4話: 爆弾発言
すみません。遅くなりました。
道具屋を探して街を歩いてるが、開いてる店より閉まってる店の方が多い。出歩いてる人もまばらで活気がない……。道を挟んで大きな2つの建物が向かい合って立ってる、看板を観ると左側が冒険者ギルド、右側が商人ギルドだった。
さすが異世界、だが戦闘スキルの無い俺には冒険者ギルドに登録する意味が無い。モンスターに出くわしても戦えないし。商人ギルドには登録しようと思うが。
商人ギルドの横に道具屋の看板を見つけたのでまずは、塩を売るために道具屋の扉を開けた。
『いらっしゃい。』
カウンターの奥に30代ぐらいの茶髪のクルクルした大人の色気を振り撒く女性が座っていた。店の中は、ほとんど商品が品切状態だ。
『ごめんなさい。今、出国と入国に制限が掛けられてて商品どころか人さえ入って来られないのよねぇー。定期便の船と馬車も停められてるしねぇ。』
「えっ??この国から出られないんですか?」
『全く出れない訳じゃないけどぉ……国の許可書がない限り出れないの……ちょっと前に国王がまた税金を値上げして取り立てたせいで、商人や貴族連中が我先に出国するもんだからねぇ……どんどん規制が厳しくなってね……もうすぐ国境封鎖になるって噂だしねぇ!』
「出る方法って、他に無いですか?」
『国境の出口は異世界人に護られてて力ずくで出るのは無理だしねぇー。凄腕の冒険者を何人か、護衛に雇って火山を越えるは無理じゃないけど、山賊出るって話だし…道が狭くて馬車で食料や武器とか運べないし!そもそも冒険者はもう出てないしねぇ…』
そう言って謝ってきたが悪いのは全て豚王ですから!!そう思いカウンターの上に塩を置いて聞いてみた。
「これ買取りしてもらえますか?」
『えっ?ホントに買取りでいいのぉ?』
「えっ?はい………買取りでお願いします!」
アダルト色気を放つ姉さんは俺の顔をじーーと見て首を傾けにっこりと笑顔で…
『私はローズよ。あなたは?』
「鈴木 海…人……で……す……………。」
アダルトな笑顔に思わず。ドキドキした俺はうっかり本名を名乗った事に気付いた……。
『やっぱり異世界の人なのねぇ……ファミリーネームが有るのは、この世界では王族か貴族ぐらいよぉ。』
(慣れない大人の色気に騙されたぁぁぁ!!!)
「でも………やっぱりって……?」
『この世界では余程の事がない限りギルド以外での売買はしないのよぉ……なぜだか…わかるかなぁ?』
「……いいえ。 存じ上げないです。」
『あらぁー。そんなに固く、ならなくていいのよぉ……』
(……えっ?なにこれ……?そう言うプレイじゃないよね……??料金発生しないよね………???誰も頼んでないのにフルーツの盛り合わせとか、ゴールドでシュワシュワするお酒出ないよね?異世界は、水一杯で数10万円発生しないよね…?するのは現実世界だけだよね………??)
『貴方達の世界と違って、こっちの世界はいい人ばかりじゃないからねぇ』
「いや……ホント。仰ってる意味がよく、解りませんが……。」
『何て言えば解るかなぁ……プロの傭兵に素人が戦って勝てる訳がないでしょぉ?悪徳商人に素人が物を売ってもお金にならないから。ギルドが平均的な価格で買い取ってそれを商人が買って一般販売するの。』
(もしかしたら……この世界の知識がない俺は商人から見たら、赤子の手首に関節を決めるぐらいに簡単なのかも?)
『それに……こんな真っ白で不純物が混ざってない塩初めて見たぁ。悪徳商人なら入手場所を話さない限り、間違いなく解放されないよぉ。』
「確かに悪徳商人が金の成木を見過ごす筈がない。」
『異世界人ってばれたら間違いなく一生奴隷だからねぇ。異世界の知識、無限収納、全言語通訳どれを取っても間違いなくこの世界の常識を越えてるからねぇ……。私は、奴隷商売に興味ないから安心してね………。でも隣のお店が奴隷商売のお店でさらにその隣が異世界人の料理屋さんだからぁ。』
衝撃の事実を満面の笑顔で聴かされた……。
「えっ?異世界人の料理屋さん?」
『驚ほど!美味しいって有名だから行ってみたら?』
「いやいや……俺からしたら驚く所そこじゃないからね!!」
『それとこの塩、ギルドで売れば金貨1枚(一万円)ぐらいになると思うけど……情報料と口止め料って事で銀貨5枚(五千円)でお願いできる??』
アダルトな色気で揺さぶって、隙を作って引っ掛かりやすい状態にして罠にはめる。
異世界の料理屋さんと奴隷商人の場所の情報をわざと、教えることで人質と脅しの効果を持たせて
疲れた所に値段のお願いをしてきた。
この世界のギルドの意味がわかった気がした。素人が商人に商売で勝てる気がしない!
タダで取れる【塩】が銀貨5枚で売れるだけでも儲け物だが、高く売れるはず!。売れたらいいな?。売れるはずがない……変化した今、損して得取る事した。
「塩差し上げます!ただし、何かあれば、相談に乗ってください。」
『……えっ?ホントに?相談に乗るだけでいいの??』
「ハイ!情報料と授業料だと思えば安いもんです!解らない事があれば聞きに来るのでお願いします。」
『気持ちよくしてあげるから。ローズ姉さんに任せてよ。』
「……………………また来ます。」
扉を出ると、昼を知らせる鐘と昼飯を知らせる腹が鳴り響いた。2軒隣の料理屋さんに行く事にした。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
料理屋さんの前に着き扉を開けるとそこに、白のコック帽子の男性とメイド服の女性が忙しく動き回ってた。雑誌やテレビによく出ていたイタリア料理で有名な人だった。目が合ったので……
「西園寺さんですよね!いつもテレビで観てます。大ファンなです!!」
『えっ?……私は田中ですが。』
1文字どころか、文字数さえ合ってない。どう間違えればこうなるのか自分の記憶力が怖い……
「すみません…………。間違えました。」
『いえいえ。気にしないで下さい。落ち着いたら少し話しませんか?日本人ですよね?少しお願いしたい事が……』
「こちらこそお願いします。」
(お願い?何の事だろ……?)
そしてテーブル席に案内された……
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