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ぼっちを極めた結果、どんな攻撃からもぼっちです。  作者: ウィザード・T
第十二章 この女だけは許せねえ!
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ブエド村の事情

いよいよ第二部ラストの章です。

ウエダユーイチ Pランク→Mランク

アカイハヤト Rランク→Qランク

イチムラマサキ Rランク→Qランク

オオカワヒロミ Tランク→Rランク

セブンス Qランク→Oランク

オユキ Tランク→Rランク

トロベ Rランク→Pランク

ヒラバヤシリンコ Vランク→Rランク




 ホテルを出た俺たちは、セイシンさんからランクアップの報告を受けた。




 俺とセブンスが3ランク、倫子は4ランク、他のメンバーが2ランクアップだ。




「しかしやたら買い込んだもんだな我ながら」

「コンビニで銀貨五枚って!」

「八人分の宿泊費だけで金貨一枚以上だよ、ったくずいぶんと派手に使い過ぎたもんだ」

「三泊だから四枚ぐらい使ってるよな」

「しかしそれにしても、あらゆる意味で大盤振る舞いでありますな」


 あと、今回の事件の報酬として俺たちはトードー国から金貨百枚もらった。


 ≒一千万円とはご大層極まるが、長い間拉致監禁されていた少女たちの奪還と考えれば安いらしい。まあ、向こうはひとりに付き何十枚単位の金貨を要求して来たからな、それを全部律儀に払っていたら百枚どころか千枚になっちまう。


「金銭の管理はしっかりとね」

「一応八等分にしたけど、やっぱり金貨って重いなって」

「福沢諭吉さん万歳だぜ」


 倫子が言う通り、金貨は重い。千円札≒の銀貨一枚で一万円分ぐらいの重みがありそうな存在を抱え込んでいたってのに、俺らはずいぶんと派手に金を注ぎ込んでいる。


「でもさ、万一の事あったらどうするんだよこの金」

「それもまた事実であります」

「とは言え、次に待つブエド村は荒れ果てていると評判。と言う訳でかなりの現金を持ち歩く、と言うか渡さねばならぬと考えるべきだ」


 荒れ果てていると言われても、どの程度の損害を受けているのか俺には想像しきれない。

 それこそキミカ王国北西のように廃城や廃村が残っているのか、それともただの荒野なのか。



「ブエド村か……あそこはどこの国なんだよ」

「名目的にはロッド国だ。ああ昨日言った事をひっくり返すようで悪いが、ロッド国が南北に分断されたと言うのは厳密に言えば噓だ」

「はあ?」

「領国ではあるが治められているとは言っていないと言う事でありますか」


 トロベは深くうなずく。


 ブエド村は一応ロッド国の領土であり、北側と南側を結ぶ街道のようになっているらしい。

 だが現在ではノーヒン市の北西のさらに西にある通称「女神の城」がロッド国の領国の最東端であり、ブエド村を迂回して荷物を持って行くような国力もないと言う。


「シンミとロッドの戦争の犠牲者って」

「二年の間にロッド国がシンミ王国の三倍以上の犠牲を出したらしいが詳しい数はわからん。だが魔王軍はあくまでもブエド村狙いで、それによりロッド国軍が軍を分割せざるを得なくなりシンミ王国が間接的に救われたと言うのが正しい所だろう」

「皮肉なもんだな……」

「シンミの王族が万一に備えて亡命したと言う話まである。確か三男だったらしいが」


 キミカ王国とトードー国ですら、幾百年の時を経てようやく和睦ムード(一応国交断絶と言いながら黙認状態で続いていたが)になったばかりに過ぎない。


 シンミ王国は南北ロッド国の通商を許可してないのかとも思ったが、十年前に始まって二年かかった、つまりたったの八年前でしかない戦争の始末を付けるのにはまだ無理があると見るべきだろう。

「シンミ王国の国王様は大変寛容な方であります。ゆえに国民に大変人気があるであります」

「王の人気は王家の人気につながる……そしてそれを傷つけたものの不人気に」


 いずれにせよなかなかにえぐいお話だ。



 そんな国家の事情を感じ取りながらアスファルトを進み、南門へと向かう。



 灰色に囲まれたコンクリートジャングルに別れを告げ、鎧兜に刀剣杖を携えながら金属の門へとやって来た。


「実に丈夫そうな門だな」

「されど城壁が低かろうと将あらば崩れずであります」

「逆もまた真なりかよ」



 相変わらずやたらでかくて頑丈そうな城門だ。だがこの町には、もうゴッシもノイリームもいない。これからどうなるかはわからないとしても、とりあえずあんな強権的で乱暴に振る舞うような奴はもういない事だけは確実だ。



「ほいよっと」


 ちょっと押してやっただけで、やたら耳に響く音を立てながら門は開いた。



 俺たちの足に、久しぶりに土の感触が蘇って来る。



「これこそ、歩き慣れた道だ」

「そうだよねー」

「ずいぶんと歩きづらそうにしてましたの、忘れてないですよー」



 トロベもオユキもセブンスも、実に軽やかな足取りだ。



 銀色に輝く鎧、青みがかった着物、青と黄色のチェックのワンピース。



 その全てが、あるべき場所に置かれたことを喜んでいるかのように輝いている。



「やっぱりノーヒン市は大変だったか」

「いえいえそんな事は、って言うかノーヒン市がだいたい、皆さんの生まれ故郷の」

「まあ、細かい所に違いはあるけどさ」

「そうなんですか……」

「どうしたんだ?」

「いやその、お友だちを全員見つけたら…………」

「そのつもりだ」


 そんな三人の中でセブンスはやたら体をくねらせ、落ち着きをなくし出した。


 ブエド村の先にいると言う黒髪の宮廷画家。


 おそらくは藤井佳子。



 後はもう持山武夫と、ムーシ田口。以上。



 その二人についても風変わりな王子様とやらに会えばわかるかもしれない。


 そうなれば、後はもう三田川のようなメンツを何とか抑え込み、そして……


「その時は私も」

「……!」


 そこまで行こうとした所でいきなりタックルをかけて来た。


 悪意がないせいか、かわしきれない。体が大きく揺らぐ。



「でも」

「私は構いません!」


 セブンスは俺の両肩に手を置きながら、必死に迫る。




 その時、セブンスはどうするのか。


 オユキやトロベとは全く違う、天涯孤独のこの少女を俺は起き捨てにできるのか。




「こんな俺に付き合ってくれるんならな」

 俺は目の前のセブンスを軽く抱きながら、人生で初めてそんな言葉を口にした。


 本当に恥ずかしいセリフだ。



 市村ならば流れるように言えそうなのに。



 って言うか頭頂部しか見えないはずなのにセブンスが赤くなってるのがわかる。


「ユーイチさん……私これからも頑張ります!」



 俺から離れたセブンスは、実に幸せそうな顔をしていた。




「本当にセブンスは上田君の事が大好きなんだね……」

「こんな風に抱き(だき)合う存在を砕き(くだき)たがる奴って私唾棄(だき)するほど嫌いだよ」

「クックックックックック……!」




 で、他の女子たちも勝手に幸せになってるし、まあいいか……。

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