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たそがれ怪奇譚第2部 黄昏篇   作者: 狐鹿コーラ
黄昏編その3 夜鴉
22/53

夢殺


ガランッ………



ガランッ………



ガランッ………




教会から鳴り響き分厚い扉を開くと一直線に敷かれたバージンロードを和服姿の月影と共に歩く



参列席には神埼一族と協力関係にある陰陽師達と淳也に理佳まで



淳也にいたってはまるで自分ごとみたいに涙を必死にこらえていた



こんな超長い花みたいなスカートに童話のヒロインが着てそうなドレスを私が着ることになるなんてな……



バージンロードの先には教壇に立つ神父と………



似合わない白いタキシードに身を包んだ零二が待っていた……




もう零二は四谷じゃなくて『神埼』になるんだな……最後の最後まで私に気をかけて自ら婿入りするなんて………



本当に馬鹿な旦那様だな。



零二の隣に並ぶと………




神父が聖書を朗読し




次に神父が私達に問いかける




「新婦狐月、あなたは零二を夫とし、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、妻を愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」




私はゆっくりと



「誓います。」



と問いかけに答え………



零二にも同じ問いかけを聞くと………



「誓います。」



と答えた………




そして……指輪を互いに交換し




それが終わると最後に………




「では……誓いの口付けを………」




私はめちゃくちゃ緊張しながらも目を閉じ人生最大にして最高の時を待ちわびていた。









しかし………




一向に零二からの“あれ”がなく……



『ん?口付けにしては時間がかかっているな……』



最初は零二も緊張して若干渋っていると思い……



仕方なく私から仕掛けようと目を開けた瞬間……



景色が一変していた




「!!!??」



その場には零二の頭だけが転がり零二が立っていた所は血の海になり……



「零二!零二!!」



私は零二の頭を拾い上げようと触れた瞬間………溶けだし…血の海へと沈み……



参列席の方を振り向くと………



そこにはこの世のものとは思えない地獄絵図が広かっていた



参列席は大量の血で真っ赤に染まり……



ほとんどは首たけが転がっていたが………



月影は無数の刀に串刺しにされ………



淳也はキリストの十字架のように張り付けにされやたら太い槍で胴を一突きにされ


理佳はその場に首を吊るされていた。



他にも………焼失された死体や



水死死体のように体が膨れ上がったもの



無数に銃弾を浴び穴という穴から血を吹き出しているもの……



縦………あるいは横に一刀両断された死体など………



夢なら覚めて欲しいと願い目の前の光景に絶望している私に……




更なる追い討ちをかけるように………




赤い朧月が照らす果てしなく赤い空間に1人立ち尽くしていると



『ぐぅうう!!!!』



どこからともなく昔倒したはずのヒトクイが地面から這い出てくる……



「ヒトクイが………こんなに……くッ!!」



狐月はウェディングドレスの長いスカートをビリビリに太ももまで引きちぎると隠し持っていた小さな折り畳みナイフをとり出し構えをとる









その光景を傍観する1人の男がいた



「絶望の淵に堕ちても、抗うことは忘れていないんだね…そういう君が大好きだよ狐月。」



「だけどいつまで持つかな?この夢の世界で…ハァー素晴らしい夢心地だ!」



彼は暗殺組織『夜鴉』の1人



神谷幽人かみやゆうと



コードネーム:『ドリームマン』



異能者である彼の能力は他人の夢の中に入り込む事……


そして夢の中で相手を殺せば現実でも死ぬ。


その能力を生かして証拠すら残さずに多くの人間を殺してきた。




今、狐月が相手にしているヒトクイは彼女の真相心理の中でもっとも印象に残るトラウマとも呼べる存在を彼の霊能力で抽出しアレンジを加え



更に凶暴化させた存在である




「オラァア!!」



飛びかかってくるヒトクイにハイキックを食らわせ蹴り飛ばし



背後に迫るヒトクイには振り向きざまにナイフをスローインさせヒトクイの頭部に突き刺さると蹴り払いで更にナイフを押し込み首を180度回した。



ナイフを失うと前方から迫る2体のヒトクイに向かって疾走しそれを踏み台にしてかけ上がると………



後方で這いずるヒトクイをバック宙返りの着地で踏み潰し首を跳ねると



サッカーボールのように三回ほどリフティングをかましたのち



「弾けやがれ!!!!」



踏み台にした2体のヒトクイに向けて首を蹴り飛ばし……それが直撃すると



風船のように膨らみやがて大量の肉片と共に弾け飛んだ



その後も………



妖力を込めた拳をヒトクイにかまし首を跳ね続け………



一際大きいダンプカーぐらいの大きさのヒトクイに対しては



デカイ顔面に飛び付き



両目を素手でえぐり……背中に乗ると



「オォオオオォオオオー!!!!」



これまでに無いほどの拳によるラッシュを繰り出し………



地面へ勢いよく叩きつけ少し跳ね返った所の隙間に入り込み………



拳を天高く突き上げた




ドンッ!!




やがて巨大なヒトクイは体の内側から弾けるように大量の血が舞い上がり血の雨が降り注いだ………



返り血で白いドレスがいつの間にか真っ赤に染まり………連戦によってかなり疲弊していた。



そこへ………彼女がもっとも恐れる存在がなんの前触れもなくそこへ現れ狐月を拘束………




『かなえましょ……かなえましょ……』




「ハァッ…ハァッ…ハァッ…ハァッ…!」



今にも心臓が止まりそうなぐらいの過呼吸をする狐月…



それもそのはず…今彼女が拘束されている怪異こそ……彼女がもっとも恐れる存在……



子供の容姿に背後から出る巨大な蟒蛇の無数の手に拘束されとぐろをまいている……



『かなえさま』であった



そこへ…この夢の世界へ狐月を追いやった元凶が歩みよりナイフを向け



「初めまして、狐月さん…私の名はドリームマン。あなたが好きです。なので殺しに来ました」



この瞬間狐月の脳裏に『死』が過った…



「終わりです。さよなら狐月さん、あなたの事は忘れません」



そう言うとナイフを振りかぶった時



「終わりなのはあなたの方です」



そんな声が聞こえた。



「!?」



ドリームマンが振り向くと、彼の後ろには月影が刀を持って立っていた。



どうやら月影は夢の中に入る事もできるらしい。



「潮時ですか・・・」



ドリームマンはそう呟いて姿を消した。




悪夢から解放された狐月は目にいっぱい涙を流し……月影の姿を見た瞬間………



狐月は月影に飛び付き再び涙を流した。



「おねがい……おねがい月影……今だけ一緒に寝てくれない?」



「あらあら……仕方ありませんね」



そういうと月影は狐月の布団に入り再び眠りについたのであった。

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