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ぼっちを極めた結果、どんな攻撃からもぼっちです。  作者: ウィザード・T
第十八章 ウエダユーイチ、世界を救う!
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権力の由来

「今日一日で、全てが決まるのですね…………」



 フーカンは外に出た俺らに対して、ずいぶんと丁重に頭を下げて来た。



 俺の三倍以上の大きさだってのに、まったく礼儀正しい真面目なドラゴンだ。



「この戦いの後、どうする気なんですか?」

「魔王の座を受け継ぎ、必ずや再興します」

「でもあの執政官様の事だ、しばらくは属国扱いだと思うけど」

「一向に構いません」

 真面目な話、この戦いでコーノを倒して魔王軍を取り戻したとしても魔王軍の戦力はガタガタだろう。俺らの力がないとしても落とされてしまうかもしれない。


 弱音に聞こえる言葉を力強く言うってのは、かなりの難題かもしれない。

 改めて、このドラゴンの器がわかった気になった。


「ボクは魔王様、いえ叔父上のような立派な王になりたかった。でもみんながそれを甘いと言ってはばからず、それゆえに多くの戦いを求めていた魔物たちはミタガワに従い、そのミタガワの跡目であるコーノを選び……」

「なるほど、河野はそうやって権力を得たんだな」



 そして河野の権力構造もわかった気がした。


 もともとマサヌマ王国を倒してから、ずっと魔王軍の中で戦気が高まっていたのかもしれない。

 魔物と言う異種族が人間から信頼を得るまでどれだけの時間がかかったのか想像に難くないが、それでも魔物たちからしてみれば自分たちを封じ込めた女神をあがめる人間の存在は実に面白くなかっただろう。ましてや十年前のロッド国との戦いが事実上勝利に終わったもんだから、いよいよ世界征服とかなったとしても不思議じゃなかった。


「コーノさんに魔物たちが従った理由がわかる気がします」

「民衆の声には逆らえねえって事かよ……って人間たちは」

「叔父上を支持していたので積極的ではありませんでした。ですがあのロッド国の攻撃によりある程度そちらの方向に傾き、機運は高まっていたようです。

 ゆえに魔王軍がブエド村から職人を誘拐した際も、当地の住民の皆さんの反発はごくわずかだったのです」


 為政者が優秀であれば素直に従うのは人間の性だろう。それにロッド国によって自分たちなりに平和に暮らしていた所を邪魔されたんだからその気になっても仕方がない。

「でもそれだと、今の二人に住民の皆さんはなついていないのでは」

「内通していた魔物たちの情報によりますとミタガワエリカは人間にはまったく手を出していなかったので良いとも悪いとも思われていなかったようです、って言うかそれだけの時間がなかったようで」

「どっちみちあてにはできないって事か、まあ期待してなかったみたいだけど」

 んで、セブンスの素朴な疑問もあっさり薙ぎ払われた。


「ジムナールさんが?」

「ああ。それでこの戦いの敗北は、世界中がミワキ市やブエド村のようになることを意味する、そう執政官様は俺らに言い聞かせてたよ」

「本当にえぐいですね…………」



 ——————ドラゴンが震えている。コーノと執政官様、どっちに震えているのかはわからないが、どっちも恐ろしさって点では変わらない。

「いやはや、ドラゴンさえも恐れさせるのかー」

「さすがは私の未来の旦那様!」

 王族親子はずいぶんハイテンションだが、実際あの執政官様の肝の座りようは異常だ。

 家族からも言われるほどの特別な力、何かがあると思わせるあの人は何者なのか。


「とにかく、もうそろそろ行きましょうか」

「そうだな……でもその前に最後に一つ」

「何でしょうか」

「魔王軍の幹部はあと三人と言ったよな、アトは死に、ジャクセーと対峙した。残る一人の名前は、えっとフェムトだっけ?」

「そうです」

「フェムトは召喚魔導士とか言うけど、いったい何を召喚していた?魔物か?」

「それもありますが、それ以上に人間です。マサヌマ王国を滅ぼした功績により、大幹部となったのです」


 フーカンは軽く羽ばたきながら、フェムトがマサヌマ王国を滅ぼしたやり方を教えてくれた。


 フェムトの「召喚魔法」は、近距離ならば誰彼構わず自分の下に呼び寄せる事ができるらしい。それで魔王の支配を察して立ち上がろうとした多くの存在—————取り分け最後の王子————を睡眠中に呼び寄せ、そのまま殺してマサヌマ王国にとどめを刺したらしい。


「呼び出せる範囲は狭くて良かったな。でももしコーノがジャクセーのようにそいつに力を与えていたらどうなるかわかりゃしないぞ

「いえ、ジャクセーの魔法は敵意を持たない者であれば大陸中どこからでも召喚可能です。いわゆるならず者やはみ出し者と言うべき人間たちを集めて尖兵として使い、ロッド国の攻撃を凌ぎ切りました。いや建国の際にも大陸各地の山賊やマサヌマ王国内に体勢に不満を持っていた存在を集めて戦力とし、今ではその末裔たちが魔王領の人間の中での上層部にいます」


 そして、自分たちの味方ならば世界中どこからでも……か。


 味方も総動員なら、向こうも総動員かよ。




 ったく、最終決戦らしいぜ。

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