呪殺
とある日曜日
月影は先日知り合いからもらった高級蕎麦を食べていた。
なんでも蕎麦専門の老舗製麺所が編み出した究極の1品だとか
予約しても3年待ちというから驚きだ……
「どんだけ食うんだよ・・・」
狐月が呆れながらそう言った。
それもそのはず、月影は狐月の三倍以上食べていた。
「旨い!旨い!旨いぞ!すまないがもう1ザルあげてくれ。」
「食い過ぎは体に悪いぜ……これで20杯目だぞ?」
狐月がそう言ってやんわりと食べるのをやめさせようとする。
「これくらい大丈夫ですよ。まさに老舗の味!この味を知ってしまったら他の蕎麦は食べられませんね♪」
月影が笑顔でそう言った。
その時
「がはっ!?」
ドバッ!!!!ボトボトボト!!
月影が口から血を思いっきり吐き出した……
溢れんばかりの大量の血によって蕎麦は赤黒く変色し……酷い有り様になってしまった。
「大丈夫か月影!まさか……その蕎麦に毒が!?」
「ええ。少し油断しただけですよ。蕎麦に血が入ってしまいました・・・毒なんて入ってませんよ………洗えばイケるかも…」
月影はそう言って残念そうに蕎麦を見つめ、勿体ないのは分かるが道徳的にそれはアウトだ。
「そこまでして食べるな!蕎麦の事はどうでもいい。何があった?」
真剣な表情で狐月がそう尋ねる。
「何者かが私を呪殺しようとしました」
「呪殺だと!?」
狐月が驚く。
「でもご心配なく。呪い返ししましたから」
月影は笑顔でそう言った。
「相手は大丈夫なのか?」
狐月は不安げにそう言った。
「呪い返しで人を殺せるのは安倍晴明くらいですよ。気をつけてください。私達は何者かに狙われています」
月影が珍しく真剣な表情でそう言った。
「それより狐月……さっき吐血した時あれを言うのを忘れてました。」
「なんだ?」
「『な、なんじゃこりゃ!?』って言う奴ですよ。1度やって見たかったのですがあれ…とっさの時に出来ないものですね。」
このごに及んでまでこの前の昼に見た刑事ドラマの影響か……そんな呑気なことを呟く月影……
その頃
「がはっ!?」
きさらぎが口から血を吐き…目から血涙していた
「大丈夫かキサラギ!?」
夜鴉のボスがキサラギに駆け寄った。
「ちくしょう・・・あの女、爪を隠してやがった!」
キサラギが悔しそうに呟いた。
その一部始終を眺めていた1人の男が優しい口調で
「目隠ししながら殺しに行く人なんていませんよキサラギ」
「クソ!?黙れドリームマン!!」
キサラギが鬼の形相で血を吐きながらそう言うと
「情報収集は完了、資料にまとめたのでこれを。次は私が行って参ります。」
そう言うとボスに資料を渡したドリームマンはその場から消え……時を待った。
丑三つ時
大きな月明かりに照らされながら
男は月を眺めこう呟いた
「月が綺麗ですね…待っていてくださいね。狐月さん……」
かの有名な文豪はこう遺している
『I LOVE YOU』これは外国人が意中の者に対して言う言葉だが
日本人はそんなことは言いません
『月が綺麗ですね』と訳して置きなさいと指摘されたそうだ。
月は意中の人を差し…
それを『綺麗ですね』つまり
『月が綺麗ですね』は『あなたが好きです』
という愛の言葉が隠されている
そして……その言葉の正しい返しが
「死んでも良いわ。」である………




