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たそがれ怪奇譚第2部 黄昏篇   作者: 狐鹿コーラ
最終章 前編 幾多の死の先へ
32/53

死神side3

社会では週休二日など休みが与えるものだが……




冥界でもその制度がある、俺達死神の場合は土曜と日曜、祝日の固定休暇が設けられ




その日だけ死神は生前とは別の肉体を与えられ現世を自由に行き来することが可能となる



皆が期待する男が女になっちゃった展開はない



男の死神には生前とは別の外見の男の肉体



女の死神には生前とは別の外見の女の肉体



と、わりとそこんところはしっかりしている




俺はというと外見は全く変化が無い……




あるとすれば生前地味に気にしていた左耳と右頬についていた小さなホクロというか痣?がなくなった程度




それ故に生前の俺を知っている人がいてもおかしくないが面白いことに全くいない……



どれだけ生前の自分がボッチだったのかうかがえるが……



今はそんなことはない……



冥界の休日を利用して……会いに行ってるのだから。



「よーっす、来たぞ。」



「あ、レンさんいらっしゃい!」




ウミのもとへ……



ウミは俺を見るなり満面の笑みを浮かべ出迎えた



そんな俺も微笑ましい気持ちになり笑みを浮かべてしまう。



「これたいしたものじゃないけど良かったら」



差し入れで持ってきた物をウミに手渡すと



「これ!昨日発売された『殺人少女』!病院の売店で品切れだったから諦めていたけど、ありがとうレンさん!」



彼女の眩しすぎる笑顔に思わず目が良い意味でどうにかなってしまいそうになる



確かこの小説……多数の短編小説を世に出していることで有名な小説家で癖の強いエンドを演出することで話題だとか



この『殺人少女』もとある都市伝説を題材とした作品だとか……



なんでも自由気ままに殺人を犯す妖怪少女を中心に物語は展開していき、その少女へ恩を施すと「殺し」という恩返しで



恩を施した人物から殺してほしい人物の名前をあげ殺しに行くだとか。



………どこかで聞いたことがあるな………何処だったかは今は思いだせないが……



そういえばまだ触れていなかったが、ウミがさっきまで読んでいた本……



いつものラノベとは一回り大きく辞典の半分ぐらいの厚さがあり小鹿の顔が描かれたブックカバーで覆われていた。



「何読んでるんだ?いつものラノベとは違う感じだが。」



「結構面白いよーレンもハマっちゃうかもよ~♪」



というと新書ぐらいの大きさの本のブックカバーを外すと……



『世界の怪異大全集』



というタイトルで表紙絵が絵巻とかに出てくるきらびやかな着物姿の妖狐が描かれていたが……



何処と無く神埼の所の「月影」に似ている……



その本には数々の怪異が記載され細かな解説まで書かれていた。



「ちなみにウミはどんな怪異が好きとかあるか?」



「え~色々あって優劣付けにくいけど……やっぱりこの怪異かな。」



ウミが開いたページには



特徴的な長い柄の鎌を携えた黒いローブ姿の怪異……



「『死神』………」



「そうだよ、『死神』死の象徴とも言える存在で…その鎌で魂を抜き取り冥界へと誘う存在」



「………………」



「本ではそう書いているけどね、私はこう思うの…死神は死んだ人の魂を冥界まで導いてくれる誰よりも優しい存在だってね」



「え?………………」



「だってそうでしょ?死神は死を象徴する神で死が訪れる人物の側に居てくれて…相手は悲しまずあの世に旅立てるんだよ。」




今まで…そういう眼差しで見られることは一生ないと思っていた



死神は意味嫌われる存在で死神に目を付けられた人物は必ず死ぬとまで言われた時期もあった



都市伝説でも死神の扱いは悪役に近いものを感じざるおえない………



だけど俺達死神を好きだと言ってくれる人がこの世に1人でもいてくれれば…それだけで俺達死神としての存在する意味を見いだせる



「俺も好きだぜ………『死神』」



「レンさんも私と一緒だね♪」




しかし………そんな幸せは長くは続かず………



減ったり増えたりするはずのない……



ウミさんの10年という寿命が



半分の5年にまで激減していたことを………




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