第四話 進撃の異世界人
その日、人類は思い出した。
〔ドゴオォォォォン!!〕
地上に住めなくなった人類は、奴らから逃げるために地下に国を作り、そこで安寧を享受していた。
「ここは地下五kmだぞ!」
「そんな...あいつらが...変異種が入ってくるぞ...」
「「「「逃げろぉぉッ!!」」」」
――――――――――――――――――――
「大変ですッ!カイン隊長!」
おいおい、ノックもしないで入ってきて、急にどうしたんだ?
「地上から穴がッ...!大きな穴が、開いたと思われますッ!」
「なんだとッ!?まずい...今すぐ騎士隊を向かわせろッ!!」
「はッ!!」
〔ドタドタドタ...〕
大変なことになったな...
変異種が入ってくる前に穴を塞がないと...
〔コンコン〕
「入れ。」
「報告します!穴を開けたと思われる、妙な格好をした少年三人を捕えました!現在牢屋に入れています!」
「それは本当か?それにしても穴を開けたのは少年...?気になるな、その牢屋まで案内してくれ。」
「はッ!」
―――俺たちの牢屋の前に、誰か来たようだ。
「君達は何者で、一体どこから来たんだい?」
そう俺たちに問いかけてきたのは、金髪を肩で切りそろえた、中性的な顔立ちを覗かせる人だった。
ていうかヤンキーっぽい。
「おいジークどうすんだ?ヤンキー来ちゃったぞ。」
ガトーが近くに来て言ってくるが、俺に言ってもどうしようもないからな。
「僕達は地上から来たので、この地下のことが分かりません、良かったらご教授してもらえませんか?」
さすがタロウッ!俺達が答えられないのに平然と言ってのけるッ!
そこに痺れるッ!憧れる〜!
ん?あいつ足震えてね?そういやこの中で一番、ヤンキー耐性ないもんなあいつ。
「ふむ、そうか...わかった。では、説明の席を設けることにしよう。彼らを、応接室に案内しろ。」
「はッ!」
どうやら牢屋から出ることになったそうだ。タロウも安心して息を吐いた。
よかったよかった。タロウ、ちょっとちびった?
――――――――――――――――――――
「なるほど、本当に君達は地下国を知らないようだな。」
「ええ、なんせずっと地上で暮らしていたものですから。」
タロウがうまい具合に誤魔化して説明してくれた。
「そうか、若いのに大変だったろう。この街はそこまで豊かではないが、それでいいならここに住むといい。」
「ホントすか!?ありがたいです。」
「まぁ、金がないだろうからハロワで仕事が見つかるまで兵舎で面倒を見よう。」
ハロワ?
「あの〜。ハロワとは、ハローワークのことでしょうか?」
「ん?もちろんそうだが、地上にもなかったか?」
「すみません。なにぶん辺境にいたものですから。」
どうやら、異世界の定番であるギルドはないらしい。残念だ。
「隊長、そろそろ時間です。」
「あぁ、わかっている。ソルよ、彼らを兵舎まで案内してやれ。」
「了解です。」
そう言って、カインと呼ばれていた兄ちゃんは出て行き、代わりにソルという人が案内してくれることになった。
――――――――――――――――――――
Side????
「奴らは何者だった?」
「どうやら地上から来たようです。」
「地上から...。そうか、お前は気にしなくて良い。引き続き、カイン暗殺にあたれ。」
「御意に」
どうやら私は、彼女を殺す任務から外れられないようだ。
誰か、この不自由になってしまった私を
殺 し て く れ る
人はいないだろうか。
次の話から、説明会になります。