特訓&特訓&特訓
「カリン先輩、まずはおめでとうございます!」
一般人にしてはかなり早い段階で進んでいることは間違いない。魔素流しが5年生でも一部の人しか使えないということを考えれば明白だ。
「ああ、シリウス君のおかげだよ!」
ただですね先輩、、、
「喜んでいるところ申し訳ないのですが、先輩はやっとスタート地点に立っただけです」
「まだスタート地点なのか、、、」
カリン先輩は落ち込んでいる。それもそうだろう。魔力を使っては回復させられて使ってはの繰り返しを乗り越えてやっと出来たと思ったことがまだスタートラインだったなんて言われるのは辛いだろう。
「はい、例えば先輩は扉が無数にある空間にいるとしましょう。何千とある扉のうち1つだけが正解の扉です」
「ほうほう」
「ただ、すべての扉には鍵がかかっているので一般人には開けることが出来ません」
「なんだと!?どうすればいいんだ?シリウス君!」
「扉を開けるには鍵が必要です。鎖分銅に魔力を流して浮かせることが出来たこと=(イコール)鍵を入手したことになります。ですのでカリン先輩は今から正解の扉を探すためのスタートラインに立ったにすぎないのです」
「そうだったのか、、、喜んでいた自分が恥ずかしいよ。気合を入れて頑張るから手伝ってくれるかい?」
勿論です!もっと言うとチートな僕の出番です!
「はい、ただ今回は僕が補助して扉を見つけようと思います。武器を構えてください」
そういって僕はカリン先輩の背中に手を当てて魔力を流す。カリン先輩を経由して鎖分銅を操作する。正解の扉への道しるべは僕が作る。先輩にはその正解への道しるべを辿るだけでいいのだ。
「んっ。なんだこの感覚は。おお!動いているぞシリウス君!」
な、悩ましい声を出さないでください。
「この感覚を覚えてください。あと2週間はこの感覚を覚えることを徹底的にやります。」
...
...
「2週間みっちりやりましたが、感覚は覚えましたか?」
この2週間は先輩を経由しての鎖分銅の操作をして先輩には感覚を覚えてもらうことのみを徹底的に行った。
「ばっちりだぞシリウス君!しかしあの感覚が癖になってしまった!たまにでいいから頼んでいいか!」
あ、はい。
「では自分で魔素流しをして操作してください。まずは10秒間浮かせましょうか」
最初に苦戦していた浮かせる作業はいかほどのものか。
「か、簡単だぞ!」
自分でもびっくりしているようだ。
「では上下にウネウネさせてください」
「おお!出来るぞ!」
「次は左右にウネウネさせてください」
「こ、これも出来るぞ」
「じゃあ上下左右にウネウネさせてください」
「これは、、難しいな」
次の課題が決まったようだ。
「この上下左右のウネウネを呼吸をするように無意識で出来るぐらいのレベルまで練習しましょう」
こ、これを無意識にか。なんて言ってる。今更弱音は吐かせないですよ!
「出来たら背中からの魔素流しやってあげますよ」
「あたし頑張るよシリウス君!」
頬をほんのり赤くしながらやる気を出す先輩。ちょっと教育方法間違えたかな。。。
...
...
魔素流しの上下左右ウネウネを練習させ続けて何か月たっただろう。季節はもう冬だ。魔力が尽きては僕が回復させての繰り返しでの特訓である。先輩もよく耐えていると思う。カリン先輩は無意識に操作することを覚えることが出来たようだ。
「カリン先輩。無意識に操作もできましたね!あとは何の特訓だと思います?」
「背中から魔素流しをしてくれ!」
話を聞いて!?無視して続けよう。
「そうですね。対人戦の練習です」
覚えたことは上下左右にウネウネさせること。あとは戦闘に取り込む技術を磨くのみだ。
「僕がいろいろな武器を使うので、先輩は武器の対処法と自分の戦闘方法を見つけ出してください。いまの5年生が卒業するまであと4か月です。3か月は僕とひたすら戦闘します。最後の1か月で5年生をびっくりさせましょう!」
そういって僕と先輩は夕日に向かって走り出した。うーん、青春だ。