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たそがれ怪奇譚第2部 黄昏篇   作者: 狐鹿コーラ
最終章 前編 幾多の死の先へ
30/53

死神side

ある一人の男がいた。



彼は20代の若者で仕事をしていなかった。



何をやっても長続きせずどれだけ努力しても結局は職場の人間関係が原因で辞める事になった……




理由は簡単、彼の性格が問題だ。




彼は人嫌いでそのせいで周囲に馴染めず友と呼べる存在は殆ど居らず、やがて彼はそれでもいいと考えていた。




周囲の人間を見下し馴染もうともしなかった……恐らく職場で長続きしなかったのもそれが原因の一つだと思う……




そんなある日の事だった。




その日の事を彼はよく覚えている……




その日彼は繁華街をスーツ姿で歩いていた……




良い求人を見つけ面接に行ったがそこの職場の面接官達の反応が誰から見てもわかる程いまいちなものであった……




彼は優れた人材を探していたのだろうが……彼が入った瞬間の面接官の溜め息とありきたりな質疑応答で全てを察した……




こいつらが求めていたのは劣等人種ではないことを……



「後日結果をお伝えします」などと言っていたが……不採用なのは目に見えていた……




いっそのこと人間よりマンガとかで良くある異世界転生なんかして勇者とかになって有意義な人生を送りたい




なんてことを思っていた時の事だった……




彼は運悪くヒトクイに出会った……




ヒトクイに襲われながらも生にしがみつくように傷口から溢れでる血を押さえながら這いずり………




通りすがりの人物に手を伸ばし助けを叫んだが………届かず………




程なくして彼は食われた。






気がついた頃には彼はあの世にいた。




「気がついた?」




誰かが彼にそう尋ねる。




目の前には一人の少女がいた……




「俺・・・死んだのか」




男がそう呟く。




「理解が早くて助かるわ。落ち着いて聞いてね……君には行く先がないの・・・」




少女が男にそう告げる。




「どういう事だ?」




男は尋ねた。




「まだ死ぬには早いのよ。でも君の体は食べられてしまったから生き返る事もできない。あの世にも君の行く所はないの」




少女が暗い表情でそう言った。




「じゃあどうすればいいんだ?」




男がそう尋ねる。




「そこで提案なんだけど君、死神になるつもりはない?」




少し考えてから少女はそう尋ねた。



「死神だと?」




男は耳を疑う。




「ちょうど今手が足りてないの。君が手伝ってくれたら助かるんだけどな・・・」




少女は期待を込めて男にそう尋ねた。




「いいぜ、好きに使ってくれ。どうせ他にやる事もないしな」




男は即答した。




こうして彼は冥王と契約し、死神になり……




それと同時に生前の名を失った。




もはや男の名を知る者はいない。




だが彼はヒトクイに食われた事以外は結果としてよかったと思っている。 




理由は二つ、生前のようなクソつまらない人生より充実している事と狐月達と出会えた事だ。




こんな言い方は変だが、彼は死んでよかったと思っている。




その後、死神はヒトクイを追うようになった……

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