特保
パート帰りにコンビニに寄ったマホさん。一定金額以上購入すると引けるクジで、お茶が当たりました。
体脂肪やらコレステロールやらが気になる人にと銘打たれている、あの特保の緑茶です。
実はマホさん『小さい(量が少ない)のに高いし、別に普通のお茶でいいじゃん』と、これまで飲んだ事がなかったりします。
なので、せっかく当たったんだからとその場で引き換えてもらいました。
見るからにメタボな旦那さんにあげようかとも考えましたが、これ1本であのお腹が引っ込む訳ではないし、それなら自分で飲もうと思います。
マホさん、あなたもこれ1本では引っ込まないですよ?
太ももや二の腕も細くならないですからね?
サバ缶と水菜のポン酢和えと冷や奴で日課の晩酌を終え、マホさん、初めての特保飲料!
………一時間後、トイレの前の廊下でもがいているマホさんの姿が!!
どうやら、体に合わなかったらしい。
傍らには洗面器も置いて、対策万全。
ちなみに、なぜトイレに《お籠もり》せずに廊下とトイレを往復しているのかというと、同居している相手(旦那さん)がいるので長時間マホさんが占拠している訳にはいかないし、体を起こしているより横になっている方が楽だから。でも、トイレから離れ過ぎると万が一があると大惨事だし。
それに、この身体状態だと脱水症状も起きやすいので、水分補給をしに行き易くする為でもある。洗面器は持ち込めるが飲食物はさすがにトイレには持って行けない。
アレルギー体質のマホさん、子供の頃から体に合わない物を食べたり飲んだりすると上げ下げ引き起こすので、長年の経験からこの体制が自分的にベストなのです。
慣れてはいるけど、だからといって痛みや苦しみが無くなる訳ではないのですが。
おのれ、高濃度茶カテキンめ……
どこのヒーロー物の悪役かと思われるセリフを吐きながらのたうち回るしかないのである。
考えてみると、キシリトールもダメだった。
飴やガムのパッケージには《多量に摂取するとお腹が緩くなる事があります》と書いてあるが、マホさんは1個で限界です。
今回のお茶も、半分程度しか飲んでいない。
多量どころか少量に過ぎる。
特保食品とは、健康の保持増進に効果をもたらす物ではないのか。
人類の健康を守る為に日々戦ってくれるヒーローじゃないのか。
カテキングリーンは悪玉コレステロールを倒してくれる。
ポリフェノールレッドは体脂肪を、キシリトールブルーは虫歯菌を。
縁の下の力持ち、ガセリイエローはお腹の調子を整えてくれる。
皆の健康を助けてくれる、特保戦隊じゃないのか。
マホさん、倒されちゃってるじゃん!
これじゃあ、悪の総帥みたいじゃん!!
守られる側に入れてよ~!と洗面器を抱えて廊下でジタバタする。
あんまり暴れるとお腹に響きますよ、マホさん。
特保指定された成分は、体に有効だと認められた、食材などに普通に含まれている存在です。
カテキンも、普通のお茶にも含まれているのです。マホさんだって普通のお茶なら何の問題も無く飲んでいます。
ただ、その成分の濃度を上げたりとか殊更に強調した物だと体が受け止めきれないだけなのだと思われる。
なので、飲んだ量も少ない事もあって夜中過ぎには症状は収まり、翌朝は若干の寝不足気味以外はすっかり元気。
マホさん、悪の組織から足を洗い、人類側に戻ってきました。
特保戦隊は、やっぱり人々の健康を守ってくれるのです。
二日後、またコンビニくじでお茶が当たる。
今度は血圧が高い人にとか表示されている麦茶です。
再び悪の組織への勧誘です。マホさん大人気。
……………帰宅して、無言のまま冷蔵庫に入れます。
冷蔵庫に入れておけば、旦那さんが飲んでくれると思います。
きっと、ぺプチドブラックが、旦那さんの体内で大活躍してくれるに違いない。
頑張れ、特保戦隊!
負けるな、特保戦隊!!