操殺
夜明け前……
「申し訳ございません。あなた様の期待には答えられませんでした」
ドリームマンは残念そうにボスへ暗殺失敗の報告をすると
「やはり一筋縄ではいかないか……ならプランを変えよう……」
その言葉を待っていたかのように1人の少女が部屋に入ってくるなり
「もう!皆だめだなあ。次は私が殺る!」
「マインド……彼女を使うのですか?」
月影の力を思い知ったドリームマンはボスに
「彼女の実力は私達より上なのは認めましょう……ですが……それをもってしても月影には通用しない悪夢が見えます。」
「無論……それを踏まえてのプラン変更だ……」
そういうとドリームマンがまとめた資料から1枚の写真を抜き取り………
マインドに渡し
「この写真の人物を始末して欲しい」
「えー!?1人だけ?もっともっと殺りたいよ!」
「マインド、君しか出来ない仕事なんだ……君にしか頼めない特別な仕事だ………やってくれるか?」
「ボス……………任せてよ!」
そういうと少女楽しそうにスキップしながら部屋に戻った
少女は暗殺組織『夜鴉』のエース
神路緋色
コードネーム:『マインド』
霊能者で能力は催眠
催眠で他人を自由自在に操り多種多彩な暗殺を可能とし……
とある政治一家を心中に見せかけた暗殺に成功……
大臣が乗るセツナ機を乗客もろとも墜落させたりと………
少女が成し遂げた暗殺は数知れない………
翌日の昼過ぎ……
とある取材を終えた淳也は早くに出来た後輩を連れ出版社へ戻る道中
「ん………あれは……そうだよな………」
「どうしたんですか稲川先輩?」
「わりー先に戻ってくれ、これ渡しておくから記事の下書きおねがいするわ。」
そういうと後輩に取材の資料を渡し走り出した。
彼が見たものは四谷零二の妹である
『四谷 理佳』
今日は平日で今の時間帯では専門学校で授業を受けている筈だが……
真面目な彼女に限ってサボりはあり得ない
仮にサボりだとしてもこんな高層ビルが建ち並ぶ娯楽とはかけ離れた場所でしかも友人とか知り合いも連れず1人でいるとは……
あんまり楽しそうな感じには見えないし………ましてや………
ドン!
「おい!どこ見て歩いているんだよ!」
「……………………」
「チッ!気を付けろ!」
通行人とぶつかるしまつ……
試しに
「理佳ちゃーん!りーかーちゃーん!!」
と………高校時代なら
「用もないのに軽々しく私のこと呼ばないでよ!」
とかツンマシマシの言葉が返ってくる筈が………今はなんの反応もなくガン無視されている。
やっぱりなんか専門学校でなんかあったのでは?
理佳ちゃんを尾行しながら親友であり盟友の零二に連絡をかけた
『どうした淳也?取材の手伝いなら後にしてくれないか………』
「そんなことは今はいい……所で理佳ちゃんは今日どんな感じだった?何か変わった様子とか……なんらなら学校で何か悩み事とか………」
『…………質問の意図はわからんが……特にそんな様子は無いな……この前も友人達と日付変わるまでカラオケ行ってたが………今日も行く時普通だったな。』
「そうか………」
電話の途中、理佳が人混みに紛れ見失いそうになると
「ごめんまたかけるわー。」
と言い残し電話を切ると人混みをかき分け距離がかなり離されたが……
とある貸し物件のビルに入って行くのが見えると急いで後を追い
螺旋階段をかけ上がった
「こんな所で一体……」
途中の階には目を向けず一直線に屋上まで掻け上がる
やがて屋上の扉を開けた理佳ちゃんに追い付くと理佳ちゃんの手を掴み
「待てよ理佳ちゃん!これ以上行ったら!」
理佳ちゃんは無言でこちらを振り向くと目が赤く染まり瞳孔が開いていた
そして………
ドンッ!!ガシャン!!
華奢な少女とは思えない程の力で後ろの出入り口のドアに吹き飛ばされ尻餅をつく
「くッ………り、理佳ちゃん………」
吹き飛ばしたのち屋上の一番端の方までたどり着くと………
靴を脱ぎ出し………1歩前に出ると
身をのりだし……
「待て待て待て待て待て!!理佳ちゃん!!!」
すぐさま起き上がり手を伸ばしながら理佳ちゃのもとへ駆け出し
そして………理佳ちゃんはビルの屋上から飛び降りてしまった
「間に合えェエエ!!!!」
野球のヘッドスライディングをかました時のように半身をのりだし手を伸ばした
その手は奇跡的に理佳ちゃんの手を掴みとった
「よし!今引き上げるぞ!!」
だが……理佳ちゃんはそれを拒むように掴んだ手の反対側の手で何かを取り出し
その手で理佳ちゃんを掴む手を刺したのだ……
「あぁああああ!!!!」
鋭い痛みと溢れ出る血で滑り……握力も堕ちていく
「こんな所で死なせてたまるか!!」
理佳ちゃんが持つカッターナイフは何度も掴む手を刺すが………
「君の痛みに比べれば………こんなもん!!」
次にカッターナイフの刃を思いっきり出し更に深く刻もうとした瞬間
「離す………もんか………俺は……俺は君が大好きだから!絶対に………絶対に!!」
カッターナイフは寸前の所で止まり……
理佳ちゃんの目から光がみるみると戻っていき……
涙を流し始めた……
「……………なんで………そんなになるまで………」
「本気で好きな娘に男が命を賭けるのは当然だ!!」
「……………馬鹿……………馬鹿だよ……本当。」
両手の握力が限界に達した時……
救いの神がまいおりた………
ガシッ!!
もう1つの手が理佳ちゃんを掴むと凄まじい力で
「よっと!」
理佳ちゃんを引きがけ救出に成功した。
その正体は死神であった………
「やれやれ。俺の仕事を増やそうとするなよ・・・」
死神がため息をつきながらそう言った。
「ありがとう……理佳ちゃんケガは?」
「私のことなんて後!!早く止血しないと!!」
正気を取り戻した理佳は……淳也に応急処置を施し
その様子を隠れて見ていた第三者を死神が炙り出した
「邪魔しないでよ!!離せ!!」
それは緋色の目をした少女であった……
その少女を理佳が見ると
「この子公園で私の写真をもっていた……」
「邪魔者は死ね!!!!」
少女が死神をにらみつけるが
死神は鼻で笑い
「冥王の加護があるんでな。俺には催眠は効かない。お前らのボスの所に案内するか死ぬかどっちがいい?俺はどちらでも構わんぜHAHAHA!」
死神はそう言って不敵に笑った。
この時点で少女の心は折れ
「降参する・・・」
そう言って緋色が負けを認めた。




