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たそがれ怪奇譚第2部 黄昏篇   作者: 狐鹿コーラ
最終章 前編 幾多の死の先へ
31/53

死神side2



冥界には幾つかルールがある……




1つ…定められた死を覆してはならい



2つ…定められた死の魂は必ず冥界まで導くこと



3つ…死を早める存在は例外無く排除する



4つ…むやみやたらに魂を刈り取ってはいけない



そして……5つ目が……




これらの内どれか1つでも犯した死神は例外無く……




天国でも地獄でもない何もない虚無の世界へと追放されてしまう……




今から話す事は俺が5つ目のルールを破ってしまったことについてだ……



正直……破らざるおえかったと思う。



だが、後悔はない……生前の人生で誰かの為に命をかけるなんて微塵もなかったからな……




5番目のルールを破るぐらい彼女の命と比べれば安いものだ。






あれは3年前……



来訪者の予言とも言える警告を報告するとすぐさま冥界では現世に送る死神の数を増やし警戒体制に入っている時だった




その予言の前兆かと言わんばかりにたそがれ町の神である『かなえさま』の出現



『ヒトクイ』と思われる俺が刈り取った怪異の別個体の複数の出現に加え、普通の生きた人間が怪異化する現象も数件報告があり



その対処に追われる日々を送っていた。




そんな俺が黄昏大学病院で寿命を全うした魂を冥界へと送り現世へ戻ろうとした道中




1人の少女がうす緑の病院着姿で当たりを見回しさ迷っていた……



ー担当の死神とはぐれたのか?



と思ったが……その少女から死んだ者にはあるはずのない『寿命』がはっきりと見えていたので声をかけることに



「よう大丈夫かい?」



「す、すいません!」



その少女は俺を見るなり驚いた様子で謝り始めた



「どうしても花火大会の花火が見たくてつい……歩道橋から足を滑らした所までは覚えているのですが」



花火大会……たそがれ町の花火大会か………もうそんな時期なんだな



しかし……少女がこれから行こうとしているのは花火大会ではなく死んだ魂が集まる冥界……



しかも歩道橋って……不味い……



現世の少女の体は落下したショックで肉体と魂が分離してしまっているこのままでは強制的に寿命が縮まり死者となってしまう……




冥界の決まりでは寿命を全うしてない魂は10分以内であれば現世へ戻しても良いことになっている。



「俺が案内してやるよ着いてきな。」



「ありがとうございます!」



俺は少女の手を握ると少女を人の姿から人魂へと姿をかえ現世へと送り



歩道橋の階段下でスリッパだけを履いて倒れていた少女を発見しすぐさま少女の魂を肉体へと戻し



少女が着ていた病院着から黄昏大学病院であることがわかり、少女をそこへ連れて行き通りすがりの夜勤ナースに声をかけ



医師総出で緊急手術を行い



少女は一命を取り留めたのであった。






数日後……




あの時全身黒い喪服だったから顔は見られなかったが……




流石に現世でのプライベートは仕事着の喪服ではなく黒のスーツを着て




黄昏大学病院を担当する先輩死神からお礼ついでに少女のことを聞き病室にやってきた



魂の時は人の形をしていただけてはっきりとは分からなかったが……



頭に包帯を巻き、灰色のロングヘアにピンクの丸眼鏡を着けて優しい眼差しでなんらかの書籍を黙読していた。



「こんにちは」



俺が少女に軽く挨拶をすると



「あ、あなたはこの前の…あの時はありがとうございます。」



もう忘れてしまっていると思っていたが…まさか覚えているとは…



少女もこちらを見るとにっこりと微笑み軽く頭を下げた



「君がこの病院で入院してるって聞いて様子を見にきたけど大丈夫そうだな。」



「わざわざ助けもらった上にお見舞いにまできてくださるなんて重ね重ねありがとうございます。」



先輩死神から聞いたが少女の名前は「白神石しらかみいし うみ



幼少期からとある難病で入退院を繰り返しているとのこと……



「果物持ってきたけど良かったどうだい?」



「いただきます!」



俺は果物ナイフでリンゴの皮を剥きながら少女の話を聞いた。



「あの後看護士さんやお医者さんに滅茶苦茶叱られて大変でした。」



「そういえば、花火大会にいくために病院を脱け出したとかとてつもないステルススキルの使い手かあるいは」



「ニュータイプのどちらかですね私」



「もしかしてSFとか異世界物とか好きな方なのか?」



「大大大好きですよ!ラノベにSF、異世界、都市伝説に、心霊、UFO、UMAもうたまらないですね。」



「まじか!俺もそういう系は好きで欠かさず録画したりライトノベルは新刊でたら欠かさず買うぜ!」



リンゴの皮を剥き終わりリンゴを食べやすい大きさでカットしていきリンゴをつまみながら凄く話が盛り上がった。




「最近読み始めたフォックスファイア戦記なんか特に面白いです、ギルドフォックスファイアの1人剣士クロフォードが『邪道こそが最強への道』を吟うように小細工を使って強敵を怯ませてチャンスを作るところなんかしびれますね。」




「団長であるナインテイルの仲間を巻き込む可能性がある広範囲魔術の『ゴッドレイジ』からランサーのリコが結界を張って強敵だけに攻撃が行くようにしているのは流石だが、あれはやっぱりギルド全体の連携が完璧にとれているからなせる技だな。」




「でもその5年後某反の罪を着せられて国外追放されるんだよね……そんでもって副業でサーカスをやる展開は予想出来なかったな~」




「あの強敵ファフニール討伐したのにあの仕打ちは痛すぎる、でも最後まで諦めずにギルドとして行動しようとするナインテイルにほれたな…まぁ結果的にトレジャーハンターにならなくて正解だったな。」




「それは私も同感です!」




俺達が話していた「フォックスファイア戦記」は最近話題になっている小説で異世界物でギルドであるフォックスファイアのメンバーの戦いを描いた物語だ



その話しで2時間は語り会ったと思う。




そうしている内に面会時間は過ぎていき病室から出なくてはならなくった



「もうこんな時間か……」



「あの………また来てくれますか?」



「あぁ、もちろん…必ず」



「待ってますからね!あ、まだ名前聞いてなかった…よろしければ教えてもらいませんか?」



名前か………生前の名前は死神になると同時に失われたから無いが……



フォックスファイアの1人から名前をとって……



「レン……獅子神ししがみレン」



「レンさん……フフフ、フォックスファイアのレンと同じですね、私は白神石しらかみいし うみよろしくねレンさん。」



「こちらこそよろしくな、ウミさん。」




彼女は俺がみえなくなるまでずっとこっちを見ていた。



病院の外では先輩死神が俺を待っていた様子でいると……



「あの娘があれだけ笑顔で他人と話しているところは初めてだったよ。」



「………………」



「もうその目で彼女の寿命は知っていると思うが……」



「………………後10年…………」



「悲しいが………定まった命を変えることは出来ない………なんせ彼女は………」



「今日はありがとうございました。それじゃ………」



俺は死神になってから初めて死の現実を受け入れられずにいた……



10年後……28歳の誕生日を向かえた瞬間………………寿命が尽きる………



少女が犯されている病気は




『後天性免疫不全症候群』



いわゆるエイズというもの………



HIVウイルスが血液感染することによって発症する難病………あらゆる免疫機能が低下しワクチンを打っても変異しやすく根本的な治療は見つかっておらず



現在彼女のもっとも困難と言われるステージ3とのこと……



この段階になってしまうと



病原性の弱い細菌、ウイルス、などの日和見感染を起こし 



呼吸困難や肺炎、腸炎、意識障害、けいれん、リンパ腫などの症状や1ヵ月以上にわたる発熱・下痢による衰弱



HIV脳症による運動障害や認知症症状など多彩な症状が現れるという……



彼女は幸い………まだHIV脳症ではないにしろ………



あの花火大会の前日に大きな手術を終えたばかりだと………先輩死神はそう呟く




「皮肉だよな………彼女が5歳の時に父親が違法ドラッグやって親が留守中にその注射器を見つけて手をケガして病院で見てもらったら感染していたと……」



その後離婚、女で1つで彼女を支えていた母親は不運にも交通事故で死亡……



今は母親の姉にあたる人物が少女の面倒を見ているとのこと………



「彼女の最期はお前が見てやれ………死神に出来るのは魂を冥界へ導くことだけだ……良いな?」



「………あぁ………」

 


俺は素っ気ない返事で病気を後にし何にもしてやれない自分に苛立ち………



その苛立ちを『ヒトクイ』にぶつけていくのであった



相手の息の根を止めても四肢を切断し胴を切り刻み………



魂を刈り取る頃には『ヒトクイ』だったものは肉塊へと変わり辺りは血で塗り固められていた………
















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