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ぼっちを極めた結果、どんな攻撃からもぼっちです。  作者: ウィザード・T
第二章 冒険者デビューしてみた
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冒険者デビュー戦へ

今回かなり短いです。

 とにかく、これで俺も冒険者になった訳だ。




「あんたミルミル村から来たんだろ?今日はもう休んだらどうだ?」

「いや、二晩野宿しましたから大丈夫ですよ。まあ、Zランク冒険者が受けられる仕事なんかたかが知れてるんだろうけど」

「何なら書類の整理でもするか?」

「ああ、私たちもまずやったであります。と言うかずいぶんと溜めたのでありますな…………」

「しゃあねえだろ、お前らはその技量だけで飯が食えそうだったからよ」



 高校一年生レベルの教育を受けてる俺らは、この世界では十分なインテリだって事は知っている。

 セブンスはたまたま頭が良かったらしいし、デーンも確かな教育を受けてたけど、後は正直……だってのもまた事実だった。


「悪いけどもう少し、それっぽいのがしたいんで他にないですかね」

「そこに並んでるだろ、教えてやれWランクの二人」

「まあ、常設依頼となるとこれでありますね」


 でもこんな所に来てまでテスト勉強のようなことをする気もないので、俺は別の依頼を選ぶ事にした。




 その中にあった魔物討伐と言う依頼に、俺の胸は躍った。


「これにします!」

「おおそうかい、確かにこれはZランクだけどな、そんなに簡単でもないぞ。この依頼の対象になる魔物って知ってるか?」

「コボルドでありますな」

「コボルド?」

「なんだあんちゃんコボルドも知らねえのか、ひとりで十匹のコボルド狩りができれば初心者は卒業だって言われてるぐらいなんだよ」


 座りながら酒を飲んでるおじさんのおかげで、とりあえずコボルドってのがそういうレベルの存在だってことはわかった。


「それは失礼しました、それでどうやって証拠を出せばいいんでしょうか」

「お前さん、まさか金持ったことないのか!?」

「ええ?」

「銀貨とか言うけどな、その実は銀を表面だけ塗りたくった銅貨だよ。なにせ銅なんてアホみたいに取れるからな、金貨はまったく金だけどな。その銅貨の供給先がコボルドであり、銀貨の供給先もまたしかりだ」

「素手のコボルド追うバカ、帯刀のコボルド追わぬバカとだけ言っとこう。マサキ、お前もずいぶんとそれでもうけてたな」



 ————なんか都合のいい魔物だな。弱いのに装備だけは一丁前で、出くわした冒険者たちに狩られまくる存在。それこそ不意打ちを喰らわなければ勝てるに決まっているような存在がわざわざ出て来るだなんてなぁ……。


「まあ、基準としてはコボルドの剣一本に付き銀貨五枚と考えとけ」

「だろ?命のやり取りをするにしてはちと安めだ。そんな度胸のない奴はもう少し楽な依頼を選ぶ。書類仕事だって立派な依頼だぜ。ああ依頼主はこのギルドマスター様な」


 銀貨五枚ってのは、俺の先月稼いだ金の約一日分だ。十本で五十枚か、うーん高いんだか安いんだか……。


「俺は行きますけど」

「おおずいぶんと意気盛んだね、ああ場所の方はハヤトに聞いてくれ。っつーかハヤト」




 とにもかくにも俺はクラスメイトにも会いたいし、目先の金も稼ぎたい。もし危機に陥ってるんならば助けてやりたい。そしてついでに、冒険者らしいこともしてみたい。そんな欲張りな気持ちが乗っかりに乗っかり続け、俺にゴーサインを出させた。




「上田君、同行させてもらいますであります!」


 それで赤井同伴なのは実に微妙な気持ちになったけれどな……ぼっちじゃなくなって嬉しいのか、それともまだ一人っきりじゃ任せきれねえのか……。


「そう言えば市村はどうしたんだよ」

「セブンスさんを我々の定宿に案内したのであります、ああ彼は相変わらず女性に興味がないでありますからご安心くださいませ」

「そう言えば昔っからそうだったよな……」



 たかが半年の付き合いのくせに、何もかも知った気分になってる。赤井はモテるアニオタであり、市村は無自覚なモテキャラ。この二人以外にも、まだ十七人の奴らがいる。




(ぼっちぼっちと言うけれどな……)


 そんな俺の事を敵視、とまでは行かないにせよ嫌悪している奴の一人や二人いるはずだ。そいつらと出会った時、俺はどうすべきか。


 その事を考えるためにも、今度の冒険には赤井は必要だ。

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