旧友
そんなある日の事……
狐月の所に淳也が訪ねてきた。
「何の用だ?」
ぶっきらぼうに狐月が尋ねる。
「お願いだ!口裂け女について調べたいと思ってるんだ、同行してくれ!頼むこのとおり!!」
淳也が笑顔でそう言った。
口裂け女……もっとも有名な都市伝説の1つ……
容姿は一般の成人女性で、特徴的な口元を完全に隠すほどのマスクをしており
遭遇した人に「私、綺麗?」と聞いてくる…
「きれい」と答えると、「これでも……?」と言いながらマスクを外し……マスクに隠れた口を表す……
その口元は耳まで大きく裂けた非常に醜いもので……
手に持っていた手鎌で襲いかかるという……
「なんでまた口裂け女について調べようとしているんだ?」
狐月は非難するような目で淳也を見ながらそう尋ねた。
「この辺で口裂け女の目撃情報があったんだよ!だから調べたいんだ。狐月に迷惑はかけない!約束するよ」
淳也は早口でそう言った。
既に迷惑をかけていることに気付いてないのか?
こいつは全然成長がない……
調べてそれと遭遇したらどうする気なのか?
口説くなら大したものだが……
恐らく惨たらしく殺されて終わりだろう……
深いため息を狐月が吐いた後
「わかった」
狐月はしぶしぶといった様子でそう答えた……
そして狐月達は調査に向かった。
目撃情報を聞いて回り、実際に口裂け女が目撃された場所ヘ向かった。
「特に怪しい所はないな」
辺りを見渡して狐月がそう呟いた。
「こうしていると昔を思い出すよな。僕達がオカルト同好会として活動していた頃の事を」
淳也が懐かしそうに呟いた。
「あまり思い出させるな・・・」
狐月が苦々しい表情でそう呟く。
「狐月が後悔してるのはわかるよ…確かに辛い過去かもしれない。でも楽しかった事まで全部否定する事ないじゃないか!」
淳也が悲しそうな表情でそう言った。
「この話は終わりだ。これ以上思い出させるな!」
狐月はそう怒鳴って話を一方的に終わらせた。
その後も調査は続いたが特に成果は得られなかった。
「そろそろ帰るよ」
淳也達は帰っていった……
そして狐月だけがその場に残された。