救出作戦1
王国から離れた平原。捕虜を乗せた騎士団の馬車の集団が走っている
布に覆われた台車の中には、複数の人影が見える
ナイフを持った男、煙草を吸っている男、残りの捕虜達は、全て袋を被せられていて顔を伺えない
「こいつらいくらになるんだ?」
「犬なんだし大した金にはならねえよ」
「けっ、しけてんなあ。いっそここで殺しちまうか?」
男が持っていたナイフを袋越しに捕虜の首に突きつける
「ヘヘヘ。どうした、ワンちゃんよお?。さっきまでの威勢はどうした?。縄張りを守るんじゃなかったのか?」
「.........」
「ん?。無視か?。負けて悔しいから無視か?」
「貴様らに答える理由などない。殺すなら速く殺せ!」
「えーー?。どうしよっかなー」
男はナイフをしまうと、捕虜の腹をなぐる
「うっ!」
「ははは!!、やっぱり面白い反応だよ!」
「それぐらいでやめておけ、せっかくの価値が下がる」
「どうせ元から低いんだろうがよ!!」
男は再び捕虜の腹を殴る
「ぐうっ」
「おらおらおらあ!!」
男は何度も何度も捕虜の腹を殴る
「.......」
もう片方の男は黙って煙草をふかしたままでいたが、何かを感じ取ったのか煙草を口から離す
「......何か聞こえるぞ」
「何も聞こえるわけ....」
馬車に何かが激突し、馬車は横転する
二人の男は投げ出され、中には捕虜だけが残される
「おっさん。こんなとこでなにやってんのさ」
荷車の上から声が聞こえる
「捕まってるんだよ。見て分かれクソガキ」
「言い方キツいなあおっさん。助けてやんないよ?。せっかく団長に頼まれてきたのに」
「だいたいお前は誰だ!!」
「人に名前聞くなら自分が先に名乗るもんじゃないですかね。ドルグさん?」
捕虜の顔の袋が破かれる
「っはあ!」
「どーもでーす。ドルグさーん」
「......誰だお前は!!」
「だからですね.......まあ、いいか」
「ソウヤ。キャルト団の秘密兵器ですよ」
「.......ソウヤ?」
「そうですよ。て言うか逃げないと殺されますよ?」
「貴様!何のつもりだ!」
「このワンコの救出ですよー」