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ぼっちを極めた結果、どんな攻撃からもぼっちです。  作者: ウィザード・T
第十二章 この女だけは許せねえ!
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インチキな廃墟?

 まあそんな風な事もありながら道を歩いた先にある、サンタンセン以来のこの世界らしい村の門。



 だがそこを守る人間もいなければ、門そのものもかなり雑だった。




「ミルミル村の方がよっぽどきれいです」

「きれいって言うかさ、ボロボロだよな」



 ミルミル村の門は馬車が通る事ができるほどには広く、ついでに木の匂いがした。

 サンタンセンの門は、匂いこそないがきれいに輝いていた。



 だがここの門は折れまくっている上にあちこち剥げ散らかし、隙間だらけだ。



「屋根もなく、石積みだけが残り……」

「このハンマーと炉は本物でありますが……」



 さび付いたトロッコ。ハンマー。マトック。そして煙突。



 崩れかけた石壁の中と外に転がる汚れたシロモノたちが、この町の過去を遠慮なく語っている。



「ある意味人災だよな」

「しかしもう戦争が終わってから十分な時間が経っているはずなのに」

「まともな物資など入ってないと言う事が丸わかりだな」



 魔王領と言うのはこの北、と言うか北西。


 この先にあるロッド国からしてみれば、自分の領国を守る事が第一でこの村に構ってなどいられないのだろう。

 だとしても鉱石と職人ぐらいの価値はありそうなもんだが、それすら守らないのは正直ロッド国もシンミ王国もおかしい。




 村人も元気がない。顔は青白く、薄汚れた服に雑なと言うか壊れかけの靴。時には裸足の子さえいる。


 その辺りはエスタの町と類似していたが、あっちがたくましさと強さを感じたのに対しこっちは無気力さを感じる。



 たまに建物が健在だった所で、明らかにその窓の中がおかしい。



 住めて数人のはずの小屋に、十人ぐらいいそうに思える。



「丸見えでありますな……」

「人の家をのぞいちゃダメでしょ!」

「いや、村の大半がであります……」


 赤井の言う通り、村全体が簡単に見通せる。


 何せ建物がない、あっても低い、そんなんだからプライバシーも防犯も何もない。


 とりあえず井戸や畑と言った最低限の施設は残っているが、だとしてもそれ以上の物がなさ過ぎる。


 唯一南西方向だけはかなりまともだが、魔物のみならずノーヒン市に巣食っていた連中が荒らしに来た事は想像に難くないとは言え正直ここまでの惨状はなかった。


「本当に死んだ町だな……」


 まあミーサンカジノやサンタンセンもひどかったが、それとはいろいろ事情が違う。

 血まみれと言うのは確かにグロテスクだが、「鮮」血って言うだけ生命もあった。



「死んでいるとは言い得て妙だな、だが南西は」

「あれダメ。まるでクチカケ村みたいで」


 で、南西の方はと言うと建物こそ多いがやたら数ばかりが多く、その上にパッと見ではただの住居、いや掘っ立て小屋にしか見えない。

 数ばかりを揃えるのはまあとりあえずいいとしても、確かにオユキの言う通り何かの需要を当て込んで作られた雑なそれにしか見えて来ない。







 そんな死んでいる箇所と無理矢理生かされている箇所が並ぶ中、やたらと存在感を持った一軒の家。




 魔王領と反対の方角、つまり南東側にある家。




「どう思う」

「確かに……」



 みんなも首をかしげている。



 こじんまりとしてはいるがやけに小ぎれいで、汚れ方も中途半端。

 他の家のように屋根から草が生えているが、全てなぜかまっすぐ伸びている。


 玄関への石畳も自然に風化したと言うよりどこか人為的に壊された感じだ。まあこれは魔王軍がやったとすればつじつまが合うかもしれないが、やっぱりどこかおかしい。



 村の人たちも近寄ろうとしていない。




「あそこにはとんでもないのがいるって」

「とんでもないの?」

「魔王と仲良しとか、逆に魔王を滅ぼそうとしているとか……」


 それで村の真ん中の比較的大きな建物に入った俺たちがその不思議な小屋の主に付いて聞いてみると、なんとも物騒な言葉が返って来た。


 魔王と仲良し?魔王を滅ぼそうとしている?


 魔王ってのが何物なのかはわかってねえけど、この村を滅ぼしたも同然の存在にそこまでやる以上恐ろしい奴である事には間違いないだろう。


 ちなみにその建物は宿屋なのか知らないがベッドが十六床あり、一床に二人入れば三十人以上寝られそうだ。


「この前ひどく働かされて疲れ果ててね、それで強引に回復魔法で起こされるもんだから精神が参っちゃって」

「ブラック企業だよ」

「そしたらわんわん大泣きしてね」

「まさか死者が出て」

「いいや、その回復魔法を使った娘っ子。本当に悲しそうだったけど、それが却って痛々しいって言うか……」



 全く物騒な奴がいるもんだなと思いながら、情報料とばかりに銀貨一枚を渡すとそのおばさんは喜んでくれた。




 ここには誰かが、それもかなり強そうな存在が住んでいる。



 そう確信した俺は、一人でその家へと走り出した。



「これって……」



 やはりおかしい。


 近づけば近づくだけ、不自然さが際立って来る。


 まるで浮き上がっているかのような汚れ。どこかビニールっぽい草。




 いや、間違いなくビニールだった。




 俺たちがノーヒン市で触って来たビニール袋と同じそれの感触が、上下からやって来る。




 インチキな汚れ。インチキな草。







 そして俺に、いや建物に刺さるはずだった一本の、やけに鋭いナイフ。

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