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たそがれ怪奇譚第2部 黄昏篇   作者: 狐鹿コーラ
たそがれ編 壱 影の住人
10/53

目的


「このβ型が開発される前に作られたα型と『神食いの怪異事件』ついて話しておく必要がある………」



「神食い………あの無茶苦茶な天変地異の異変と関係あるのか?」



「それを今から話す………時間はそんなにはかからない。」




ドクターはそう言うと僕に「神食い」と「α型」について語った。





ーー今から約1年半前……



ーーとある組織が実験の為1人の少年を捕らえ生物兵器の被験者とした



ーーその生物兵器が『寄生型百鬼α型』



ーー宿主に寄生すれば遺伝子構造を組み換え、魔物のような超能力が身に付くと言うものだったが……



ーー結果は残酷なものだった



ーー投与された者は必ず拒絶反応を起こし免疫細胞とa型が強制的に結び付き宿主には能力など付与されず肉体だけが発達し脳が萎縮される症状が起きてしまった。



ーーあるものは結び付かず肉体が肥大化し最終的には破裂し肉塊となる者までいたという……



ーー統計すると宿主と結び付かず死亡する確率が40%、結び付いたとしても肉体が発達するだけで低地脳の魔物化する確率が55%、拒絶反応も起きず寄生することに成功し尚且つ通常の肉体のまま超能力を得る確率が4%というものだった




ーーそんな絶望的な確率の中……捕らえられた少年にそれを投与した所……



ーーなんとa型を自ら吸収し超能力を得るだけではなく自らの意思で魔物化になることにまで成功したのだ……



ーー確率は1%……人口で言うと約1000万人に人の割合………少年は完全適合者となった。



ーー付与された少年の能力は『重力を操り空間を食い破る』力で魔物化した時の姿は、神話に登場する神食いの魔物『フェンリル』に酷似した姿をしていたそうだ。




ーーその能力は凄まじく、食い破った空間から歪みを生じさせ地球の時点がずれるレベルで世界各地で天変地異を引き起こした……




ーーこれが後の神食いの怪異事件と呼ばれるようになり世界中がパニックに陥ったのだ……




ーー組織の科学者は少年を完全適合者体第一号とし研究を続け………少年の免疫細胞から新たな生物兵器『β型』が作られることに……



ーーこれまでのα型とは異なり『β型』は魔物化にコンセプトを置いた兵器となっており……



ーー宿主に投与すれば免疫細胞を通り抜け細胞と結び付き自らの意思で魔物化することができるという……




「これもそのβ型を投与して魔物化したんだろうが………恐らく失敗だろう………」



「どういうことだ?」



「今は鎮静化しているが……この怪異の特性上……光に弱く……夜じゃないと活動出来ない点………そして何より人間に戻ることなく怪異化し続けてところだ………」



この部屋をやたら失明するぐらい明るくしたのはそのためか……



だが……今までの話しからこのドクターに疑惑が生じた……



それは………



「やけに詳しいんだな…………まるで裏の事情を知ってるみたいな感じだった………この兵器作ったの………ドクターなんじゃないか?」



α型とβ型の生物兵器の名前が出てきた時は怪しかったが……



開発経緯のことなど神食いの怪異事件の裏事情をこれでもかと知りすぎていたからこういう結論に至ったが。




「そう思われても仕方がないが………一応言っておくが、俺はこの兵器の開発には一切関与してない………むしろ撲滅するために動いている………1人の医者として。」



「言葉で言うのは簡単だが証拠がなければ………」



そう言い放つとドクターは無言でとある資料を僕に手渡した



「開発元を除菌した際に手に入れたものだ目を通しておくと良い。」



その資料には生物兵器についての化学式やら細胞構成やらが事細かに書かれていた。



こんなもの………政府の目にでも触れれば公安が動く事態になりかねない……



僕は目の前のドクターをマジで疑っていたが……開発者なら堂々と機密事項を他人である僕に易々と見せるだろうか?



僕がその生物兵器の開発者であれば都合の悪いことは伏せて話し尚且つ偽物の資料を渡すが………



この人に限っては全部事細かに話し……渡された資料にも細工がない………




「…………さっき生物兵器の撲滅と言ってたが開発元は潰したんなら良いんじゃないのか?」



「我々が潰したのは生産元で開発元はこのたそがれ町のどこかにある…………だが今は情報がない………」



「なんとなく僕を助けた理由がわかったよ………要はそのアジトの情報を提供してほしいんだろ?」



「理解が早くて助かる………報酬はこちらで用意しよう………」




ドクターとの話がまとまり今日はこの廃墟で野宿することになった



彼の正体は以前としてわからないが………たそがれ町を守護する者としては見過ごすことはできない………



それが悪意ある者の手によって脅かされようとしているなら……尚更だ………




翌朝………狐月に電話をかけたら滅茶苦茶怒られ耳がキーン!っとなってしまった。




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