが…それをよく見ると……
これがなんの証明書かわかった瞬間…目を疑った……
「嘘だ……こんなの許されるわけが!」
「既に親族の署名がある……紛れもない事実だ……」
「“安楽死を希望”って………ふざけるな!」
その証明書は彼女の安楽死を許可するものであった……
ドクターは親族に対する彼女の存在を
「恐らく彼女の家系の問題だろう……犯罪者の父に自殺した母………残された彼女を疫病神のような存在だっただろう。」
「その署名は彼女の親族によるものだろう勿論………彼女には内緒で。」
俺はやり場のない怒りを静かに呟き………今にも鎌を取り出し安楽死を実行しようとしている医師と彼女の命をなんとも思わない親族にたいし斬り込みたい気持ちで一杯だった
「人の命をなんだと………それが奴らのやり方か………」
「彼女だけじゃない………あの集中治療室の患者ら全員………安楽死を希望する者達が大半を占めている。普通じゃまずあり得ない。」
「?………どういうことだよ……そんなもの死神が許すわけ……」
「この病院………“人の魂を糧にする死神紛いの存在”がいるとしたらどうする?」
たそがれ町自体…怪異が集まり涌き出るホットスポットだが……
学校や病院などを守護する死神が派遣され……未然に怪異の侵入を防いでいる筈……
まさか……俺を含めた死神が二人もいながら…侵入を許したのか?
「いるなら俺は容赦しない………」
「そうか………なら選択肢を与えよう………」
「選択肢?」
「私の技術なら彼女の病を完治できる………」
「本当か!!なら今すぐ!!」
「そのために死神よ………いや……レン……と呼んだ方が良いかな?君は選択しなければない……」
ドクターが告げた選択肢はこういうものだ
………冥界のルールを破り彼女を救うか
………彼女を諦め冥界のルールにのっとり障害を排除するか
この2つだった
冥界のルールを破ったものは天国でも地獄でもない虚無の世界へ追放される
だが………俺はその選択で一切の迷いを見せずドクターに選択を告げた
「俺がどうなろうと構わない……ウミを救えるなら……なんだってやる覚悟は出来ている。」
こうして俺は冥界のルールを破り………死神として存在するより……
愛する彼女の命を選んだ……
既におれは
5つ目のルールを破っていたことに気づいていない
五つ目のルール……それは………『死神は恋してはならい』
恋した死神は問答無用で関わった者達の記憶から抹消されその後で存在そのものを消されるとのこと。
彼女が生きてくれるなら構いやしない
俺はもうこの世には存在しない筈の者だからな。




