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国王様!?

セブンス「バレンタインデーって日にはチョコレートを贈るんですね!」

上田「まあ……でもこの世界には」

大川「ノーヒン市にはあったわよ」

上田「ああ、あったな……」

倫子「犬でも食べられるチョコレートってないかなー、ケーキはあるけど」

「南ロッド国の国王様だよ」


 南ロッド国の国王様?



「あの戦いの後、一部のロッド国の王族は南の海岸へと逃げ延びたんだ。それでいろいろな理由で攻撃をあきらめ、それで今も名目的にはブエド村を通じて南北のロッド国はつながっているけどほぼ独立状態でね」

「南ロッド国ってのは」

「南ロッド国王は北ロッド国王の弟でね、ああ正確に言えば前ロッド国王の次男が北ロッド国の国王、三男が南ロッド国の国王なんだよ」


 長男はミワキ市が陥落する直前に、国王より先に自害したらしい。

 それでとにかくそのような経緯を経てほぼ南北に分裂した「南ロッド国」の王がリョウタって言う名前らしい。


「それがどうして」

「皆まで言わせないでよ、全てはお互いのためさ。ロッド国自体がそういう状態だからね。ロッド国を生き残らせるためにも必死なんだよ。こっちだって魔王軍と言う大敵を目の前にして引く事なんかできやしないしね」


 南ロッド国ってのは海岸線に領国を有する国であり、その東端がブエド村と並んでいる事から国としては一応「北ロッド国」と同一国家になっている。だが南北のロッド国を結ぶブエド村は荒れ放題であり、単純な移動距離も相当に長い。


 それにこの調子だと、元から両国王の心も相当に乖離してそうだ。


「言うまでもなく北ロッド国の王はこっちを攻める気満々だよ。そうしてロッド国を取り戻しこのシンミ王国を属国にするか滅ぼし、その上で魔王と戦うつもりだ」

「事が後先であります」

「やっぱり魔王を何とかしろと」

「それもあるけど魔王とかより先に国内が平和であればいいって人でね、魔王に付いても嫌悪していたのはその力って言うよりも戦争を起こしたがる気持ちの方がやだってさ」


 そんなんじゃ未だに戦争を起こす気満々の人とは仲良くなれるはずもない。ゲームとは違うガチの人殺しをやって来て今更戦争反対とか抜かすほどガキのつもりもないが、道理に外れた事をすれば世の不興を買うのはわかっている。


「そんな人間を慕う存在は少ないけどいたようで、南ロッド国と言うか彼の領国は半ば左遷先だったらしいよ」

「積極的に戦争反対はしなかったんですか」

「相当な高値で海産物と言う名の地場産業を潤わせていたらしくてね、金の力で黙らせていたんだよ。って言うか食品がなくなったらおしまいだからね、武器はともかく」

「お金で兵士をとか」

「それをしないように武器防具類もほとんど市価の倍額近くで徴収したらしくてね、一応魚を刺す銛とかはあったらしいけどさ、銛で鎧は破れないよねー」


 漁具で敵を殺そうなど、それこそ末期症状だ。


「そこまでしてシンミ王国を滅ぼして何をしたかったんですかね、尻に火が付いてたのに」

「聞いてみたいもんだね、死者を召喚して話せる魔法があればさ」



 俺は聞きたくない。


 なんとなく嫌な臭いがするのがわかるからだ。

(自分がいかに正しいかってご高説を並べ立て、死んでなお自分の言う事を聞かない連中をブツブツと責め続け……わかるんだよ)


 それぐらいの自信、と言うかうぬぼれがなければあんな事ができるはずもない。

 俺は四六時中ぼっちであり、それだけに自慢話をしようにも誰も聞いてくれなかったしする気もなかった。それで空威張りの空しさに気付いたのが、幸運なのか否かはわからない。


「まあ私も悪趣味だとは思うよ。正直笑いたいのは否定しないし。でもそうじゃなかったら何かとんでもない裏があるかもしれないじゃない」

「そうじゃなかったらって」

「魔王と裏取引でもしてたのかってさ」

「言っちゃ悪いけどそれもまた希望的観測だと思いますけど」



 ミタガワエリカがうぬぼれだけであんな事をしているとは思わない。

 と言うか思いたくない。


 何か悪い物に取り憑かれ、本来の三田川恵梨香でなくなっているだけかもしれない…………などと言うのが儚い希望である事はもう重々承知だ。




 あの時の涙も泣き声も、本物だった。




 本物でなければ出せない物だった。



「まあとにかくさ、否応なく時は進むんだよ。そういう訳でもうそろそろ南ロッド国王様も到着したし、代表として来てくれないかな」




 俺は感慨にひたる間もなく、「南ロッド国王」様に会う事になった。


「俺だけですか」

「君はGランク冒険者なんだよ。もちろん他のメンバーを蔑む気はないけどね、順序ってのは守らないと」


 とにかく代表として控え室から中央にやって来た俺を待っていたのは、ひとりの男性だった。




「ん?」




 やけに日焼けした無精ひげの生えた青年、って言うかあんちゃんって感じだ。



「これはリョウタ様」

「ああ、ジムナール執政官様」




 ……これが南ロッド国の国王様?




「いやその」

「どうしたんだ」

「ああ大丈夫だよ、間違いなくリョウタ様だよ」


 ……信じられねえ。


「本当に本当なんですか」

「ああそうだよ、これでも一張羅でね」


 俺らの世界の漁師のようなTシャツに一応それっぽい長ズボン、ボサボサ頭によく見れば後期そうな感じのサンダル。


「まあリョウタ様はね、元々港町の育ちでね」

「王様とか言われてもさ、正直そんな気はないんだよね。魚食べてのほほんと過ごせればいいのかって、正直父上も兄上も苦手だったよ、魚もまた戦争の協力者だとかって」

「リョウタ国王様」

「リョウタ殿でいいよ」

「ではリョウタ殿、あなたの父上たちは何をしたかったんでしょうか、わかりませんか?」

「わからないよ。でもおよそ百年前、魔王が現れた時から、うちの国は世界征服を狙っていたってお話もある。いや、キミカ王国の内乱の時から」


 改めてアホらしい話だ。

 キミカ王国の内乱ってのはともかく、魔王がいるってのに世界征服どころじゃないだろう。


「まさか魔王を討てば世界の救世主になれる、つまり世界を統一するに当たってアドバンテージを取れるって訳ですか?」

「そんな理屈の通る話だけで世の中が動けばいいけどね、どうやらロッド国にはあの時既にって話があるんだよ」

「ボクは軍事や魔法の才能なんかないからね。ただ血筋だけで港町に配置されたような、もんだ。

 と言うかギウソア兄上はボクと十三個も年が離れてるんだ、長兄とは十六個だよ。あの時まだ二十四歳、子どももいなかったのになんで自殺なんかしたのか、本当に可哀想だよ」

「責任を取る自分はカッコイイって思ったんじゃないですかね、まあ実際下手に抵抗でもされたらこのミワキ市が完全な焦土になってたですけど」



 責任を取る自分はカッコイイ、か……。



 もしそんなもんのために命を張らねばならねえのが王様だって言うんなら、俺は王様にはなれない。いや敗戦の責任を取るって簡単に言うけど、敗戦にならねえようにするのも責任だよな。

赤井「市村君はさぞ毎年たくさん」

市村「赤井だって三個は確実に」

赤井「三人ともお気に入りのキャラや声優さんに三十個は贈るのであります……」

トロベ「冬山にて難を逃れるために蓄えておくのか、うむいい菓子だj

オユキ「ちょこっとでいいからチョコレートあげたい、なーんてね」

トロベ「くっ……フフフフフフ……」

持山「……本当にダジャレに弱いな……」



大川「実はもらった事があるだなんて言えない……」

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