ニンジャ!?
作者「アイエエエ!?ニンジャ!?ニンジャナンデ!?」
大川「言いたかっただけでしょ!」
「私たちも助太刀いたします!」
私はそう叫びながら、イチムラさんよりもトロベさんよりも先に飛び出しました。
もしユーイチさんなら。
そう考えると、いつの間にか体が動いていたのです。
「セブンスちょっと危ないでありま」
「言ってる場合じゃないでしょ!」
みなさんも一斉に、ヒラバヤシさんに向けて突っ込みます。
「邪魔をするな」
「何を!」
そして一斉に剣を、杖を、槍を振ります。
金属がぶつかる音ももう慣れました。シュリケンとか言う武器を弾き飛ばし、一気に襲い掛かりますが、あっという間に敵のニンジャは大きく後退してしまいました。
「チッ……!!」
「さすが忍者、足が速いであります!」
オオカワさんよりも、ユーイチさんよりも速いです。
しかもその速度で後ろへ向けてのジャンプをし、そしてシュリケンを投げています。これはかなり強いです。
「いや無理に戦う必要もない!」
「ええい腰抜け!」
「そんなのは関係ないであります!」
アカイさんが杖を振り回してイチムラさんに魔法をかけています。
たぶん防御の魔法です、ああ私も少しだけ強くなった気がします。
そしてその防御の魔法をもらったイチムラさんは素早くヒラバヤシさんの前に仁王立ちしました。
「お前たち、なぜこのヒラバヤシを」
「私はユーイチさんの恋人!ヒラバヤシさんはユーイチさんの仲間!」
「はっきり言う……!」
ああ、ニンジャの顔が赤くなっています。目元しか見えなくても興奮して、今にも殴りかかりたそうにしているのがよくわかります。
「今すぐ、この町に連れ込んで来たトードー国の人たちを全部返しなさい!そうすれば見なかった事にしますから!」
「ふざけるのも大概にしろ!貴様はゴッシ様の素晴らしさがなぜわからぬ!…………とナクヨ殿は言っておられたがな」
「平林さん、いったん下がるであります」
……ユーイチさん、もし今私がビクッとしたのが間違いだと言うのなら、その理由を説明して下さい。
アカイさんは、怒っています。
いつも笑顔を絶やさない素晴らしい僧侶さんですけど、今の声は明らかに怒っています。オオカワさんさえも、少し足がすくんでいるような感じがしました。
そんなオオカワさんを押しのけ、アカイさんは無言で足を進めています。背中が小さくなって行く代わりのように、アカイさんが大きくなっていきます。
「おそらくはあなたではないのでありますか。トードー国の獣娘たちを誘拐したのは」
「だとしたら」
「彼女たちを返すのであります」
「あなた寝言は寝ながら言いなさい。彼女たちは皆ゴッシ様に忠義を誓っておられる」
「あなたと言う単語はいつから一人称になったでありますか?」
ニンジャの人もアカイさんも、お互いの目を見開きながらにらみ合っています、
ああそれと一緒に左手を軽く振っていて、私たちに下がれと促しています。
確かにその通り、今一番優先なのはヒラバヤシさんの身の安全。このどさくさ紛れに少しでも二人を引き離せばよいのです、
「許しません!」
私も前進します。できる限りの大声を上げて、この大通りを、左側から!
「うわっと!」
「まったく、無駄に器用な手先であります!」
と思っていたらシュリケンが逃げようとしたヒラバヤシさんの目の前に落ちて来ました!
逃げたら殺すって事でしょうか!
「これほどの人間に囲まれているのに!」
「そんな程度ザルに過ぎない、そのヒラバヤシとやらをこのまま無罪放免にはできない」
「何故であります!ゴッシに逆らったからでありますか!」
「それもある、この女はゴッシ様の部下をその爪で引き裂いて殺した……」
「それは俺たちも同じだ、だから俺たちは彼女の仲間だ」
イチムラさんがニンジャに剣で斬りかかりました。イチムラさんの剣と、ニンジャの小さな剣がぶつかり合います。
もうこの音にも慣れました。
そして確かにイチムラさんの言う通り、ゴッシって人の部下を殺したのは私たちも同じです。
乗り掛かった舟とかって言葉がユーイチさんたちの世界にはあるようですけど、もうすでに私は相当な数の人を殺して来ました、いや直にやらなくても既にたくさんの人がユーイチさんたちによって死ぬのを見ながら平然としていました。ミルミル村ではほとんどなかった事ですけど、今の私にとっては間違いなく日常です。
「私はヒラバヤシを許さない!」
「ゴッシにそんなに忠義を感じる理由もなかろう!」
「いや違う、ミタガワエリカ様のためにも!」
ミタガワエリカ!
まさかあのミタガワエリカかと思っていると、シュリケンがヒラバヤシさんの上に降り注いでいました!
「ヒラバヤシさん!」
「うっ…………!」
ああ、ヒラバヤシさんがうずくまり出してしまいました!私とイチムラさんはあわててその上で剣を振りかろうじて全部弾きました!
「うっ、うう……あわわ……!」
「うう……!」
先ほどまで背筋を伸ばして戦おうとしていたヒラバヤシさんが丸くなって震えています……!
これまでユーイチさんたちから聞いて来た話。
ユーイチさんの世界でなされた悪行、そしてこの世界に来てあるいはようやく離れる事ができたと思ったのにまたやって来た上で、さらに踏みにじろうとした事。
許せません!単純に許せません!
「許せません……!サンタンセンのギルドを破壊し多くの犠牲者を出したあんな人を!」
「許せなければなんだと言うの」
「トロベさん!覚悟はありますか!」
「わかった!」
私も怒りました!ユーイチさんのようには行かないでしょうし、非常に危ないのはわかっていても、それでもやらない訳には行かないんです!
「行きます!」
私は力を込めて、赤い弾をトロベさんにぶつけました。
そう、私は使ったのです、ヘイト・マジックを。
はじめて、ユーイチさん以外に。
オユキ「くないばっかりで面白くなーい」
トロベ「ウッ、クッ……アッハッハッハ……!!」




