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ぼっちを極めた結果、どんな攻撃からもぼっちです。  作者: ウィザード・T
第二章 冒険者デビューしてみた
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ミーサンとの戦い 前編

「大川、遠藤を頼むぞ。さて次はお前だ」

「あら坊や、ずいぶんといい気になっちゃって……」


 ミーサンとか言う、あるいはセクシーかもしれないはずの女。こんな状況になっても笑顔を絶やさない女。


「遠藤をたぶらかして何がしたいんだよ!」

「勝ちたいのよ」

「何にだよ!」



 あきれるほどに単純で雑な文句だ。


 勝ちたいとか簡単に言うが、一体何に勝ちたいのか。勝ってどうする気なのか。


「勝負事には相手が要るだろ?その相手は一体何なんだよ!」

「ここの主を気取る甘ったるいおぼっちゃんお嬢ちゃん商人様によ!まるで全年齢向けのお遊びみたいにギャンブルをやって欲しくないのよ、わかるでしょ?」

「そういうのを言い訳って言うんだよ、俺らの世界だけじゃなくどの世界でも通じそうな言い訳でごまかすな!」

「だったらさあ、それがわかるのになんでわざわざ敵対するのかなあ?訳が分からないんだけど」




 もう味方など武器を俺に取られたヘキトしかいないはずなのに、あくまでも上から目線を崩そうとしない。


 余裕どころかむしろ空威張りだ、実にむなしいだけだ。


「あのさ……言いたくないけど今の遠藤もあんたも、類が友を呼ぶって奴だよ」

「どのあたりが~?」

「一から説明されなきゃわからねえのかよ……あんたは正義の味方気取りの悪役であり、悪役気取りのお子ちゃまだよ」




 口から出る言葉はきれいなくせに、やってる事はめちゃくちゃだ。


 殺人、強盗、と言うかその前の強訴。チンピラそのものじゃないか。遠藤だってモモミって言う小さな女の子、市村の背中で涙目になっている女の子に向けてずいぶんとひどい事をしたじゃないか。

 そんな言ってる事とやってる事の一致しない奴が好かれる訳ない、汚い言葉を言ってきれいな事をするんならまだしもだ。


「ヘキトさん、もうよろしいではありませんか」

「それでも俺はさ、せいぜい目の前の女だけは何とかしたいんだよ」


 それでもヘキトだけは約束を愚直に果たすかのように、拾い上げた剣を振っている。同じく拾った剣を振るエクセルと適当に打ち合いながら、あるいは俺の背中を狙おうとしているのかもしれない。




「よくもまあこの状況で余裕ぶってられるなあ、これだけの数を注ぎ込みながら全滅、俺たちは無傷。どう考えても絶体絶命なのはあんただろ」

「私が全部倒せばいいだけじゃないの」

「あんた自分の言ってる事の意味が分からないのか?それは自分が出て何とかすればこんな犠牲を払わなくて済んだって意味だろ?なんでわざわざ犠牲を出した?」

「犠牲って、これが犠牲?みんなこの先の希望を求めて戦って、そして負けて倒れただけよ。それだけじゃないの」




 ああなんだ、元からこいつらの命なんか何とも思ってないのか。

 そんなわかりたくない事をわかった俺は、後ろの死体の山に軽くおくやみを申し上げながら、もう一つ死体を作りに行くことにした。



「坊やたちにね、大人の厳しさを教えてあげるから」

「それを俺にぶつける気か」

「そうよ、黒焦げになっちゃいなさいね」

「全力全開本気の一撃か…………最初からそれを使えよ」

「いやねぇ、それで失敗したら後がないじゃないの。切り札は最後まで取っておくものじゃない、わかるでしょ?」


 ゆっくりと歩み寄った俺に対し、ミーサンはこれまでずっと前に出していた右手を上に向け、その右手の上に大きな雷の弾を作り始めた。なんかどこかで見たような構えだが、その球から漏れ出る電流だけで大川も大川にのしかかられている遠藤もしびれ出していた。

 相当強力な奴であるのは間違いない。おそらくミーサンが口にした通りの必殺技、最後の切り札なんだろう。


「私たちの仲間のためにやってやるしかないわよね、さようなら坊やたち……」

「俺には俺の戦い方がある!これまでの戦い方を見てればわかるだろ!」

「バリア魔法、全開であります!」




 ミーサンが球をナナナカジノの天井に投げ付けた。



 俺は赤井に他の人間全てを任せ、雷が落ちる中を走る。


 雷にもぼっちな俺を信じ、俺は走る。


 言うまでもなく雷は俺を置き去りにし、俺の周りを焼き続ける。そうして血の焼ける臭いを放ちながら、無駄撃ちとなって魔力を削って行く。



「なんで当たらないのよ!」

「当たらないんだからしょうがねえだろ!」

「よくそんなふくれた顔ができるわね!」

「単にあんたのバカさ加減にイライラしてただけだよ!遠藤との戦いを見てなかったのか!」




「剣と魔法は全然違うわよ!もういい、あんたの口を永遠に塞いでやる!!」

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